ある晴れた日に
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139部分:妙なる調和その十一
妙なる調和その十一
「ビールも美味しいし」
「やっぱりここかスタープラチナだよな。食うとしたらよ」
「それはいいけれどよ」
佐々は急にここで顔を顰めさせた。そのうえで皆に対して言うのであった。
「御前等ちょっと食い方が汚かねえか?」
「んっ、そうか?」
「そうかしら」
皆今の彼の言葉に顔をあげる。口一杯にパスタを入れながら。
「別にねえ」
「普通よね」
「その口で何言ってるんだよ」
その頬張った口でさらに言うので佐々は口を尖らせるのだった。
「一度に頬張ってな」
「おっと」
「それじゃあ」
皆それを聞いてすぐに全部飲み込んでしまった。それで終わりであった。彼等はそれを終えてからそのうえで彼の言葉を聞き出した。
「こんなの誰だって同じなんじゃないの?」
「だから普通じゃねえよ」
今度は竹山に対して言う佐々であった。
「その食い方よ。口の周りだってケチャップでべとべとじゃねえか」
「ああ、それだったら」
ナプキンで口の周りを拭く竹山だった。
「これでいい?」
「それはいいさ」
口の周りは、であった。それだけだ。
「食う量だってな。それよりもだよ」
「食べ方なのね」
「俺も人のこと言えないけれどな」
茜に応えつつ自分のことも振り返ってみる。
「幾ら何でも一気に五〇〇グラムのパスタを数分でか」
「ええ、おかわり」
「こっちも」
「俺も」
しかもおかわりときた。五〇〇グラムのパスタを食べながら。
「もう一杯」
「御願いできる?」
「前にあるだろ」
佐々は彼等の問いに答えずにその巨大なテーブルの中央を指差すのであった。見ればそこにはそのナポリタンがうず高く積まれていた。
「それ、好きなだけ食っていいからな」
「全部でどれだけあるんだろう」
桐生はそのナポリタンの山を見てぽつりと呟いたのだった。
「これって」
「さあな。二十キロは茹でたぜ」
とりあえずそこまでは覚えている佐々であった。
「特大の鍋でな」
「よくこんなに茹でれるわけ」
奈々瀬はそのことに驚いていた。
「そんなに凄いお鍋なの?」
「数使ったんだよ」
だからできたのであった。佐々本人のコメントではだ。
「もう何個もな。そういうのはやり方さ」
「そうなんだ」
「そうさ。茹で加減はアルデンテだぜ」
このことはかなり強調してきた。
「それは守ってるからな。ソースの味付けもな」
「確かに味はいいよな」
「ああ」
坪本と坂上は早速そのナポリタンを皿に取ってずるずると食べはじめた。先程でもう五〇〇グラム食べているのにその食欲は相変わらずである。
「それはな。確かにな」
「かなりのもんだよ」
「けれどあれだよな」
春華もこのナポリタンを食べながら皆に言ってきた。
「その日その日でメニュー違うのってやっぱりよかね?」
「確かに」
「それはね」
静華と凛が春華のその言葉に頷いて答える。やはり彼女達もそのナポリタンを飲むように食べている。なおその食べ方はお世辞にも奇麗とは言えないものであった。
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