レーヴァティン
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第九十二話 堺からその十
「装備、そしてだ」
「訓練もですね」
「行い兵糧も塩もある」
「まさに万全の軍勢ですね」
「そうした軍勢を揃えてだ」
そのうえでというのだ。
「それからだ」
「将帥の質ではなく」
「勿論俺達も備えるべきでだ」
それでとだ、英雄は言うのだった。
「これまでそうした書も読んできたな」
「兵法書も」
「そうしてきたが」
学んできたがというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「俺達は戦闘はしてきた」
魔物や賊達相手のそれはだ。
「しかしだ」
「軍勢を率いてのそれは」
「したことがない」
「そこが不安材料ですね」
「頭でわかっている」
兵法書を読んでだ。
「それも大事だが」
「やはりですね」
「何といってもだ」
頭で知識を備え理解するよりもというのだ。
「実際に経験することだ」
「それが最もよい経験ですね」
「あらゆることでな、しかしな」
「その最初の経験がですね」
「問題だ、だからだ」
「最初で敗れない様に」
「優れた軍勢を備えるべきだ」
英雄はまたこう言った。
「それこそ誰が率いても勝てる様なな」
「そしてそうした軍勢で、ですね」
「勝っていってな」
「経験も積み」
「俺達も戦を知るべきだ」
「それも勝ちながら」
「そうあるべきだ」
これが英雄の考えだった。
「強い軍勢を備え」
「その軍勢で戦い経験を積み」
「勝っていってな」
「さらに経験を積んでいく」
「そうあるべきだ、理想論だがな」
「途中負けることもあるっちゃ」
愛実はあえてその場合について言及した。
「戦に勝敗には付きものっちゃ」
「その通りだな」
「うち等の術や神具もあるっちゃが」
「それでもだな」
「やはり勝敗はっちゃ」
それはというのだ。
「あるっちゃ」
「わかっている、だがな」
「出来る限りっちゃな」
「そこはだ」
何といってもというのだ。
「敗れてもだ」
「最低限の損害でっちゃな」
「抑えることだ」
「それが大事っちゃな」
「その通りだ、確かに戦は行わないに越したことはなく」
戦わずして勝つが最良、百戦百勝は善の善ならずということだ。
「戦わねば勝たねばならないが」
「それでもっちゃよ」
「これは理想論だ」
それに過ぎないというのだ。
「やはりだ」
「戦には勝敗があるっちゃ」
「必ずな、魔物相手の戦いでもそうだったが」
自分達がこれまで数えきれないだけ経験してきた戦いの話もした。
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