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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第七十二話 呂蒙、学ぶのことその六

「これからもね」
「はい、学んでいきます」
 直立して応える呂蒙だった。声もうわずっている。この言葉の後で一礼して孫権の前から退出したのである。そうしたのである。
 そんな彼女にだ。ふとだ。
 ダックにタン、ビッグベア達が彼女のところに来てだ。笑顔で声をかけてきた。
「よお、どうした?」
「にこにことしておるが」
「何かいいことがあったのか」
「あっ、それは」
 彼等に対しても生真面目に返す呂蒙だった。
「ただ。蓮華様とお話していただけですけれど」
「ああ、孫権さんな」
「あの娘と話をしておったのか」
「成程な」
 三人は呂蒙のその言葉を聞いて納得して頷いた。それを聞いてだ。
 あらためてだ。三人で呂蒙に対して言うのであった。
「孫権さんもいい娘だからな」
「うむ。心根が大層奇麗じゃ」
「俺達にも色々と親切にしてくれるしな」
「蓮華様はとてもお優しい方です」
 呂蒙もだ。そのことはよくわかっていた。
「それに真面目な方で」
「あんたもだな」
 ビッグベアが笑ってその呂蒙に話した。
「あんたも真面目だな」
「私もですか」
「そうだよ。その真面目さがいいんだよ」
 こう呂蒙に話すのである。
「俺達みたいじゃないからな」
「だよな。俺なんか真面目に何かしたことなんてないしな」
 ダックは自分で言った。軽い調子でだ。
「テリーの奴にもあまり勝ってないからな」
「テリーさんというと」
 その名前は呂蒙も聞いていた。彼は。
「確か劉備さんのところにおられる」
「そうだよ。あの帽子の奴な」
「ですよね。凄く腕が立つ方とか」
「ったくよ、強過ぎるんだよあいつは」
 ダックは笑ってだ。こう呂蒙にはなす。
「お蔭で俺も苦労してるぜ」
「そうなんですか」
「俺がこうして修業してるのもな」
 両手に身振りを入れて話すダックだった。
「あいつに勝つ為なんだよ」
「テリーさんに勝つ為に」
「いきなり負けてな。その時からダンスだけじゃなくてそっちにも力を入れてるんだよ」
「ダックさんは踊り手でもありましたね」
「そうだよ。ダンサーな」
 自分の世界の単語で言ってみせた。
「それなんだよ、俺は」
「そして格闘家でもあるんですね」
「そういうことさ。それでな」
「それで?」
「あんたを見てるとどうもな」
 ダックはあらためて呂蒙を見てまた話す。
「俺も真面目にしないとなって気になるんだよ」
「私をですか?」
「そうだよ。いつも一生懸命だからな」
 それは彼等から見てもなのだ。とにかく真面目な呂蒙である。
「俺の場合真面目にするのが一番難しいけれどな」
「いえ、ダックさんも」
「俺も?」
「根は凄く真面目ですよね」
 こう言うのである。そのダックを見てだ。
「だって。ずっとテリーさんに勝つ為に修業されてますね」
「さもないとあいつには勝てないからな」
「真面目ではない人がそんなことしないからです」
「そうだっていうのかよ」
「はい、だからです」
 これが呂蒙の見るダックだった。彼女から見るとダックは真面目なのだ。
「ダックさんは真面目です」
「そうか?俺が真面目かよ」
「まあ真面目じゃな」
 横からタンも彼に言ってきた。
「御主は実は真面目じゃ」
「だといいんだけれどな」
「そうじゃ。それでじゃ」
「それで?」
「最近どうも不穏になってきたのう」
 タンは右手で己の白い髭をしごきながら話した。
「戦になるかのう」
「そうですね。危険です」
 呂蒙も真面目な顔になる。元々鋭い傾向の目がさらに鋭くなる。
「大きな戦になるかも知れません」
「ったくよ。都だったよな」
「はい」 
 呂蒙はビッグベアのぼやく感じの言葉に応えた。
「今都では大変なことになってますから」
「あの大将軍が処刑されてだよな」
「宦官達も粛清されました」
 このことは呂蒙にとってはいいことだった。彼女も宦官達は好きではないのだ。
「ですが。それでもです」
「あれだよな。董卓だったよな」
「そうです、擁州の牧だった」
 ダックにも話す。
 
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