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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第106話:Repliforth Base

現在、ハンターベースでは、スペースラボラトリーに向かうことが決定しているルナ以外でエックス、ゼロ、ルインが残り3つエリアの内、どちらに向かうか話しあっていたのだが。

「エックス、ペガシオン…オービターウイングは俺に任せてくれないか?」

ゼロの発言に全員が驚いた。

「どうして?ペガシオンは空を飛べるんだよ?それならファルコンアーマーを持つエックスかHXアーマーを持つ私の方が…」

ルインが正論を言う。

事実、ゼロは空円舞を駆使することで擬似的に空を飛べるが、あくまで擬似的なものであり、完全な飛行能力を持つペガシオン相手には遠く及ばない。

どちらかと言えば、ファルコンアーマーを手にし、空戦能力を得たエックスかHXアーマーのルインの方がペガシオンと渡り合えるだろう。

「いや、あいつは俺が対峙しなければならないんだ。それに無策で挑むわけではない。すまないが、お前達は他を頼む。」

そう言うと自身のアディオンに乗り込むと、こちらにアイリスが近付いてくる。

「ゼロ…」

「……アイリス」

「お願い…彼を、ペガシオン長官を救ってあげて…」

「分かっている…」

アディオンを全速力で動かし、レプリエアフォース本部に向かうゼロ。

仕方なくエックスはディノレックスに、ルインはローズレッドの元に向かうことになるのだった。

ディノレックスのいる火山地帯はマグマの流れが酷い危険地帯のために安全ルートが確保出来るまでエックスは待機となるのだった。

ゼロはレプリエアフォース本部に到着するや否や、多数のレプリフォース兵に行く手を阻まれる事になった。

と言っても彼らは基地を防衛しようとしてゼロと戦っている訳ではない。

シグマウィルスの影響で湧き上がる破壊衝動のままにゼロを標的として襲ってきているに過ぎないのだ。

「チッ!!ここまでウィルスが感染しちまってるとはな。無事なのか?ペガシオンは…」

忌々しげに吐き捨てるゼロ。

次々に現れるノットベレー達、レプリフォース軍は明らかに正気を失っていた。

1体1体は大したことはないが、このままではじり貧になることは分かりきっているのでゼロは拳にエネルギーを収束させるとそれを地面に叩き込んだ。

「…滅閃光!!」

ルナが受け取ったホタルニクスのDNAデータを解析して得た必殺技、滅閃光。

それはレプリフォース大戦で得た落鳳波と同系統の技だが、しかしエネルギー消費が激しい落鳳波と比べて滅閃光は威力、貫通力が桁違いであり、エネルギー消費量も落鳳波を大きく下回るという高性能な技だ。

