ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第80話:Bio Laboratory
一方、バイオラボラトリーのエックスはある場所に閉じ込められていた。
「何処にいるんだ?このラボを管理しているボスは?閉じ込められただけじゃなくてエイリアへの通信も出来ない…何が目的なんだ?俺を生け捕る作戦か…それとも時間稼ぎ……若しくはここでデスマッチ……」
次の瞬間、床が揺れ始めた。
「(来たか!?)」
敵の襲撃を警戒し、周囲を見渡した瞬間に床が崩れ、大型メカニロイドからの奇襲を受ける。
「ぐああっ!!」
エアダッシュする余裕もなくまともに攻撃を受けてしまうエックス。
メカニロイドのドリルに脇腹を抉られるが、サードアーマーを身に付けていたのが幸いし、ダメージは軽微である。
「くうっ、まさか下から来るとは…」
サードアーマーを纏っておいて良かったと思う。
もしこのアーマーがなかったらこんなダメージでは済まなかっただろう。
また床が揺れる。
「………今だ!!」
エックスはメカニロイドの奇襲をダッシュでかわすとダブルチャージショットの後にショットの連射を浴びせた。
そして再び穴に戻るメカニロイド。
「(くっ、何とか奴の動きを封じられれば……そうだ…)」
動きを封じるのに丁度良い特殊武器がある。
そしてあのサイズなのでチャージ攻撃でなければ動きを封じられない。
エックスは無事に帰還したらエイリアにお礼をしようと誓った。
タイミングを図り、エックスはダッシュでメカニロイドの攻撃をかわすと特殊武器を放つ。
「ライトニングウェブ!!」
バスターから放たれた光弾は巨大な電気を纏う蜘蛛の巣となってメカニロイドを絡め取った。
「とどめだ!!」
零距離でダブルチャージショットを放ち、チャージライトニングウェブによって拘束されたメカニロイドを爆砕した。
「何とか倒せたか…むっ!?」
エネルギー反応を感知したエックスは上を見上げる。
そこにはキノコを思わせるレプリロイドがエックスを見下ろしていた。
「そこかっ、ライトニングウェブ!!」
エックスはライトニングウェブを足場にしてレプリロイドの元に向かう。
「バイオラボラトリー管理用レプリロイド、スプリット・マシュラーム!!お前がここのボスか!!」
エックスは即座にデータを検索し、バイオラボラトリー管理用キノコ型レプリロイドのスプリット・マシュラームの詳細を調べた。
マシュラームはバイオラボラトリーの破棄と同時に処分されたはずだが…。
「ボス~~~?一体何のこと~~っ?」
エックスの言葉にマシュラームはただ疑問符を浮かべるだけである。
「そんなことより、さぁ!!一緒に遊ぼうよ!!」
「何!?待て、どう言うことだ!?」
マシュラームの言葉に驚愕するエックスだが、次のマシュラームの行動にも驚愕する。
「行っくよ~、ソウルボディ!!」
マシュラームは自身を模した高エネルギーの分身を数体作り出す。
「分身っ!?」
「行っけぇーっ!!」
エネルギー体の分身をエックスに向けて飛ばすマシュラーム。
咄嗟にエックスは両腕を交差させて分身を防御する。
「くっ、待てと言っているだろう!!」
「待て待てってさ~~~戦う気あんの~?弱い奴は友達じゃないからね」
「待つんだ!!」
マシュラームの言葉にエックスが叫んだ。
「お前はあいつのように善悪の区別がついていないだけだ!!やり直すんだよ!!今すぐ回路を修理するんだ!!」
エックスはカウンターハンター事件の際に戦い、ケインに修理されたことで更正したワイヤー・ヘチマールを思い出しながら叫んだ。
「体を弄られるのはや~だよ。それに戦わないなら聞きたくないもんね~~~」
分身をエックスに飛ばしながらマシュラームはそれを拒否した。
「そんなに言うなら戦ってやるさ!!その代わり、俺が勝ったら言うことを聞いてもらうぞ!!」
エックスの言葉にマシュラームは無邪気に笑いながら頷いた。
「OK!でもお兄ちゃんは勝てるかな~~~っ!?」
「約束だぞ!!」
両腕のバスターのチャージを終えるとマシュラームにダブルチャージショットを放つ。
「こっちだよ~だ!!」
マシュラームは身軽な動作でそれをかわすと分身を飛ばしてくる。
「くっ、戦闘慣れはしていないようだが、速い…」
小型のレプリロイドであることもあって、マシュラームに攻撃を当てるのは困難だ。
「よし…ライトニングウェブ!!」
最大出力のライトニングウェブを周囲に放ち、マシュラームの動きを阻害するように展開した。
「うわあ!?あぎゃぎゃぎゃあ!?」
動き回っていたマシュラームはライトニングウェブに絡め取られ、ライトニングウェブの電気によって感電した。
「もらった!!ダブルチャージショット!!」
感電と糸によって動きを止められたマシュラームだが、エックスは念には念を入れるように1発はマシュラームの脚部を撃ち抜き、次は頭部を狙い撃ち、気絶させた。
落下するマシュラームを受け止め、後はケインの元に連れていくだけだと安堵した時、背後から襲撃を受け、マシュラームを奪われてしまう。
「マシュラーム!!」
直ぐに追い掛けるエックス。
一方のゼロはアイリス達が修理を終えたのを見て、そちらに向かう。
「ごめんなさいゼロ。あなたの修理を放り出して」
「構わない、残りは大したことはなかったしな」
「そう……ねえ、ゼロ…この戦いは…誰が望んだのかしら…」
「何?」
「兄さん達じゃないのは確かなの、この戦い…何か邪悪な“モノ”に操られている気がするの……」
「邪悪な…か……」
ゼロはこの戦いを裏で操ろうとする存在について考え始めた。
そして場所はバイオラボラトリーに戻り、エックスはマシュラームを腕のブレードで串刺しにしているレプリロイドを睨み据えた。
「マシュラームを放せ…!!」
「おめえは殺さねえよ。今日は命令を受けてねえからな」
「ふざけるな!!」
エックスは謎のレプリロイドに向けてチャージショットを放つ。
「おっと、普段は甘いのに怒ると意外に攻撃的になるんだな……何!?」
既に第二撃のチャージショットが放たれていた。
レプリロイドは体を捻ってかわすが、エックスはエアダッシュで距離を詰めるとマシュラームを救出した。
「誰かは知らないが、更正出来るかもしれない彼を死なせはしないぞ」
「チッ、こんな単純な手にかかっちまうとは…まあいい、いずれ命令を受けた時は膾のように切り刻んで殺してやるよ」
それだけ言い残すとレプリロイドは去っていった。
「去ったか…それにしても奴は俺のことを知っているような口振りだったな…一体何者なんだろう…」
エックスは言い様のない不安を抱きながら夜空に浮かぶ満月を見上げた。
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