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戦国異伝供書

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第三十話 九州攻めに向けてその八

「そうしてじゃ」
「多くの港で儲けますな」
「そうするからな」
「堺もですな」
「儲けてもらう」
「わかり申した」 
 利休も堺の者として信長に答えた、今は茶人ではなくその立場として信長に対して応えたのである。
「それでは」
「その様にな」
「こちらも寂れるつもりはありませぬ、そして西国の他国との交易の富が」
「国を潤してな」
「そこから強い軍勢が出来まするな」
「水軍もな、金山は何時か尽きる」
 この場合は銀山も入る。
「しかしな」
「交易はですな」
「尽きぬ、だからな」
「そこからの富はどんどん得ますか」
「そうじゃ、それと倭寇じゃが」
「あの者達は」
「取り締まる」
 そうするというのだ。
「勝手なことはさせぬ」
「明や朝鮮に海賊の様なこともしていますが」
「そうしたこともさせぬ」
「無論交易もですな」
「そうじゃ、交易は基本公儀のものじゃ」
 即ち織田家のものだというのだ。
「だからな」
「あの者達は取り締まり」
「なくす」
 一人たりともというのだ。
「そうするぞ」
「わかり申した」
「そしてな」
 信長はさらに話した。
「海も穏やかにする」
「丘だけでなく」
「そしてじゃ」
「海も含めて天下を泰平にされますか」
「全てな」
「海賊も許しませんな」
「山賊と同じじゃ、そしてな」
 信長はさらに話した。
「街でも村でもじゃ」
「そのことはですな」
「同じでじゃ」
 それでというのだ。
「ならず者なぞじゃ」
「断じて許さず」
「そしてじゃ」
「罪を犯したならば」
「片っ端から捕らえる」
 何処までも追ってだ、悪者は容赦なく成敗するのが信長でありこのことも民からの人気になっているのだ。
「そうしてじゃ」
「そのうえで」
「そうじゃ、裁いてじゃ」 
 そしてというのだ。
「民達の憂いをなくす」
「左様ですな、ただ倭寇は」 
 その倭寇についてだ、利休は信長に話した。
「どうやらです」
「本朝の者もおるがな」
「それは二割です」
「案外少ないのう」
「刀や鉄砲がやけに強いと言われていますが」
 明でもというのだ。
「しかし」
「その実はじゃな」
「明や朝鮮の者達が多いです」
 倭寇といってもというのだ。
「その国の奸賊達でさらに」
「南蛮の者達もな」
「入っているとか」
「本朝の者達はおってもな」
「その実はです」
「雑多じゃな」
「はい、そのことはです」
 利休は信長にさらに茶を煎れつつ話した。 
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