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徒然草

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39部分:三十九.或人


三十九.或人

三十九.或人
 ある人のお話ですが法然上人に念仏を唱えている時に睡魔に襲われてしまって御仏の道の修行をおろそかにしてしまうことがあるけれどこれはどうやったら解決できるのだろうかと尋ねましたところ上人は目が覚めている時間に念仏を唱えるとよいと答えられたそうです。これはとても有り難い御言葉です。
 また死後に極楽に行けると思えばきっと出来ますし出来ないと思えば出来ないと仰ったそうです。これもまたとても有り難い御言葉です。
 そのうえ死後に極楽に行けるのかどうか疑いながらも念仏を唱えていれば往生できるとも仰ったそうです。これもまた非常に有り難い御言葉です。
 法然上人は実に何事もわかっておられる方です。何事も自然にやるべきでありまた思えばそれでよい。これだけでよいと仰っています。これは簡単なことを述べているように見えますが実際はそこに至るまでには色々と積み重ねなければならないものがあり修めていかなければならないものもあります。そうしてそのうえでやっと至るものであります。上人がその域に至るまでには実に多くのものがあったのがわかります。そうしてそのうえで辿り着いたこの簡素ながら実によくわかっておられることがわかる御教え、実に素晴らしいものがあります。死後のことも思うだけでいい、有り難い御言葉であり有り難い御心であります。



或人   完


                 2009・5・25
 
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