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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第25話:Duel

 
前書き
漫画版で個人的に好きな回です 

 
突如、国全体を揺らす地震が発生し、山の頂上が崩れたかと思えばそこから更に山が生えると言う異常事態が発生していた。

丁度ヘチマールの特殊武器であるストライクチェーンの最終調整を終えたエックスは司令室に駆け込み、ケインとエイリアに異常事態について尋ねる。

「ケイン博士、エイリア…これは一体…」

「落ち着くんじゃエックス。今、エイリアが調べてくれておる…」

慌てるエックスをケインが宥める。

火山の状況を調べているエイリアだが、徐々にそれは深刻な物となる。

「何てことなの…!!」

「どうしたんだエイリア?」

「あの火山が噴火すれば地中で繋がる多くの火山も噴火を起こして、その火山灰は太陽を遮り、この国は死の国となるわ」

「何だって!?」

エイリアの説明にエックスは驚愕で目を見開き、ケインはエックスを火山に向かわせる。

「エックス!!シグマの野望を食い止めるんじゃあっ!!」

「はい!!」

エックスは司令室を出て、チェバルに乗り込むと目的地の火山に向かうのであった。

一方、火山の頂上では1体のレプリロイドが佇んでいた。

「こんな気の長い作戦は性に合わねえが、おかげで奴が来る。このフレイム・スタッガー様の元にな!!その時こそあの日の恨み、晴らさせてもらうぞ!!」

スタッガーと言うレプリロイドが拳を握り締め、頭部の炎の熱を上げながら叫ぶ。

このスタッガーは以前、エックスと決闘をしてエックスに敗北したと言う過去を持つ。

シグマの反乱以前、一部の特A級ハンターの間でB級とそれ以下のハンター達への謂れなき蛮行が行われていた。

それに対して強い正義感を持つエックスは反感を抱いてその中心人物であるスタッガーにゼロを立会人にした決闘をすることになったのである。

『俺が勝ったら、彼らへの行いを改めてもらうぞ』

『身の程って奴を教えてやるよ。その体にな!!』

2人が同時に駆け出す。

片や問題児とは言え、高い戦闘力を誇る特A級ハンターのスタッガーと、片やB級の落ちこぼれと言われているエックスとでは誰もがスタッガーの勝利を確信していた。

それはエックスに庇われたハンターたちも同様にだ。

しかし、ゼロとこの場にいないルインはエックスの勝利を確信していた。

スタッガーが繰り出した拳をエックスは最低限の動きで回避するとチャージを終えているバスターの銃口をスタッガーの顎に突き付けた。

このままエックスがバスターの引き金を引けば間違いなくスタッガーの頭部が消し飛ぶだろう。

『ぐ……』

バスターを突き付けられたスタッガーだけでなく、ゼロ達以外の誰もが目を見開く結果となった。

『勝負あったな』

ゼロがエックスの勝利を宣言すると、敗北したスタッガーが憤る。

『何ーっ!!ゼロ!俺が負けたと言うのか!!』

『そうだ、潔く負けを認めろフレイム・スタッガー。曲がりなりにも特A級ならな。』

憤るスタッガーを鋭く睨み据えるゼロに何も言えなくなり、スタッガーは無言となった。

そしてシグマの反乱の際にハンターを脱隊し、エックスへの復讐の機会を待っていたのである。

「俺は負けちゃいねえ…さあエックス、マグマの洗礼を切り抜けて俺の元まで来い!!」

そしてエックスは壁蹴りを駆使して下から迫るマグマかは逃げていた。

「まさか、敵の基地の中でマグマと追いかけっこをするとはな!!」

いくら熱に高い耐性を持ち、ファーストアーマーで防御力を高めたエックスのボディでもマグマの熱は耐えられないので急いで出口まで急ぐ。

足場にする岩に足を引っ掛けるが、足場の岩が崩れてマグマに落下していく。

「(まずい!このままではマグマに飲み込まれる…よし、この武器を!!)ストライクチェーン!!」

バスターから鎖を射出し、出口の岩に先端を食い込ませるとそのまま鎖を元に戻すことで出口にエックスが引っ張られる。

「ふう…ヘチマールの武器が無ければ危なかったな…用心しなければ…」

ヘチマールの特殊武器によって救われたエックスは安堵の息を吐いて先に進む。

