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楽園の御業を使う者

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CAST42

「なんであの人本戦に出てるの?」

と首を反らして真夜さんに尋ねる。

うん…真夜さんの膝の上(強制)なんだよね。

「首都の最終防壁ですもの。力は誇示しておかないとダメなのよ」

モノリス・コードでは十文字克斗が無双していた。

原作のように前には出ていないが、防衛として敵をモノリスに近づけない。

当に鉄壁。

「凄まじい。あれが十文字家のファランクスか」

水波を挟んで隣の達也が十文字克斗の活躍を冷静な目で見ていた。

「たしかあの魔法はお前と相性が悪いんだよな?」

「ああ、そうだ。逆に叔母上の夜はファランクスでは防げない」

ファランクスは究極の『物理障壁』だ。

この場合の『物理』とはこの現実世界で起こるあらゆる現象を指す。

対する真夜さんの夜、つまりミーティア・ラインは情報を改変する力だ。

作用する対象が違う。

「変な三竦みだな……。いや、違うか。本気の殺し相なら最後にはお前がたってるのか……」

「どうだろうな…」

そこで真夜さんが俺のお腹に回した手を締めた。

「ぐええぇぇ……」

「ひどい事言うのね貴方」

「いやいや達也がさい…ぐええぇぇ……」

「ここには一条君が居るのよ?」

水波、達也、深雪さん、将輝、ジョージの順だ。

反対は深夜さん、穂波さんだ。

「たぶん聞こえてないでしょうけどね」

隣の深夜さんがフォローしてくれた。

「でもここで話してはだめよ」

「すいません真夜さん」

「いいのよ、べつに。どうせいつかバレるけど、まだ早いってだけだから」

で、当の達也はなにやらヘッドマウントディスプレイを取り出して装着していた。

「達也様、スパイ行為と見なされる前に止めた方がよろしいかと」

「…………すまない」

が、水波に止められていた。

「達也あれ欲しいの?」

「面白そうだったからな」

達也って無感情自称してるけど好奇心つよいよね。

「パターンだけ覚えとけば?」

「そうしておこう」

達也にはフラッシュキャストがある。

それを使えば劣化版のファランクスは使えるだろう。

そして水波も。

蓬莱人の血を時折飲ませているし、単純な魔法力は深雪さんには敵わずともリーナや九島光宣には匹敵するだろう。

つまり、九校戦で勝ち抜く位は余裕でできるだろう。

ああ、そうだ。再来年のNHDの工作をどうにか止めないとな。

それは追々、というか俺達の代の前日に動けばいいか…。

匿名で閣下に言えばうごくでしょ…。


そして一校の快進撃は準決勝まで続いた。

決勝。ついに十文字克斗が前に出た。

「やはりそう来るのね…」

「ゅ?」

「七草から十文字に、私達が来ているのが伝わったのでしょうね」

「だから十文字克斗が前に出て、さっきより強くアピールしてるってこと?」

「ええ、そうよ」

十文字克斗がファランクスをサポーター…否、アーマーのように展開して敵を薙ぎ倒す。

三校の選手は為す術なく倒された。

あっけない決勝戦だ。

そして、試合を終えた十文字克斗が、こちらを睨んでいた。

「あれどうするの?」

「どうもしないわ。放っておけばいいのよ」

バッサリ切り捨てた。

「十師族って面倒なんだね…」

横から伸びた手が俺の頬をつねった。

「うにぃー……」

「ええ、そうよ。十師族は忙しいの。だから本来こんなことしてる場合じゃないのよ」

「あら、だったら姉さんだけ帰ればよかったじゃない」

「嫌よ。面倒だもの。大丈夫、葉山さんは優秀だから」

葉山さんってよく優秀って言われるけど、実際どのくらいなんだろう…?








将輝とジョージを男に戻してから別れた。

「達也」

「なんでしょうか母上」

「深雪と白夜君達を連れて東京に帰りなさい」

駅で深夜さんが達也に言った。

「母上はどうされますか?」

「真夜を四葉に連れ帰って仕事させるわ」

「かしこまりました」

深夜さんが穂波さんと一緒に真夜さんを連行した。

「帰るか、深雪」

「はい、お姉さま!」

え? 達也? 戻すわけないじゃん。

「帰ろ、水波」

「明日は収録ですもんね」

いうなよ…。
 
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