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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第七十二話 呂蒙、学ぶのことその九

「海賊もしたいけれど」
「駄目駄目、あんたこの世界じゃ海賊は止めたんでしょ?」
 孫策がそのジェニーに突っ込みを入れる。
「そんなことしたら捕まえるわよ」
「あら、悪いことになるのね」
「なるわよ。だからしないようにね」
「わかったわよ。じゃあ修業三昧でいくわよ」
 ジェニーもそれで納得するのだった。そうしてだ。
 そんな話をしながらだ。彼女はこんなことも話した。
「今の修業が終わったらそれでね」
「何か食うのか?」
 骸羅が尋ねる。
「あれか?御主の好きなそのステーキか?」
「ええ、それにするわ」 
 笑って言葉を返すジェニーだった。
「やっぱりあれよ。食べるならステーキよ」
「確かにあれはいいわね」
 孫策もステーキと聞いて笑顔で応える。
「食べがいがあるしね」
「孫策さんもステーキは気に入ったみたいね」
「元々肉好きだしね」
 実に孫策らしい言葉である。本人もそれは自覚している。
「ぶ厚いのにバターを乗せてよね」
「そうそう。それがいいのよ」
「じゃあ俺もだ」
 骸羅も楽しげに笑って言う。
「昼はステーキにするか」
「それでいいのか?」
 暁丸はその骸羅に突っ込みを入れた。
「一応僧侶ではないのか?」
「ああ、そうだがな」
 それはその通りだと頷く骸羅だった。
「けれど食うぞ。ついでに酒も飲むぞ」
「どんな破戒僧だ」 
 思わず言ってしまった暁丸だった。
「祖父殿も怒る筈だ」
「爺様のことは言うなよ」
 その話になるとだ。不機嫌なものを見せる骸羅だった。
「全く。この世界でも一緒だとはな」
「呼んだかの」
 小柄な白い髭の老人が出て来た。僧服を着て頭には傘がある。そしてその手には杖がある。その老僧が不意に出て来たのである。
「何じゃ、骸羅ではないか」
「げっ、爺様かよ」
「御主、また悪さをしておるのか?」
 孫にだ。こう言うのであった。
「それでも僧侶か」
「うるせえ、信仰は心なんだよ」
 強引にこう言う骸羅だった。
「だからいいんだよ」
「どうせ肉でも喰らおうとしておるのじゃろう」
 彼は孫の魂胆はもうお見通しであった。
「全く。いつもいつも」
「俺が肉を食って悪いってのかよ」
「思いきり悪いだろ」
 こう突っ込みを入れたのは十三だった。
「こっちに遊びに来てる暁丸も言ってるだろうが」
「だから信仰は心だ」
 まだ言う骸羅だった。
「肉を食ってもいいんだよ」
「まあ骸羅のその身体はね」
 孫策が彼の巨体を見て言う。
「ちょっとやそっと食べたんじゃ追いつかないわよね」
「それはそうよね」
 ジェニーも孫策のその言葉に頷く。
「十三もだけれど」
「そういうことね。まあ私は誰が何を食べようが特に言わないわ」
「別にいいんだな」
「そうよ。私はいいから」
 骸羅自身にも言う。しかしだ。
 その彼と老僧を見比べてだ。こんなことも言った。
「あんたと和狆って本当に肉親なの?」
「何だ?見えないのか?」
「ええ、大きさが違い過ぎるから」
 それで見えないというのである。
「ちょっとね」
「よく言われるのう」
 和狆がそのことを認めてきた。
「昔からな」
「ああ、やっぱりそうなの」
「貰った子とも言われておった」
「実際そうじゃないのか?」
 こう突っ込みを入れたのはマキシムだった。
「全然似てないしな」
「俺もそう思うぞ」
 それを骸羅も言う。6
「俺と爺様って本当に血がつながってるのかよ」
「まさかと思うけれど」
 孫策が笑いながら話す。
「和狆って昔は大きかったとかね」
「じゃああれか?」
 十三は孫策のその話を聞いて述べた。
「骸羅は歳取ったら小さくなるのか」
「おい、何処まで小さくなるんだよ」
 骸羅は十三のその言葉に突っ込みを入れる。
「その方がおかしいだろ」
「そうね。まあ世の中色々あるけれど」
 孫策もここでまた話す。
「気にしたらいけないこともあるみたいね」
 そんな話をしながらだ。彼等は修業を続けていた。その団欒の時も楽しんでいたのである。


第七十二話   完


                     2011・4・5
 
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