『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』
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八話目
入手したアイテムとスキルの分配が行われた後、四季たちにとっては何事も無く数日が過ぎた。
その間にイッセー達にはイッセーが契約者の所に向かった際にはぐれエクソシストに遭遇したり、アーシアと再会したり、アーシアが悪魔に転生したりとそれなりに濃厚な日々を過ごしていた様子だった。
なお、自分の邪魔をして散々コケにしてくれた三人組、四季達の変身したルパンレンジャーに一矢報いる事なく、赤龍帝の籠手が覚醒したイッセーに吹き飛ばされ、リアスの滅びの魔力によって消滅させられた最後は無念であった様子だ。
そんな平和な日々が続く中、四季は妙な噂が気になっていた。
『正体不明のコウモリ男』
と言う噂だ。
夜な夜な町を飛び回るコウモリのような翼を着けた男がいる。近くてその顔を見た時、暗くてよく見えなかったが顔が羽根を広げた蝙蝠の様に黄色く輝いていたと言う噂だ。
最近流れ始めた噂だが、妙にその特徴が一つの、自分の持つ力と関わりのあるヴィランをイメージさせる。それは、
『ナイトローグ』
だ。トランスチームガンもバットロストボトルも無いので、ナイトローグだったとしても自分のところからの流出ではない事は確かだったが、妙に引っかかるものを覚えた。
(仮面ライダービルドはこの世界には本物も特撮も存在していないはずなのに)
と言う疑問だった。そんな疑問も抱くのも当然だろう。
バットフルボトルは手持ちにも存在しているが、飽くまでそれはベストマッチ用のフルボトルで、成分は同じなのでトランスチームガンで使えば変身することも可能だろう。
だが、それだけだ。手元にあるフルボトルの有無は確認済みであるし、肝心の変身アイテムであるトランスチームガンは存在していない。
故に、この世界にはナイトローグが四季と関係なく誕生する事などあり得ない筈なのだ。
そんな訳で、今の段階では単にナイトローグに似ているだけのコスプレした悪魔という可能性もあるので今は放置しておく事を決めた。
もうすぐ調べるには丁度良い、グレモリー眷属が町を離れる時期が来てくれているのだから。
ナイトローグ(仮)の調査はその時期に合わせて行おうと考える。最悪の場合には危険な賭けだが、非常手段のハザードトリガーもある。
それから数日後、イッセー達オカ感メンバーが学園を休み始めた。
こっそりとイッセーにつけておいた蜘蛛型の監視メカでオカ研の情報は仕入れていたので四季の予想通り自体は動いてくれていると言って良いだろう。
実は蜘蛛型監視メカに着いては意外と簡単に作ることが出来た。流石は天才物理学者の能力、と言ったところだろう。武器製造だけでなく自力でガジェットを作れると言うのは有り難かった。一定時間の録画、録音を行なった後に帰ってくる簡単なものだが、逆に気付かれ難いだろう。
会話の内容によれば、オカ研の部室にリアスの婚約者の『ライザー・フェニックス』が現れ、リアスの兄の女王が持ってきた両家からの提案により、リアスの婚約解消を賭けたレーディングゲームの開催が10日後決まったのだが、
「ねえ、悪魔の流行って何年も続くの?」
「普通に人間並みとは思うけど、怠惰も悪魔の性質らしいからな」
「じゃあ、その分流行も長続きするのかも」
リアスの大学卒業まで結婚しないと言うのに何年も前から式場やドレスを選んでどうするのかと思う三人であった。
特に結婚式に於いて主役となる女性である詩乃と雫にしてみれば、そんなに早くドレスを決めても結婚をあげる頃には既に時代遅れになっていると言う意見だ。
「まあ、今も貴族制が続いていて、悪魔の駒の問題点の改善や、それに対する最低限の法改正もしない連中だ、人間の1日が連中の一年なんだろ」
四季のその一言で納得する二人だった。
