| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百話 北部統一その十二

「それで豊臣秀吉さんもよ」
「あの人奴隷になっていた日本人救ったんだったな」
「海外に売り飛ばされていてね」 
 伴天連の宣教師達にそうされていたのだ。
「話を聞いて急いで買い戻してね」
「それで切支丹も禁止したんだよな」
「民を奴隷にして売り飛ばせてたまるかって思ってよ」
「そうだったよな」
「それで江戸幕府もよ」
 民を奴隷として海外で酷使させない為にだ。
「切支丹を禁止したのよ」
「秀吉さんも家康さんも奴隷制反対だったんだな」
「それもかなりね」
「そこ重要だよな」
「そうよね、それでこの世界でもね」
 そしてこの島でもというのだ。
「奴隷は存在しなくて」
「貴族はいてもな」
「奴隷はいないのよ」
「そうなんだな」
「若し奴隷が存在していたら」
 双葉は久志を見て彼に問うた。
「あんたはどうしてたかしら」
「決まってるだろ」
 即座にだ、久志は双葉に答えた。
「奴隷は解放してな」
「制度としてもね」
「廃止だよ、全員平民にしてな」
「働いてもらうわね」
「街や田畑でな」
 そうした場所でというのだ。
「そうしてもらうぜ」
「そうよね」
「その方が生産力も上がるだろうしな」
 奴隷を使って働かせるよりもというのだ。
「それにな」
「倫理的にもかしら」
「そういうの好きじゃないんだよ」
「現代の日本人の感覚ね」
「それはそうだけれどな、やっぱりそれぞれの世界の考えってあるさ」
 久志はこのこともこの世界に来る様になってわかってきていた、それぞれの世界の倫理が存在していることをだ。
「けれどな」
「それでもっていうのね」
「倫理観を抜きにしてもな」
「奴隷の人は全員市民にして」
「そしてな」 
 そのうえでというのだ。
「それぞれな」
「働いてもらうのね」
「開拓地で農業やってもらったりな」
「街でなのね」
「土木作業とかで働いてもらったり、あと兵隊になってもらってな」
 そうした職業でというのだ。
「とりあえずの手に職はなくても」
「自由な立場でなのね」
「働いてもらうけれどな」
「私もそこは同じ考えよ」
 夕子にしてもだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