徒然草
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27部分:二十七.御国譲りの
二十七.御国譲りの
二十七.御国譲りの
御国譲り、即ち新しい帝の即位の儀式が行われて三種の神器であるあの草薙の剣にさかにえの勾玉にたの鏡が新しい帝に渡される時はどうしても心細くなってしまうものです。
先日に帝の位を譲られて新しい院になられた花園の帝がその後で春に詠まれた歌がこれです。
殿守の とものみやつこ よそにして 掃はぬ庭に 花ぞ散りしく
誰もが新しい帝につきっきりで上皇のところに遊びに行く人もいないのでしょうがそうしたものを見ているとやはり寂しそうであります。こんな時にこそ人は本当の心を見せるのかも知れません。
帝が代わられることはどうしてもあることでありますがその度に感じてしまうことです。新しい帝は今は多くの人に囲まれていますが位を譲られるともう周りに誰もいなくなってしまいます。華やかなものが消えてそうして寂しさに包まれる。このことを見る度にこちらも寂しさを感じてしまいます。こればかりはどうしようもないことなのでありますが。それでも寂しさを感じずにはいられないのであります。寂寥は尊い方々の中にもある、いえだからこそあるのでしょうか。尊いからこそ存在している。相反するようでありますが実は違う、そこにあるものは全て裏返しに過ぎない。それを考えるとさらに深いものがあります。深いものは何処までも深くまるで海のようであります。何処までも深い海であります。
御国譲りの 完
2009・5・13
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