レーヴァティン
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第九十八話 五都市連合その六
「じゃあな」
「今回はですね」
「ローマに残ってな」
そのうえでとだ、久志はその源三に話した。
「そしてな」
「留守を守り領地の政をですね」
「軍への補給もな」
こちらもというのだ。
「頼めるか」
「わかりました」
これが源三の返事だった。
「それではです」
「頼むな」
「お任せ下さい」
「じゃあ十万の兵を率いていくぜ」
久志は留守役を源三に定めるとあらためて言った。
「そしてな」
「ボローニャにおいてだな」
「あの街を拠点にしてな」
そしてというのだ。
「戦うぜ」
「わかった、しかしだ」
「ああ、ただあそこに入るだけだとな」
「それは下の下だ」
正ははっきりとした口調で言った。
「そこで籠城をするとな」
「敵を迎え撃ってもな」
「よくはない、だからだ」
「それでだよな」
「各個撃破だ」
それを行うべきだというのだ。
「いいな、ここはだ」
「五つの都市をそれぞれか」
「ボローニャを拠点にしながらだ」
そのうえでというのだ。
「破るべきだ」
「そうしていくべきだよな」
「五つの都市はだ」
ミラノ、ジェノヴァ、トリノ、ヴェネツィア、そしてトリエステの五つの都市はというのだ。この度の久志達の主な敵である。
「同盟は結んでいるがな」
「それでもな」
「一つになって来るか」
「そうとは限らないな」
「同盟は多くの場合同床異夢だ」
「それだよな」
「共通の敵を持っているから手を結ぶが」
それでもというのだ。
「考えはそれぞれだ」
「そうだよな、本当に」
「そして指揮官もだ」
こちらの問題もというのだ。
「総司令官がいてもだ」
「盟主ってやつだな」
「それぞれの街の軍隊があり」
「それぞれの指揮官がいるな」
「そうだ、だからだ」
「各個に攻められるな」
「それが出来る、ならだ」
「ボローニャでの籠城よりもな」
「ボローニャの護りを固めてだ」
そのうえでというのだ。
「五つの街、そして共にこちらの敵に回った街や村をだ」
「各個にだな」
「叩いて降すべきだ」
「そうだよな」
「それにです」
今度は順一が言ってきた。
「ニースが今は秘密ですが」
「こっちに降ったからな」
「このことも大きいです」
「特にジェノヴァを牽制出来るな」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「ニースが中立化してです」
「ニースの周りの街や村もか」
「こちらに着く様になれば」
「ジェノヴァの西の陸路に影響を与えられるな」
「そしてミラノにも」
この街についてもというのだ。
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