放射状に放たれるエネルギー弾により、付近のレプリフォース軍を殲滅するゼロだが、ある物が目に入った。
それは時限爆弾である。

『ゼロ、あれはレプリフォースが破壊工作に使用する時限爆弾よ。』

「このタイプの時限爆弾は確か、タイムリミット経過前に破壊すれば爆発はしないんだったな」

『ええ、でも万が一のこともあるからバスターで破壊すべきだわ』

随所に仕掛けられている時限爆弾をアイリスの指示通りにバスターショットで破壊しながら急いでペガシオンのいる場所に向かう。

ゼロがペガシオンとの対峙に拘った理由はカーネルとのことだ。

それこそ空中戦等に長けたペガシオンを相手取るなら、ファルコンアーマーを得たエックスやHXアーマーを持つルインの方が有利であると言うルインの正論を退けてまでだ。

聞けばペガシオンは今は亡きジェネラルやカーネルを軍人としてこの上無く尊敬していたと言う。

その彼らの死の原因となったイレギュラーハンターを快く思っているはずがない。

「(それにカーネルは俺が殺したようなものだしな…)」

あの時、ディザイアに対し、何かしら行動に移していたらカーネルは死なずに済んだかもしれない。

今でも彼の死は自分の中に残っている。

ゼロはバスターを構えると、セットされている時限爆弾を撃ち抜いた。

「(何故こんな大量の時限爆弾を…まさか、自害する気なのかペガシオンは!?)」

急いでペガシオンの元に向かうゼロ。

タイムリミットを過ぎないうちに時限爆弾を破壊しながら、突き進む。

『ゼロ…』

「っ!!」

ハッと目を見開くゼロ。

今では聞き慣れた声が聞こえたために声に導かれるように足を動かし、しばらくすると見慣れたカプセルがあった。

「Dr.ライト。またあなたですか、すまないが今は時間がないので後にして頂きたい。」

『時限爆弾に関しては君が先程破壊したので最後じゃ…すまぬな。何としてもエックスに渡して欲しいものがあるのじゃ』

そう言ってライト博士はゼロに深々と頭を下げる。

「ファルコンアーマーは完成させたはずです。まさか、ファルコンアーマーにもオリジナルのフォースアーマーのような隠された力が?」

『いや、そうではない。ファルコンアーマーとは真逆のタイプの別のアーマーじゃ。ファルコンアーマーは機動性にこそ優れてはいるが、その分パワーの面では他のアーマーに比べて大きく劣ると言う弱点もあってな。今後現れるであろう強大な敵と戦うには些か心許ないのじゃ。ゲイトにはアルティメットアーマーの改良型のデータファイルを渡したが、あれの完成は彼の能力を以てしても、まだかかるじゃろう』

「そのために新たなアーマーを?」

『うむ』

ライト博士は今回ゼロに託すパーツに関して説明を開始する。

今回のパーツファイルにはGの文字が刻まれている。

『今から君に託すアーマーは名を“ガイアアーマー”と言う。先ほど述べたファルコンアーマーの弱点をカバーすべく、かつてルインが使用していたFXアーマーを元にパワーと防御性能に重点を置いたアーマーじゃ。そのうちのボディパーツをここでは授けよう。ガイアアーマーは他のアーマーとエックス自身のアーマーにも使われている超軽量金属のチタニウムXの装甲とは全く真逆の性質を持つ超重量の特殊合金を用いた装甲を持ち、アルティメットアーマーを含めた従来のアーマーとは一線を隔した防御力を発揮するが、その真の目的は敵の攻撃を防ぐ以上にガイアアーマーの出力から、エックス自身の身を守る事にある。エックスにはガイアアーマーのパーツを装備する時には、必ずこのボディパーツを着用するように念を押して説明しておいて貰いたい』

