レーヴァティン
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第九十九話 要塞攻略その五
「ですから今攻めれば」
「まず勝てるな」
「はい、ですがここで躊躇すれば」
「隙が出来る」
「そこを狙われます」
幾ら敵の士気が低くてもというのだ。
「ですから」
「ああ、すぐに攻めるか」
「そうしましょう、我々の敵はジェノヴァだけではないですから」
それでとだ、こう言ってだった。
久志は全軍に攻撃を命じた、まずはいつも通り砲撃でありジェノヴァを完全に包囲したうえでそれを行うと。
ジェノヴァの城壁は忽ち崩されて今度は街の方から白旗を掲げた、こうしてジェノヴァも陥落した。
久志はジェノヴァについても寛容な処置を取り北の騎士団や王国への備えの兵を置いたうえで主力をボローニャに戻した、その頃には。
「ヴェネツィアとトリエステがか」
「北東部の軍勢を総動員してだね」
久志と淳二がその情報を聞いて述べた。
「ボローニャに来ているんだね」
「そうだな、その数五万か」
「それに対してこっちは十万」
「増えたな」
「うん、ミラノやジェノヴァの軍勢も加えたからね」
その結果だとだ、淳二は久志に話した。
「その多くを国教や街の守備に回してるけれど」
「それでも率いて攻められる兵力は増えたぜ」
「十万な、だったらな」
「この十万でね」
「五万の兵を叩くか、しかし半分の兵でな」
十万の軍勢から見てとだ、久志は話した。
「よく攻めてきたな」
「そうだね、どうも相手はおいら達が北西を攻めている間にね」
「ボローニャを攻めようってか」
「思って兵を向けたんだよ」
そうだったというのだ。
「けれどそこにね」
「俺達が戻ってきた」
「自分達の思惑よりもね」
「成程な、じゃあな」
「それならだね」
「ああ、敵は俺達が素早く戻ってきて驚いてるな」
「こっちの動きが速いことは知っていたと思うけれどね」
淳二はこのことを笑って指摘した。
「けれどだね」
「ああ、どうしても自分達の基準で考えてな」
「もっと遅いって思ったね」
「そうだな、じゃあな」
「ここはね」
「敵は戻ってきたことを知ってな」
「どうしようかってなってるね」
淳二は敵の考えを察して述べた。
「絶対に」
「ああ、じゃあな」
「ここはだね」
「その敵をな」
ヴェネツィアとトリエステを中心とした半島北東部の諸都市の連合軍をというのだ。
「攻めてな」
「そうしてだね」
「一気に叩くか」
「そしてそのうえで」
「半島の北を完全に掌握するか」
「今度の勝利で」
「それを狙うか」
久志は目を光らせて不敵な笑みで述べた。
「ここは」
「それじゃあすぐに出陣だね」
「十万の兵で出陣してな」
敵の二倍の兵力でというのだ。
「攻めてやろうぜ」
「それでは」
紅葉も述べた。
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