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大阪の山姥

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第五章

 ズボンは黒で白髪を青く染めてパーマにしている、その老婆がだ。
 三種チーズ乗せ牛丼をメガサイズで豪快に食べていた、しかも。
 そのチーズ乗せを瞬く間に食べてからキムチを注文したが。
「メガじゃ」
「はい、メガですね」
「それで頼む」
 こう言って注文してすぐに来たキムチ牛丼のメガも豪快にしかも凄まじい速さで食べていた、これには流石の舞美もだ。
 驚いてだ、琢磨に言った。
「あの、目の前の」
「ああ、あのお婆さんな」
 琢磨もその老婆を驚いて見ている、そのうえでの言葉だ。
「凄い食ってるな」
「三種チーズ乗せメガで食べて」
「キムチもな」
「メガで食べてますよ」
「凄いな」
 琢磨から見てもだった、このことは。
「俺もメガはな」
「食べたらですね」
「腹一杯だよ」
「それだけで」
「それがな」
「あのお婆さんは」
「メガを二杯か」
 こう舞美に言うのだった。
「しかも凄い勢いだな」
「そうですよね」
 見ている傍からだ、老婆はそのキムチも食べてだった。
 何と三杯目も注文した、今度はノーマルの牛丼だったがこちらもメガだった。
 それも勢いよく食べる、そうしつつだった。
 老婆は二人の方に顔を向けてにこりとして言ってきた。
「美味いのう、ここの牛丼は」
「そ、そうですね」
 舞美が当人に話しかけられたこととその食欲に驚きつつも応えた。
「どのお店も」
「わしは牛丼が好きでのう」
「それで、ですか」
 舞美に続いて琢磨も応えた。
「今みたいにですか」
「よく食っておる、大阪は食べ放題のお店も多いじゃろ」
「はい、そうですね」
「そうしたお店にいつも行ってな」
 そうしてというのだ。
「楽しんでおる」
「そうですか」
「自分で作ったりもするしのう、爺さんもな」
 老婆は笑いつつさらに話した。 
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