不安が呼ぶもの
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第一章
不安が呼ぶもの
アリー=アルフィアンとアッタプー=ブッパースウォングは今はアルフィアンの神託でシンガポールに来ていた。
だがシンガポールに入ってだ、アルフィアンは整いビルが立ち並んでいる街の中を観て苦い顔になっていた。
それでだ、こうブッパースウォングに話した。
「いや、ほんまに」
「シンガポールはやな」
「相変わらずです」
「ゴミ一つ落ちてないな」
「私もここを治めてますけど」
「リーさんのところだからね」
「こっちの世界でもです」
シンガポールはというのだ。
「厳格な雰囲気に包まれてて」
「それでやな」
「もうあれは駄目これは駄目」
「その様にやな」
「なってますね」
「そういえば自分この街は」
「祖国ですからね」
シンガポールはこの世界でも都市国家だった、今は十神連合の中にあるがかつてはそうであったのだ。
「愛着はありますけれど」
「自由はないのね」
「金持った北朝鮮とか」
その様にというのだ。
「言われてますし」
「いや、あの国は」
この世界にはない国についてはだ、ブッパースウォングはこう返した。
「幾ら何でも」
「違いますか」
「あの国はいつも餓えてるし」
慢性的な飢餓状態にあるのは世界的に有名だ。
「あれも駄目これも駄目もな」
「シンガポールよりもですか」
「ずっと多いし刑罰もな」
「シンガポールも強制収容所は」
「ないやろ」
「幾ら何でも」
流石にとだ、アルフィアンも答えた。
「ないです」
「あそこは収容所どころか地域やしな」
「独裁対象地域でしたね」
「何かあったらな」
それこそというのだ。
「そこに送られて運がよくない限り一生出られんかな」
「死刑ですね」
「将軍様の気分次第でな」
「その国と比べたら」
「幾ら何でもな」
シンガポールはというのだ。
「遥かにましやろ」
「そう言われますと」
「金のある厳しい国や」
シンガポールはというのだ。
「それで北朝鮮は北朝鮮や」
「遥かに酷い国ですね」
「そや」
まさにと言うのだった。
「問題外や」
「そうですか、しかし私にとっては」
「日本にいる方がやな」
「他の国にいる方が」
日本でなくともというのだ。
「豊かでなくても気楽ですね」
「そういうことね」
「ただ戦乱は」
それはとだ、アルフィアンはさらに話した。
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