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レーヴァティン

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第九十七話 会戦と攻城戦その四

「好きじゃないしな」
「人道を考えますと」
「俺達の世界の日本の考え方だよな」
「はい、人道的にという考えは」
 実際にとだ、順一は久志に答えた。
「まさに近代の考えで」
「それまではな」
「捕虜は邪魔ならば殺す」
「それもよくあったな」
「十字軍に捕虜になれば」
 その時はというと。
「まず命はなかったです」
「嬲り殺しだよな」
「彼等は一般市民にもそうしていましたから」
 宗教や宗派が違いどころか同じ宗派即ちカトリックの者達にも神があの世で見分けられると言ってそうしていた。
「そうした有様でしたし」
「捕虜を大事に扱えとかな」
「近代の考えです、その近代でも」
「酷い扱いする国あるしな」
「強制労働をさせたり等」
 ソ連軍のシベリア抑留だ、ドイツ軍三百万の捕虜のうち百万が死んだという。
「あります」
「だよな、けれどな」
「貴方はですね」
「飯食ったり場所取るにしてもな」
 食事や収容する場所の問題があるがというのだ。
「それでもな」
「出来る限りですね」
「非道なことはしたくないからな」
 倫理観からだ、久志は話した。
「後で自分の軍勢にも入れたいしな」
「だからですね」
「ああ、捕虜はな」
「殺さずにですね」
「後に軍勢に入れることも考えてな」 
 そのうえでというのだ。
「今はな」
「捕虜はですね」
「収容所に入れるぞ」
「わかりました」
 順一も頷いてそうしてだった。
 ボローニャ軍の捕虜達は武装解除されたうえで後方の城や砦に送られそこで牢屋に入れられたうえで今は収容された、久志達は死んだ自軍の将兵達も復活させてだった。
 あらためてボローニャへの進軍を開始した、もうボローニャ軍は出て来ることはなく街にまで達するまで実に容易だった。
 街に着くとだ、久志はすぐにだった。
 街を包囲させて降伏勧告を行った、だがだった。
「やっぱり下らないか」
「うん、返事はね」
 剛が本陣で久志に話した、主だった面子が本陣の久志の天幕の中に集まっている。
「陥落させられるものならね」
「陥落させてみろか」
「ボローニャの堅固な城壁を打ち破ってね」
「確かに凄い壁だな」
 久志はボローニャのその城壁について述べた。
「さっき見たけれどな」
「高くてね」
「ありゃかなり分厚くてな」
「堅固だね」
「しかも対魔もな」
「そっちも凄いみたいだね」
「しかも二重よ」
 双葉がこのことを話した。
「ボローニャの城壁はね」
「城壁は一重とは限らないか」
「そうよ、それはわかるわね」
「ああ、堅固な街なんてな」
 それこそとだ、久志も述べた。 
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