「ここに敵の本陣があるはずだ…恐らくマグマの真ん中にある岩山がそうだろう…行くか!!ストライクチェーン!!」

鎖の先端を岩に突き刺して本陣である岩山に向かい、その内部に侵入するエックス。

そして岩山の中枢とも言えるマグマのコントロールルームに入ったのだが…。

「誰もいない…ここにボスはいないのか?ここでマグマをコントロールしているんだろうが、下手に破壊するとどうなるか分からないからな…仕方ない、一旦…戻るか…」

一度任務を中断してハンターベースに帰投しようとするエックスだが、何かがぶつかるような音に足を止めた。

「ん?上!?…ぐあっ!!」

回避する暇もなく、何者かの突進をまともに喰らって上空に向かって跳び上がり、天井で跳ね返って床にエックスを叩き付けようとする。

「叩き付け……ぐはあ…っ!!」

床に叩き付けられたエックスは苦悶の表情を浮かべるが、エックスを床に叩き付けた存在は即座にエックスから離れると高笑いした。

「隙・隙・隙・隙・隙だらけだぜーっ!!」

「お前はフレイム・スタッガーか!?いや…しかし以前とは姿が違う…」

ボディの形状が以前の物とは違うことに気付いたエックスは表情を顰めた。

「貴様を確実に倒すため、シグマに改良して貰ったのさ!!」

シグマに改良してもらったことでより強力な炎と高い格闘能力と機動性、耐久力を得たスタッガーはエックスを鋭く睨む。

「俺を殺すため…まさかまだあのことを………」

「そうだ!!貴様の命で俺の恥を拭う!!」

あの日から特A級であるにも関わらず、B級に負けたことで同じ特A級のハンター達から侮蔑の視線を向けられたスタッガーは復讐の時を待っていたのだ。

「そ…そんなことのためにシグマに魂を売ったのか!!」

しかしそれはエックスからすれば完全な逆恨みであり、逆恨みのためにシグマに魂を売り、仲間を裏切ったスタッガーの愚行は到底、許せるものではない。

先制攻撃でチャージショットを放ってスタッガーに直撃させる。

「んぐっ!!くくく……」

チャージショットをまともに受けて幾らか揺らいだものの、次の瞬間には嘲笑を浮かべていた。

「!?」

「痒い痒い痒ーい!!笑う!笑う!笑う!笑っちまうねーっ!!」

チャージショットが容易く掻き消されたことにエックスは驚愕し、スタッガーはエックスに火炎弾を連続で飛ばしてくる。

これがスタッガーが好んで扱うラッシングバーナーである。

威力自体はファーストアーマーの防御力で耐えられるが、連射と速射性が高いこの技はジワジワとエックスにダメージを蓄積させていく。

「くっ…」

「チッ!出来損ないのレプリカとは言えシグマを倒した装備なだけはあるようだな!!」

どれだけ火炎弾を撃ち込んでも倒れないエックスに苛立ちが募り、踵落としを叩き込んで床に叩き付ける。

「うぐっ!!」

「さあ、詫びろ!!」

「ぐあっ!!」

倒れたエックスを足蹴にするスタッガーだが、エックスは何とか起き上がろうと腕に力を入れるが、力の差があって起き上がれない。

「起きたいのか?起こしてやるぜっ!!」

「ぐはっ!!」

エックスを蹴り上げ、無理矢理に起こした体にアームハンマーを叩き込んで再び床に叩き付けた。

「でもすぐにおねんねだけどな!!」

「う…く…っ」

「さあてと、詫びる気にはなったか?詫びたところで見逃さねえけどよっ!!んっ!?うおっ!?」

突如起きた衝撃にスタッガーの体が浮き上がり、エックスはバスターを浮いているスタッガーに向けた。

「ストライクチェーン!!」

「っ!?」

鎖の先端がスタッガーの右腕を掴み、そのまま引き寄せると左手には逆手に構えたZXセイバー。

先程、チャージセイバーを床に叩き込んで衝撃波でスタッガーを浮き上がらせたのだ。

流石のスタッガーも上空ではまともに動けないためにセイバーによる攻撃をまともに受けることになり、右腕が斬り落とされた。

「ぐ…おおおっ!!?」

「許さない…」

「ぐっ!?」

背後にいるエックスを睨むが、エックスもまた怒りに満ちた目でスタッガーを睨む。

「俺を恨むのは勝手だが、しかし罪のない人々まで巻き込むのは許さない!!」

そのエックスの目にスタッガーの怒りが臨界点に達し、そしてスタッガーも自覚していない感情を抱かせた。

「こ…このぉ…ガキャあぁ。殺して・殺して・殺して」

出力を最大まで上げ、身に纏う炎が蒼に変化するのと同時にエックスに突進し、上空に跳び上がった。

