ある晴れた日に
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148部分:妙なる調和その二十
妙なる調和その二十
「バラードなんだけれどな」
「バラードなの」
「中期の曲さ」
時期についても言った。
「それな」
「ふうん、そうなの」
「それでどんな曲なの?」
奈々瀬が問うたのは曲自体についてだ。
「それって」
「ああ、よかったらここでもやろうか?」
早速それに乗る正道だった。
「何ならな」
「まあそれは食ってからにするんだな」
「食ってからか」
「腹が減ってはって言うだろ?」
まさに食堂ならではの言葉であった。
「だからだよ」
「わかったよ。それじゃあな」
「けれど。あれよね」
明日夢は正道が佐々の言葉に頷くのを見ながら述べた。
「音橋ってやっぱりゴールデンウィークも音楽だったのね」
「まあそれはな」
明日夢の言葉に頷いてそれを認める正道だった。
「俺にはやっぱりそれだよ」
「音楽っていうのね」
「そうさ。それでだ」
「ええ」
「また凄い量のスパゲティだな」
スパゲティを見ての言葉だった。
「これはまたな。ここまで出すか?」
「それがこの店なんだよ」
佐々が誇らしげに言ってきた。
「これがな」
「量かよ」
「味と量な」
さりげなく言葉を付け加えていた。
「それと安いだろ」
「まあな。安い美味い多いか」
「それがこの猛虎堂ってわけだ」
「まあうちもそうだけれどね」
明日夢も負けじと言ってきた。
「スタープラチナに大魔神もね」
「けれど少年」
凛がその明日夢に突っ込みを入れてきた。
「この前のスタープラチナのサービス」
「どうしたの?」
「お汁粉だったじゃない」
「美味しかったでしょ」
「美味しかったことは美味しかったけれど」
凛はまずそれはよしとした。
「けれど」
「けれど。何よ」
「幾ら何でもお酒にお汁粉はないでしょ」
困った顔で明日夢に言うのであった。
「お酒飲みに来たっていうのにお汁粉って」
「別にいいじゃない」
完全に居直った調子の明日夢だった。
「たまたまよ。それは」
「お酒にお汁粉が?」
「そうよ」
「そういえばその日って」
凛は居直っている明日夢と話しているうちにあることに気付いた。
「確かベイスターズ」
「気のせいよ」
明日夢の居直りは続く。
「それもね」
「確か十連敗の止めに阪神に広島にサヨナラ負けだったわよね」
「またそれかよ」
正道は今の凛の言葉を聞いてやはり、といった顔で述べた。
「少年よ、負けて不機嫌なのはわかるけれど酒にお汁粉はねえだろ」
「機嫌悪いと何か作りたくなるのよ」
「それでお汁粉なのかよ」
「そうよ。その時の気分で決まるわ」
また言ってきた。
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