「分かりました。エックスにパーツファイルを渡しておきましょう」

『すまないね、シグマウィルスの影響が無ければ君のパワーアップもしたいところなのだが…』

「問題ない。今は急いでペガシオンの元に向かうことが最優先なので…失礼する」

ゼロはライト博士に一礼するとペガシオンの元に向かって駆け出すと近くのリフトに乗り込み、乗り込んだリフトはゆっくりとした速度で上がっていく。

「遅い…」

苛立ちを感じながらもゼロは上を見上げると紫色のウィルス、シグマウィルスが実体化してゼロに迫る。

「ゼロ…我がウィルスでお前の体を清めてやろう……」

「訳の分からんことを…消えろ!!」

バスターで実体化しているシグマウィルスにショットを撃つと、ウィルスバスターの効力でシグマウィルスは消滅して安堵したのも束の間。

無数のシグマウィルスがゼロに襲い掛かり、ゼロはバスターで迎撃するが、如何せん数が多過ぎる。

そしてとうとうシグマウィルスがゼロの体内に侵入した。

「ぐわあああああ……っ!!!!」

体の中心を刔られるような激痛と気が遠くなるような痺れが絶え間無く体を蝕んでいく。

他のシグマウィルスも次々とゼロの体内に侵入していき、それからシグマウィルスを浴びてどれだけの時間が過ぎたのか…。

倒れていたゼロが起き上がり、セイバーを抜くと、チェーンロッドを発現させる。

身体に紫色のオーラを身に纏い、鼓動が高まったと同時に力が満ち溢れ、例えようもない恍惚感がゼロを支配していく。

今まで感じたことがない高揚感と万能感。

今ならどんなイレギュラーでも叩き潰せる自身がある。
そんな気分になった。

苦しかった体が、鉛のように重かった体が嘘のように軽い。

「な、何だこれは…?」

ハンターベースでダイナモの右腕から採取したワクチンプログラムを作成していたライフセーバーはゼロの出力が変化していることに目を見開いていた。

しかもウィルスを浴びたことでパワーアップしていることに。

「イレギュラー…俺の敵……全て処分してやる……」

ロッドを勢いよく振るい、前方のノットベレーとメカニロイドを伸びたチェーンが纏めて両断、破壊する。


「真・滅閃光…」

虚ろな瞳で、拳にエネルギーを収束させると滅閃光を強化した真滅閃光を繰り出すゼロ。
衝撃波が地を走り、衝撃波を追うようにエネルギー弾が天に昇る。

「真月輪…」

更に変形機構を失ったはずの腕を変形させ、喪失したはずのZバスターを構え、チャージ無しで放った地走りの光輪がイレギュラーを破壊していく。

「幻夢零…」

大上段に構えたセイバーを勢い良く振るい、放たれた衝撃波が残りのイレギュラーに炸裂した。

そして必殺の幻夢零を放って数分後、ゼロはようやく正気に戻り、辺りを見回すと、周囲にイレギュラーの残骸の山が出来上がっていた。

「(これを…俺が……?)」

信じたくない、受け入れたくない現実が目の前にある。

何か異常があれば納得出来ただろう。

しかし今のはまるで自然に…正常のまま狂ってしまった気がして、ゼロは思わず自身の潜在能力と…異常さに恐怖した。

「…っ、早くペガシオンに会わなくては……」

恐怖を振り払うようにひたすら足を進めるゼロ。

しばらくすると、レプリフォースの戦艦の甲板に降り立つと、そこにはペガシオンの姿があった。

「ペガシオン…スペースシャトルの補強のためにレプリエアフォースが所持しているオービターウイングを譲って欲しい…」

ゼロの声に反応するかのようにゼロに向かって振り返るペガシオン。

「グッ…ギギッ…グギギギギ…」

しかし血走った目をゼロに向けるペガシオンの姿はとてもあの理知的なペガシオンと同一人物とは思えない。

「ペガシオン…ウィルスに侵されたのか…お前まで…」

「オ前…誰ダ…?」

「すまん、アイリス…ペガシオンを救うには、戦うしかなさそうだ」

「ジェネラル様ト…カーネルノ仇…オ前ヲ殺シテヤル!!」

長い時間を置いて、ようやくゼロだと認識出来たのかペガシオンはゼロに突撃する。

「ダブルチャージショット!!」

再び使えなくなったZバスターの代わりにチャージしたバスターショットを向けるとダブルチャージショットを放つ。

しかしペガシオンは飛翔することで、ダブルチャージショットをかわした。

ペガシオンはイーグリードとフクロウル同様、三次元戦闘を得意とし、そしてシグマウィルスによって戦闘能力は飛躍的に高まっているはずだ。

凄まじい機動力でゼロに突進を仕掛けるペガシオン。

あまりの速度に対応出来なかったゼロはまともに受け、吹き飛ばされる。

「(速い!!)」

「疾風!!」

ゼロに向かってペガシオンのエネルギー体の分身が高速で迫る。

「三日月斬!!!」

ペガシオンの放った分身をゼロは衝撃波を纏わせた回転斬りで斬り裂いた。

「滅閃光!!」

広範囲に向けてエネルギー弾が炸裂する滅閃光には流石のペガシオンも対応仕切れずに直撃を受けた。

「グオオオオオ!!!」

しかし、シグマウィルスの破壊衝動と痛覚が喪失したペガシオンには滅閃光すら有効打にならず、咆哮しながらゼロに突進するペガシオン。

「電刃!!」

セイバーにトライサンダーを纏わせて跳躍することで突進を回避するのと同時にセイバーによる斬撃と下に落ちるトライサンダーで攻撃する。

しかしそれでもペガシオンは怯む様子を見せない。

「ウィングスパイラル…」

