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レーヴァティン

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第百話 北部統一その一

               第百話  北部統一
 久志達は芳直が率いている湖軍がヴェネツィアの方に来るのを待っていた、その間久志は全軍を待機させながらだった。
 将兵達に美食や酒を与え娯楽等も許し英気を養わせていた、しかもそれはただ英気を養わせるだけでなく。
 ヴェネツィアの方にも見せていた、久志は仲間達と共にパスタとワインを楽しみつつこんなことを言った。
「こんな作戦あったとな」
「ええ、あったわよ」
 清音はカルボナーラを食べつつ久志に答えた。
「実際にね」
「そうだよな、確かな」
「豊臣秀吉さんがやったのよ」
 一介の百姓から天下人になったこの英傑がというのだ。
「小田原城を攻める時にね」
「そうだったんだな」
「このことは知らなかったのね」
「小田原城の傍に城築いたり小田原評定は知ってるよ」
 こちらのことはとだ、久志はラザニアを食べつつ答えた。
「けれどな」
「この話はしらなかったのね」
「だからお前の話を聞いてな」
「何処かでって思ったのね」
「そう思ったけれどな」
 それでもというのだ。
「具体的に何だったかはな」
「わからなかったのね」
「ああ、けれどな」
「ただ待つのならね」
「それじゃあ待つ間がな」
「勿体ないでしょ」
「その待つ間にもだな」
「何かすることが」
 それがというのだ。
「戦だからね」
「それで、だよな」
「こうしてね、仕掛けるのよ」
「英気を養って美味もの食って飲んで遊んでか」
「包囲している敵に見せるのよ」
「心理作戦ってやつだな」
「包囲されていると追い詰められていくわ」
 囲まれ逃げ場もない、それでだ。
「そこにあえてね」
「余裕を見せるとか」
「心理的にさらに辛くなるから」
「いいんだな」
「実際これが効いて」
「小田原城は落ちたんだよな」
「豊臣秀吉は小田原城を攻めずにね」
 天下の堅城であるこの城よりもというのだ。
「守っている人間を攻めたのよ」
「そうして北条家を降したな」
「どんな堅城も守るのは人でしょ」
「その人がどうにもならなくなったらな」
「自然と落ちるわ、だから湖軍が来るまでは」
「心理戦仕掛けるんだな」
「今は飲んで食べて遊んで」
 その姿をヴェネツィア側に見せてというのだ。
「そのうえでね」
「その姿を見せてな」
「攻めていくのよ」
「これも戦いだな」
「そうよ、飲んで食べて」
 そしてというのだ。
「歌って踊って」
「それを見せるか」
「籠城していとどうしても心に余裕がなくなるわ」
「さっき話した通りだな」
「囲まれていて外に出られなくて」
「袋の鼠、籠の中の鳥だな」
「攻撃されなくて食料が沢山あっても」
 それでもというのだ。
「次第にね」
「ストレスが溜まるか」
「そこで相手が楽しくしていたら」
「それを見たらな」
「余計に嫌になるわ」
「そうして士気を落としていくんだな」
「それもまた戦い方ってことよ」
 赤ワインをグラスで飲んでだ、清音は笑って話した。 
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