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レーヴァティン

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第九十八話 五都市連合その三

「軍勢を雇う金はこっちから秘かに回すな」
「色々として頂けますね」
「もうこっちの勢力だからな」
 そうなったからだというのだ。
「守らせてもらうしな」
「今は極秘でも」
「そこはしっかりとするさ」
 使者に確かな声で話した。
「安心してくれよ」
「それでは」
「宜しくな」
「こちらこそ」
 使者は久志に頷いて応えた、こうしてだった。
 ニースは秘かにではあるがローマの勢力圏に入った、こうして彼等はまた勢力を拡大させた。しかし。
 ニースの使者が帰るとだ、久志は彼等にとって悪い報を聞いた。
「まずいな」
「はい、ミラノとジェノヴァにです」
「トリノ、ヴェネツィア、トリエステか」
「この五都市がです」
 北に送っていた密偵の一人が戻ってきて久志達に話している、久志は彼のその言葉を聞いてそれで言っているのだ。
「今は水面下ですが」
「同盟を結んでか」
「そしてです」
「俺達に対するんだな」
「その様です」
「そうか、そして五つの街の周りの街や村もか」
「その同盟に入り」
 そのうえでというのだ。
「我々に対抗しようとしています」
「そうか、わかった」
「はい、それでは」
「引き続き情報を仕入れてくれ」
「では」
 密偵は久志の言葉に頷くと影が光に当たった時の様に姿を消した。久志はその消えるまでを見てから仲間達に言った。
「まあな、こうしたことはな」
「予想通りだ」
 正が言ってきた。
「予想の中にあったな」
「ああ、実際にな」
「俺達が勢力を拡大してだ」
「北に進出していくとな」
「北の諸都市も馬鹿じゃない」
「独立を守りたいならな」
「自分達の権益を守る為にな」 
 まさにその為にというのだ。
「戦おうと考える、しかしな」
「街の一つ一つだとな」
「俺達に対することは出来ない」
「それならだな」
「それぞれ同盟を結んでだ」
 そうしてとだ、正は久志に冷静な声で話した。
「そのうえでだ。
「力を一つにしてな」
「対する、一と一を足すと二になる」
「その分だけ力が強くなるな」
「だからだ、強い相手と対するならだ」 
 弱い相手、この場合は北部の諸都市達だ。
「同盟を結ぶ、これは俺達の世界でもそうだな」
「起きた世界でもな」
「そうして戦うものだ、だからだ」
「連中もそうしてきたか」
「そうだ、もう御前もわかっていたな」
「言った通りだよ」 
 まさにとだ、久志も冷静な口調で正に答えた。
「合従連衡だからな」
「そういうことだ、では俺達の相手はだ」
「北部の諸都市連合か」
「そうなった、ではいいな」
「ああ、これからな」
 まさにとだ、久志は述べた。
「連中とどうして戦って勝つか」
「考えていくな」
「そうするな、じゃあ地図開くか」
 こう言ってだ、久志は執務室の中にある会議用の机十三人が一度に座れるそこに半島の地図を開いて置いた。 
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