「うぐっ!?」

「この良い子ぶりっ子野郎がぁーーーっ!!おめえのそう言うとこが、大・大・大・大・大っ嫌いなんだーーーっ!!」

そして天井で跳ね返って床に向かって急降下。

最初に繰り出したものとは比較にならない勢いと威力でエックスは床に叩き付けられた。

「あ…あ…うぐ…」

ファーストアーマーで防御力を底上げした状態であっても身動き出来ない程のダメージを受ける。

「ふん、これに懲りたら正義漢ぶるのは止めるんだな……もう、生きとらんだろうがな」

「勝手に…殺すな…!!」

「ん!?エックス、貴様まだ!?」

手加減など一切していないと言うのに起き上がったエックスにスタッガーは驚愕する。

「俺は…負けられないんだ…お前のような、力で相手を捩じ伏せようとするようなイレギュラーにはな!!」

ダメージを受けてもエックスの眼光は少しも衰えない。

「その目が、その目がっ!その目がよぉーーーっ!!」

拳に炎を纏わせてエックスに殴り掛かる。

「(ストレートだ。間合いを外して…)」

「ちっ!!」

間合いを外すために下がろうとするエックスの足を踏んで動きを止めた。

「っ!!」

「気に入らねーーっ!!」

スタッガーの拳は何とか直撃は避けたものの、熱によってエックスの目…アイカメラの機能を低下させる。

「っ……」

「これで胸糞の悪い目ん玉ともおさらばだ!!……ヒッ!!」

高笑いしていたスタッガーだが、エックスの閉じられているはずの目の眼光に気圧される。

「何だよ…何だよ…何だよ何だよその目はーーーっ!!う~~~っ!!」

地団駄を踏みながらスタッガーは拳に炎を纏わせ、エックスはバスターを構えた。

いやしくもあの決闘の再現である。

天井から石が落ち、それが床に落ちたのが合図となって同時に動いた。

2人はすれ違い様に一撃を放って互いに背を向けたような状態となる。

少しの間を置いてエックスの左肩のアーマーが床に転がり、エックスは傷口を押さえて膝をつき、力なく倒れた。

「ふふぇ、ふぇふぇふぇ。エックス…貴様のよぉ、負け・負け・負け・負け!!大負けだーーーっ!!!」

復讐の成就に歓喜にするスタッガーは倒れ伏すエックスの頭部を踏みつける。

「見たか!?これが特A級の本当の実力だあ~~!!あっ、しまったぁ~~。もう見れねぇ~~かぁ~~っ死んじまったもんなぁ~~~!!」

勝利の余韻に浸るスタッガーだが、体に異常が起き始めた。

「あ……?あ~~~っ!!?」

スタッガーの纏っていた炎が本人の意思とは無関係に突然消えてしまい、スタッガーは狼狽える。

「俺…俺、俺の……炎が消えていく~っ!!」

次の瞬間には胸から炎が噴き出す。

「何だ!何だ!!何だぁあ~~~!!!止ま・止ま・止ま・止ま・止まらねぇ~っ!!」

抑えようとしても炎の勢いが増すばかりで噴き出す炎は止まらない。

「俺が…破壊した」

傷を押さえながら立ち上がり、スタッガーの異常の原因を説明する。

「てめ…」

「俺の放った特殊武器…ストライクチェーンでお前のエネルギーコントロールシステムを破壊したんだ」

「吹か…すなよぉ~…俺の体に傷は無かった!!しかもてめえ、視界がボケてるじゃねえかぁっ!!」

実際にシステムを破壊されているにも関わらずスタッガーはそれを認めようとはしない。

しかしいくら目を潰されても狙う方法は存在する。

「…確かにお前の体は俺のチャージショットの直撃を受けても耐えられる程に頑丈だが、俺のダッシュの速度とお前自身の速度が加算され、超至近距離でのストライクチェーンによる物理的衝撃によって内部メカは破壊されたんだ!!それに視覚に障害があっても聴覚でエネルギーコントロールシステムの位置は掴める!!お前の敗因は自分の力を過信し過ぎたことだ(尤も、前の戦いでの敵にもその過信がなければ俺は先の戦いで生き残れなかったが…)」

「そ……そんな…B級が特A級に二度も勝つなんて…」

胸だけでなく全身から炎が噴き出し始める。

「…………」

「俺は……俺は……認めない!認めない!認めない!認めなぁ~~~…」

最後まで敗北を認めようとはせず、スタッガーは自身の炎に飲み込まれて機能停止して倒れ伏した。 
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