凄まじい竜巻がゼロを襲う。

「チッ!!空円舞!!」

ゼロは咄嗟にダブルジャンプの空円舞を使うことで回避する。

しかし、所詮擬似的な飛行では完全な飛行能力を持つペガシオンには敵わない。

ペガシオンは猛烈な勢いでゼロに強烈なアッパーカットを喰らわせる。

「がはっ!!」

「カーネルトジェネラル様ノ仇メ!!」

「ぐっ!!」

ペガシオンの凄まじい連撃を受けるゼロ。

激しくゼロの全身に叩き付けられるペガシオンの拳。

最早、避ける事も受ける事も敵わず、ただ打ち据えられるよりゼロには術が無かった。

床に倒れ伏し、全く動かなくなったゼロを見るとペガシオンは、もはや彼に興味を失ったようにその場から去ろうとする。

「ぐっ、逃がすか…!!こいつを喰らえ、バグホール!!」

去ろうとするペガシオンを睨むとバスターからビートブートの特殊武器を発射し、ペガシオンの動きが鈍る。

かつてのレプリフォース大戦のエックスとフクロウルの戦闘記録を見たゼロはペガシオンにもバグホールは通用するのではないかと思ってやってみたが正解だった。

バスターショットはラーニングシステムとのリンクは出来ていたようでバグホールは正常に作動している。

その隙にセイバーからロッドを発現させると、勢い良くチェーンを伸ばしてペガシオンの翼を貫く。

「グッ!!?」

翼をやられたことと、バグホールの引力で体勢を崩すペガシオンの腕にロッドのチェーンを巻き付ける。

「はあああああっ!!」

ゼロはそのままチェーンを引っ張り、勢いよくペガシオンを甲板の床に叩きつける。

凄まじい勢いで床に叩き付けられたペガシオンは全身に裂傷が入り、全身から火花が出ていた。

「…ハンターベース。聞こえるか?」

『ゼロ?』

「ハンターベースに転送を頼む…ペガシオンも一緒にな」

ハンターベースに行けば、ライフセーバーが新たに作成したワクチンプログラムがある。

もしかしたらペガシオンを救えるかもしれない。

ここまでイレギュラー化が進行していては無理かもしれないが…。

『え?ペガシオン長官も?』

「ああ、今から詳しい座標を…」

ゼロがふと、ペガシオンの方に視線を遣ると、ペガシオンが起き上がっていた。

「アイリス…」

「!?」

「アイリス…アイリス、アイリスアイリスアイリスアイリスアイリスアイリスアイリスアイリスアイリスアイリスアイリスアイリス……」

狂ったようにアイリスの名を呟くペガシオンに流石のゼロも恐怖を感じた。

『ゼロ?どうしたの?』

「すまん、アイリス。ペガシオンを連れていけそうにない…」

アイリスとの通信を切ると再びペガシオンと対峙するゼロ。

「ゼロ…アイリスノ心ヲ奪ッタ…許サナイ!!」

ゼロに憤怒の表情のまま凄まじい勢いで迫るペガシオンのスピードはゼロでも追いきれない。

「なっ!?」

「消エローーーッ!!!」

ペガシオンが繰り出す無数の拳の弾幕を受け、吹き飛ぶゼロ。

シグマウィルスがペガシオンの嫉妬の感情により活性化したのかイレギュラー化前とは比べること自体が馬鹿らしいと感じる威力だ。

「がは…っ、シグマウィルスの影響か…?さっきとはまるで動きが…っ」

「何故ダ!!?」

「がっ!!」

ゼロが起きあがる前に追撃を仕掛け、ゼロの身体を上空に打ち上げる。

「カーネルヲ!!ジェネラル様ヲ死ナセタオ前ナンカニ…何故アイリスガアアアア!!!!」

「………ペガシオン…」

イレギュラー化してもカーネルとジェネラルを尊敬し、アイリスへの想いが消えていないことからすると、一体ペガシオンはどれだけの憎しみを抱えながら自分達と接してきたのだろうか?

「くっ!!」

空円舞による擬似的な飛行で何とか甲板に着地したが、ペガシオンの怒涛の攻撃は続く。

「死ネ!!死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネエエエエッ!!!!」

狂気に取り憑かれたような表情で叫びながらゼロに拳と蹴りを叩き込んでいく。

ペガシオンの高い飛行能力と格闘能力の前に為す術なく、抵抗らしい抵抗も出来ずに宙を舞う。

そして最後の疾風をまともに喰らい、仰向けに倒れた。

「ぐっ……」

体に走る激痛により、立つことすら出来ないゼロはここまでかと諦めかけた時であった。

無数のシグマウィルスが醜悪な笑みを浮かべながらゼロに取り憑いていく。

「ぐっ…がああ…」

あの時と同じように全身を激痛が襲うが、間もなくして凄まじい勢いでダメージが回復し、損傷箇所を修復していく。

「(ま、まずい…このままウィルスを受け続けたら…また…)」

あの時のように暴走してしまう。

しかし体力が全快したにも関わらず体が動かず、まるで餓えた餓鬼のようにシグマウィルスを取り込んでいく。

『ゼロ…』

「(この声は…)」

夢で何度も聞いた声。

いつもなら激しい頭痛に襲われるのだが、今回は…。

『わしの最高傑作…』

「(何だ…?体が熱い…しかし苦しくない…それどころか心地いい…)」

『お前こそ最強のロボットじゃ!!』

「(力が溢れて…)」

シグマウィルスによりどんどんゼロのパワーが増していき、真紅のアーマーが漆黒へと変わっていく。

それだけならかつてライト博士によって引き出された潜在能力がシグマウィルスにより解放されたと解釈出来るが、変化はそれだけでは終わらず、ゼロのアーマーが変化していく。

