苦手な話
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第三章
「妙薬を頂いていきます」
『そうしてくれますか、今夜です』
「ステージですね」
『間に合ってくれれば』
「絶対に間に合いますので」
安心してくれとだ、志賀は歌手に答えた。そしてだった。
石川と共にその村に向かうことにした、街を出て馬に乗ったうえで村に向かうが馬に乗りながらだった。
志賀はどうかという顔で石川に言った。
「僕は農民でね」
「私は財政家だしね」
「冒険に出たけれど」
「冒険も戦闘もね」
「専門じゃないからね」
「そうそう、どっちかというとね」
「苦手だけれど」
それでもとだ、志賀は言うのだった。
「これが神託だからね」
「やるしかないね」
「途中モンスターが出て戦闘になっても」
志賀はフォーク、彼の神具を手に話した。
「これでね」
「戦うね」
「格闘は僕がするから」
「では術は私がね」
「主にだね」
「使うから」
「じゃあそうしてね」
「戦っていこう」
二人で話してだ、そしてだった。
二人は村に向かった、すると途中モンスターが出て来た。二人は馴れない戦闘だったがその戦闘をこなしつつだった。
村に向かった、だが戦闘は多く。
志賀は戦闘の後の金塊を拾ってだ、石川に話した。
「やはりね」
「どうしてもね」
「敵が多くて」
それでと言うのだった。
「勝てていてもね」
「慣れないことはね」
「事実だから」
「苦手だね」
「その意識がね」
自分と同じく苦い顔になっている石川に話した。
「抜けないね」
「どうしてもね」
「しかし」
それでもとだ、志賀は石川にあらためて言った。
「これも神託、そして」
「何といってもね」
「困っている人を助けないとね」
「それが人のあるべき姿だし」
「村まで行って」
「そしてエルフの薬剤師さんから妙薬を貰おう」
「その秘伝の妙薬をね」
是非にと話してだ、そしてだった。
二人は夕方に村に着いてすぐにエルフの薬剤師と会った、エルフの薬剤師は九十を超えている老婆だったが。
顔立ちは整っていて若かった、その彼女に志賀が事情を話して。
そうしてだ、薬剤師の老婆に言われた。
「実はエルフの妙薬と言ってもな」
「それでもですか」
「エルフ以外でも作られる」
そうだというのだ。
「昔はエルフ秘伝の薬だったからな」
「そう言われているだけで」
「薬剤師ならな」
この職業ならというのだ。
「作られるからな」
「エルフの妙薬というのは」
「そういう名前というだけじゃ、今ではな」
「そうですか」
「それでその歌手の人は」
「今日ステージです」
「そうじゃな、ではな」
それならとだ、老婆は志賀に応えてだった。
薬を出してくれた、志賀はその薬を買ってだった。
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