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レーヴァティン

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第九十九話 要塞攻略その七

「何も出来なくて戦争もね」
「する時点で出来ないな」
「人間身体に血がないと死ぬわ」
「それ確実だからな」
「そして国家も組織もお金がないと」
「何も出来ないな」
「やがては死ぬわ」
 組織としてそうなってしまうというのだ。
「本当にね」
「地獄の沙汰も金次第だな」
「この世の中もね」
「だよな、じゃあ金を使って装備のしっかりした大軍と一万寝返らせた」
「そのことを使ってね」
「これからの戦にも勝つか」
「そうしましょう、政はお金で戦もお金ってことよ」
 双葉もこうした考えだった、そしてだった。
 久志にだ、あらためて言った。
「じゃあ後はね」
「ああ、軍勢をな」
「ヴェネツィアとトリエステを中心とした北東諸都市の連合軍に向けるのね」
「そして勝つぜ、敵の場所も掴んで」
「正確にね」
「思いきり叩いてやるか」 
 久志はその目の光を強くさせて述べた。
「それ次第で半島の北が完全に俺達のものになるしな」
「それじゃあね」
「兵を進めるな、ただヴェネツィアはな」
 この街のことをだ、久志はふと気付いた顔になって述べた。
「あそこは陸から攻められるか」
「それね、あそこは水の都よ」
 夕子がそのヴェネツィアについて述べた。
「この世界でもね」
「そうだよな、水路に街の区画が仕切られていてな」
「海の中にあるみたいな街だから」
「陸から攻めるとな」
「難しいわよ」
「元々そうして出来た街だったな」
 自分達の世界の歴史からだ、久志は語った。
「敵から逃げてな」
「そのヴェネツィアにね」
「そこが海の中にあるみたいだったからな」
「敵も攻められなくてよ」
 それでというのだ。
「あの街が出来たのよ」
「そうだったな」
「そう、だからね」
「陸からあの街を攻めるとなるとな」
「かなり厄介よ」
「だったら湖からか」
 久志はここではこちらの世界のことから考えた。
「攻めていくか」
「若しヴェネツィアを攻め落とさないとならなくなったらね」
「そうするか、しかしヴェネツィアはな」
「繁栄しているしね」
「出来ればな」
 それこそというのだ。
「戦火の中に入れたくないな」
「他の街みたいにね」
「城壁は壊してもな」
「肝心の市街地は手出ししていないし」
「そんな感じでいきたいな、俺は戦には勝ってもな」
 それを目指しているし手に入れてきているがというのだ。
「それでもな」
「殺戮とかはよね」
「興味ないしな」
「街を破壊して肝心の商業や工業に影響を与えることは」
「論外だよ」
 久志の考えは今も変わっていなかった。
「だからな」
「ヴェネツィアもね」
「何とか手に入れたいな、無傷で」
「そうしていくわね」
「出来る限りな、無傷なら兵糧攻めもあるにしても」
「それもね」
「ちょっとな」
「時間がかかるから」
「ああ、時間をかけるとな」
 今の自分達はとだ、久志は言うのだった。 
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