まるでエックスが強化アーマーにより姿を変えるように。

『おい爺、こいつが新しいロボットか?』

『そうじゃ、構想自体はお前より先だったんじゃが、技術的な問題があってな、ゼロを造る過程で生まれた新技術を使ってお前が造られた』

『フン!!髪の長い女みたいな奴だな。こんな奴が最強のロボットだと?笑わせるな』

『はっはっは!!確かにゼロの見た目は見ようによっては女々しく映るかもしれんがのう。しかし、完璧かつ最強の存在として誕生するゼロだからこそ、性能だけでなく容姿も完璧な物とするのじゃよ。わしの最高傑作なら尚更じゃ』

『寝言をほざくな爺!!最強はロックマンでもなけりゃあこいつでもない!!このフォルテ様だ!!』

シグマウィルスにより、僅かに脳裏を過ぎった声。

ゼロはフォルテのデータと新たに生まれた100年前の当時の新技術を投入した戦闘型ロボットである。

ゼロの兄と言えるフォルテはサポートロボットのゴスペルを変形させ、エックスのように強化アーマーとして纏うことが出来た。

だからゼロのこの変化もある意味当然かもしれない。
ゴスペルとフォルテが合体したスーパーフォルテを彷彿とさせる悪魔を思わせる姿。

“絶対”の名を冠する究極の破壊神・アブソリュートゼロ。

バスターショット、Zセイバー、チェーンロッド、シールドブーメランは強化形態時は不要と判断されたのか消失している。

「………」

「ソ、ソノ姿ハ…一体…!!?」

まるで悪魔を思わせる容貌となったゼロにペガシオンは驚愕する。

「…さあな、良くは分からんが今は丁度良い。時間が少ない今は使える物は何だって使う。」

翼があるということは空戦も出来るようになっているのだろう。

しかし気のせいか、この姿はどこか懐かしい気がした。

もしかしたら脳裏を過った人物達と関係があるのかもしれない。

セイバー等の武装は無くなっているが、それが痛手になるとは思わない。

恐らく高い機動力を得るために不要な武装を一時的に消したのだろうとゼロは解釈する。

「ペガシオン、これで互角だ。いや、実力は今の俺の方が上だから俺が有利かもな」

「ホザケ!!」

ペガシオンが凄まじいスピードの右ストレートを繰り出す。

「なる程、機動力だけではなくパワーも強化されているようだな」

左手でペガシオンの拳を軽々と受け止めるゼロ。

「ペガシオン、許してくれとは言わない。どんなに罵倒しても呪ってくれても構わない。俺はアイリスを…カーネルの代わりに守ると誓ったんだよ!!!」

ゼロの左手から凄まじい冷気が放出され、ペガシオンの右腕を凍結させていく。

「グッ!!」

「今、楽にしてやるぞペガシオン。正常だった頃のお前なら今のお前を見ていられないはずだからな」

「認メン!!…僕ハ、オ前ノ存在ヲ決シテ認メハシナイッッ!!!」

「終わりにしようぜペガシオン。」

鋭い爪が生えた拳を握り締め、全身に力を漲らせるゼロ。

「砕ケ散レ!!ウィングスパイラル!!」

ペガシオンが竜巻をゼロに向けて繰り出すが、今のゼロのスピードの前ではには掠りもしない。

「!!?」

あまりのスピードにペガシオンは反応すら出来ずに目を見開いた。

「さらばだペガシオン。永久に眠れ!!カラミティアーツ!!!」

アブソリュートゼロ時に扱える最大の必殺技。

左フック、右フック、波動撃、昇竜拳、兜割、旋風脚といった連続攻撃。

その一撃一撃は重く、凄まじい猛撃を受けたペガシオンは断末魔の叫びすら上げられず、文字通り粉微塵になってしまった。

「…すまん、ペガシオン。あの世でいくらでも俺を呪ってくれ……」

ペガシオンが死んだために、戦闘体勢を解くとアブソリュートゼロの状態が解除され、通常状態に戻ってシャトル補強用のパーツのオービターウイングを回収した。

こうして、僅かに生き残ったレプリエアフォースもシグマウィルスにより、イレギュラー化し、事実上レプリフォースは壊滅状態となった。 
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