リアス婚約解消を賭けたレーディングゲームの開催が決まった翌日。猶予期間の十日間の間、グレモリー家所有の人間界の山の中で特訓が行なわれる事となった。
非公式とは言え多くの魔王を始め貴族が観戦する中でのデビュー戦。しかも、相手は高い勝率を持ち間違い無く未経験者のデビュー戦には相応しくないカードだ。
練習試合でも無くリアスの結婚を賭けた試合だが、同時に勝利した場合に得る物は大きい。
格上の相手に対して騎士と戦車の二つも無く、僧侶の眷属も新たに入ったアーシア以外のもう一人は封印されていると言うハンデ戦。不利に不利を重ねた悪条件による試合だが、勝利できたのならリアスの夢への大きな第一歩となる。
それだけではない。魔王や貴族達からの賞賛と大きな評価と期待。まだ下級の彼女の眷属達の昇級の機会に、それに伴うそれぞれの望みを叶える機会を掴む可能性を得られる。
己のためだけで無く、眷属達の願いや望みのためにも負けられないと告げるリアス。特に、上級悪魔になり、自分の眷属を持つ事でハーレム王になると言う夢を持つイッセーは、
「って事は、このゲームに勝てば部長の結婚が無くなるだけじゃ無くて、オレが長年夢見た『ハーレム王』になるって言う願いにも近づけるんですね!?」
「ええ、その通りよイッセー。眷属の願いが叶うのは主人である私も望んでる事なの」
神を殺す可能性を秘めた力を持つイッセー。彼が今回のゲームにおける切り札となり得る存在だ。
神器は持つ者の想いによって力を発揮する。イッセーが勝利を望むのならば、レイナーレの時のように大きな力を発揮する事が出来るかもしれない。
神を殺す滅神具の一角は最強の切り札となる。だからこそ、より強く勝利を望むであろう言葉を告げる。
「もし、貴方が今回のゲームで功績を残せたら……貴方のお願いを何でも叶えてあげるわ」
「な、なんでも? なんでもすっか!? い、よっしゃぁあっ! だったら尚のこと、あんなイケすかねえ金髪ホスト野郎に、部長を渡すわけにはいかねぇ!!! リアス部長、オレ、やって見せます! 今回のレーディングゲーム、部長の為に必ず勝って見せます!!!」
隣で可愛く膨れてるアーシアを他所にリアスからの発破に一人やる気を燃え上がらせていた。
リアス自身も勝てたとしたら一番活躍するのはイッセーだと思っているので彼の活躍を心から期待している。
(オレが勝ったら詩乃ちゃんや雫ちゃんも眷属に加えて貰ってオレが眷属を持てるようになったら、アーシアと一緒に交換して貰えば……)
自分が眷属を持てるようになればハーレムに加わって貰いたいと思ってた二人が同僚になった時の事を妄想している様子のイッセー。
(先輩悪魔として、手取り足取り、あんな事とかそんな事とかも出来るかも……。よっしゃ! あのホスト野郎だけじゃねえ! 四季の野郎にも絶対に負けられねえぜ!!)
さて、グレモリー眷属の居ない駒王町ではもう一つの時間が起こって居た。
「がっ!」
「君の百害しかない夢では無く、僕等の為にその命を使ってもらいましょうか」
廃墟に倒れる、この町にいるもう一人の魔王の妹であるソーナ・シトリーの兵士『匙 元士郎』の胸を踏みつける蝙蝠の怪人ナイトローグ。
蝙蝠の仮面の奥で怒りとも憎悪とも取れる感情を抱きながら冷酷に言葉を告げる。
「精々僕等の手駒として僕等の望む未来の為に活躍してください」
『リュウガ』
禍々しい声がナイトローグの取り出した時計のようなものが響くと、ナイトローグはそれを匙へと向けて落とす。
彼の中に消えて行ったそれはゆっくりと彼を変える。
「君は今日から、紛い物の仮面ライダー……リュウガです」
『あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』
アナザーライダーリュウガへと。
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