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レーヴァティン

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第九十五話 中央部その四

「最善です」
「そうだよな、本当に」
「要は何といいましても」
「戦わずして勝つ、だな」
「はい、おそらく中程度の街位は」
「使者を送ればな」
「使者の話を聞いてです」
 そうしてというのだ。
「降ってくれます、ですが」
「ジェノヴァやフィレンツェ、ヴェネツィアはか」
 尚どれも北の都市だ。
「わからないか」
「どの都市も自主独立の空気があるので」
「わからないか」
「はい、ですが」
「基本はな」
「やはり戦わずして勝つです」
 このことが第一であることをだ、源三は強調した。
「そうしていきましょう」
「それじゃあな」
「北でも南でも」
「掌握していくか」
「そうしましょう、あと学問ですが」
「それはもうな」
「ローマです」
 つまり自分達が今いる街だというのだ。
「この街こそがです」
「半島の学問の中心だな」
「ひいてはこの島の」
「中心の一つだよな」
「ですから」
 それでというのだ。
「図書館の蔵書を学者の人達に調べてもらいましょう」
「相当多いけれどな」
「そして多いだけに」
「かなり優れた書があるよな」
「様々な分野で」
「だからか」
「はい、蔵書を調べてもらい」
 そうしてというのだ。
「学んでもらいです」
「新たな技術を見出してもらってな」
「勢力の発展に貢献してもらいましょう」
「そういうことだな、しかしな」
「それでもですか」
「ああ、北も南も学問は盛んだよな」 
 久志はこれから掌握することを考えている地域についてもだった、源三に対してあらためて尋ねた。
「そうだよな」
「半島全体がそうですね」
「魔術や錬金術にしてもな」
「ですから出来れば」
 それでというのだ。
「半島全体の学問をです」
「隆盛させるべきか」
「その為に多額の投資を行っても」
 そうしてもというのだ。
「必ずです」
「それに釣り合うかそれ以上のものが返って来るか」
「はい」
 まさにとだ、源三は久志に答えた。
「そうなりますので」
「損はしないな」
「学問の結果が出るには時間がかかりますが」
「金もな」
「ですがそれでもです」
「返って来るものは大きいな」
「ですから」
 源三も久志に話した。
「ここはです」
「学問にもな」
「力を入れていきましょう」
「折角凄い図書館があるんだからな」
 ローマの図書館はデルフォイのものに匹敵するとさえ言われている、これはこの街の教会の功績である。 
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