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徒然草

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172部分:百七十二.若き時は


百七十二.若き時は

                百七十二.若き時は
 年齢が若い時はどうしても血の気が多く心がもやもやとしまして何に対しても発情してしまいます。それで危険な遊びを好んでしまい何時壊れてもおかしくないのはまさに転がっていく卵のようであります。美しい女人に狂ってしまって自分の持っているお金を使い果たしてしまったと思えばその女人も捨ててしまって今度は托鉢の真似事などをしてしまったりします。有り余った体力のはけ口を探そうとばかりして誇りだけは高く他の人やものを羨んだり好んだり気紛れで浮気ばかりしてしまいます。そして性愛に溺れてしまい人情に脆いものです。好き勝手に人生を歩んで犬死にしてしまった英雄や豪傑の話に憧れて自分自身もそういった人生を送りたいと思うのですが結局は世の末まで恥ずべき汚点を残してしまいます。この様に進路を誤るのは若気の至りであります。
 一方老人はどうかといいますと何事にもやる気がなくその気持ちも淡白で細かいことを気にしたりせずにいちいち動揺したりしません。心が平坦なものですから意味のないこともしません。健康に気を使って養生をする場所を好んで面倒なことに関わらないように注意しています。年寄りの知恵が若者に対して秀でているのは若者の外見が老人のそれよりもいいのと同じことであります。


若き時は   完


                 2009・11・2
 
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