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ある晴れた日に

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118部分:谷に走り山に走りその十四


谷に走り山に走りその十四

「あちこちを探検するんだよ。実際は今は登山部だけれどな」
「登山か。じゃあやっぱり体力は必要だよな」
「当たり前だろ?登山っていっても辛いんだよ」
 春華は言う。
「だから体力がないとやっていけないんだよ」
「よく遊んでるしな」
「遊ぶのだってそうなんだよ」
 かなり居直りめいた言葉にもなってきていた。
「カラオケだってな。四時間五時間ってな」
「皆で歌うしね」
「そうそう」
 静華と凛も加わってきた。
「だから体力が必要なんだよ」
「ついでにいつもゲームセンター寄るしね」
「そこでまた派手に」
「カラオケにゲーセンっていやあよ」
 また明日夢を見る正道だった。すぐにわかったのである。
「少年のところかよ」
「お得意様よ」
 そういうことであった。
「いつも来てもらってるから」
「そうだよな。スタープラチナな」
 明日夢の家が経営しているそのカラオケショップである。
「あそこか」
「いい場所よ、ねえ」
 言いながら明日夢に抱きつく凛だった。凛の方がずっと背が高いので何か襲い掛かっているような感じにも見える。かなり危ない光景だった。
「色々なメーカーのがあるしメニューも揃ってるしプリクラもあるし」
「そういうのには自信あるわよ」
 そして自分も凛を抱き返す明日夢だった。やはりかなり怪しい。
「努力してるし」
「しかしプリクラもあるのかよ」
「ゲームセンターにね」
 こう正道に答える明日夢だった。
「凛も皆使ってるよ」
「またプリクラ撮ろうね、少年」
「うん」
「なあ、御前等ってよ」
 そんなあまりにも仲のいい二人を見た野茂の言葉だ。
「マジで百合なのか?」
「百合って?」
「そう見えるっていうの?」
「それだけいちゃいちゃしてたらそうとしか見えねえよ」 
 実にはっきりと言い切った野茂であった。その目は笑っていない。
「完璧にね」
「そんなんじゃないのにね」
「ねえ」
 そうは言いながらもまだ抱き合っている。しかも身体は密着し合っていた。
「大体お店には行き来していたけれど」
「顔を知り合ったのだって高校に入ってからよ」
「それはわかってるけれどよ」
 それでもなのだった。二人の親密さは。見れば野茂だけでなく他の男組もかなり疑わしい目で二人を見ているのだった。それは男組の殆どだった。
 代表が野茂で彼が皆を代弁している形となっている。そうして言うのである。
「幾ら何でも。お互い彼氏もいないんだよな」
「作りたいけれどね」
「私も」
「そうかも。まあよ」
 ここで首を捻って言う野茂だった。
「俺があれこれ止めることじゃねえしこういうのって法律とかにも一切禁止されてねえしな」
「というか日本にある殆どの宗教で禁止されていないから」
 横から竹山が彼に言ってきた。
「こういうことはね」
「へえ、そうだったのか」
「織田信長だってそうじゃない」
 また随分と派手な人間の名前が出て来た。織田信長だけでなく日本の歴史にはそうした趣味を持っていた人間が実に多い。それを日記に残していた公卿もいた。なおこの時代の日記というものは後世に至るまで他者が読むことを念頭に置いて書かれている。それだけ普通のことであったのだ。
 
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