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レーヴァティン

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第九十五話 中央部その八

「好都合でしょ」
「攻めていくか」
「そうしていきましょう」
「よし、じゃあな」
 久志はすぐにまた動くことにした、だがここで彼は一旦壁の時計を見た。見事な造りの鳩時計である。
 その時計を見てだ、彼は言った。
「飯の時間か」
「お昼ですね」
 夕子も言った。
「そうですね」
「ああ、じゃあ飯にするか」
「それでは」
「さて、今日はな」
 久志は楽しそうに述べた。
「ピザとパスタだよ」
「その二種類ですね」
「ああ、ピザもいいしな」
「パスタもいいですね」
「ああ、しかも今日のパスタは」
 それはとだ、楽しそうに言う久志だった。
「スパゲティカルボナーラだからな」
「久志さんそのスパゲティもお好きですね」
「大好きだぜ、起きてる時もな」
「そうですか」
「あの生クリームと卵とベーコンとな」
 それと、というのだ。
「黒胡椒がいいよな」
「この組み合わせがですね」
「恐ろしいまでの美味さだよな」
「美味しいからこそですね」
「大好きだよ、イカ墨も好きだけれどな」
 こちらのスパゲティもというのだ。
「カルボナーラも大好きだからな」
「今日のお昼は期待していますか」
「ああ、赤ワインも飲んで」
 共に飲む酒はこちらだった。
「そうしてな」
「楽しまれますか」
「ああ、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「英気を養ってな」
「午後もですね」
「頑張るぜ、カルボナーラには大蒜も入ってるしな」
「パスタには欠かせないですね」
「オリーブオイルと大蒜がないとな」
 この二つがというのだ。
「もうな」
「パスタではないですね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「これからな」
「お昼をですね」
「楽しもうな、赤ワインと一緒にな」
「カルボナーラがあるが」
 ここで言ったのは正だった、彼が言うことはというと。
「俺達の世界では出て来たのは大戦中だ」
「大戦って第二次世界大戦か」
「そうだ、その時にアメリカ軍がイタリアに入った」 
 北アフリカ戦線からシチリアに上陸しそうしてイタリア半島まで攻め入った。この時にイタリア派降伏しムッソリーニも失脚しているがドイツ軍と彼等に救出されたムッソリーニが連合軍と戦ったのだ。
「その彼等の食材を使ってだ」
「カルボナーラが出来たんだな」
「他にも説があるが」
「そういえばアメリカ好みの味だな」
 カルボナーラの味を思い出してだ、久志は述べた。
「言われてみれば」
「そうだな」
「ナポリタンと同じだな」
「あれもアメリカ軍が日本に来てな」
 進駐軍としてだ。
「そのうえで定着しているからな」
「カルボナーラと一緒だな」
「そうだ、ナポリタンというが」
「イタリアにはないからな、あのスパゲティは」
「日本のスパゲティだ」
 まさにというのだ。 
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