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ペガサスを探して

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第一章

               ペガサスを探して
 チュット=ソヴァン=ヴァンナリーレアクとグエン=チアン=ズーはこの時チュットの神託でカンボジアのプノンペンに来ていた。
 プノンペンに来てだ、チュットは街に来てすぐに聞いた噂についてズーに言った。
「いや、亡霊とか死霊とか」
「そうしたお話ですわね」 
 ズーは今は海豹の毛皮を脱いで法衣姿でいる、シルキー族は泳ぐ時以外はそうして普通に暮らしているのだ。
「これは」
「そやね」
「あたくし様から見ましても」
 ズーはこうチュットに述べた。、
「そうしたお話ですわ」
「毎晩街外れのお墓で呻き声が聞こえてくる」
「そうしたお話は」
「ほんまね」
「亡霊とか幽霊ですわね」
「まあそれやったら」
 チュットはあらためて述べた。
「私はこの世界ゴースト、幽霊やし」
「はい、種族ですけれど」
「それやし」
 見れば身体が透けている、実体がないということだ。ただしそれでも飲食は出来たりする。
「別にね」
「怖くないというのですわね」
「亡霊とか死霊よりも」
 むしろと言うのだった。
「むしろ怖い人の方が」
「狂人とかですわね」
「サイコ殺人鬼とか」
 こうした連中はこの世界にも存在している、世の中許されない狂気に陥り人でない何かに変わった輩もいるのだ。
 それでだ、チュットも今こう言うのだ。
「ずっと怖いから」
「そうした相手でない限り」
「別にな」
「お墓にもですわね」
「行こうか」
「おそらくそれが貴女の神託でしょうし」
 ズーも頷いた、そうしてだった。
 二人は共にだった、夜にプノンペンの外れにある墓地に向かうことにした、とはいってもプノンペンは夜も賑わっていた。
 多くの出店が出ていてそこで麺類や揚げもの、炒飯等軽い食事を酒が売られていてだった。
 人々がその店の前や仲で舌鼓を売っている、ズーはその光景を見てそのうえでチュットに暖かい笑顔で話した。
「我が国でもでしてよ」
「ベトナムもやね」
「夜になりますと」
「こうして出店が一杯出て」
「皆楽しみますわ」
「台湾でもそやけど」 
 チュットは起きた世界でもそうだがこちらの世界のことも話した。
「ほんま東南アジアは」
「ベトナムでもタイでも」
「こうしてな」
 まさにと言うのだった。
「夜は出店が一杯出て」
「皆さん楽しみますわね」
「ほな神託が終わったら」
「あたくし様達もまた」
「楽しもうな」
「是非共」
 二人でこうした話をしてだった、そのうえで。
 チュットはズーと共に墓地に入った、墓地に近付くにつれ人通りは少なくなり傍には誰もいなくなっていた。
 そして墓地に入ると琵琶の音に乗ってだった、とんでもない地の底から響いて来る様な不気味な歌声が聴こえてきた、その声を聴いてだった。
 チュットはこれ以上はない位に眉を顰めさせてズーに言った。
「酷い音痴やな」
「ここまで酷いと」
 まさにとだ、ズーも言った。 
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