レーヴァティン
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第八十九話 大坂に戻りその九
「まあこの組はそこまでいかないがね」
「どの辺りで止める」
「借金作りそうになったらね」
「早いな」
「まあヤクザ屋さんはヤクザ屋さんでもね」
「そこまで悪質でないか」
「そうだよ、ただ他の組との喧嘩ではね」
こうしたことはこの世界でも常だ、所謂稼ぎのシマを巡っての殺し合いはヤクザの世界の常でありこの世界でもなのだ。
「徹底的にやるってね」
「そうした組か」
「そうだよ」
「成程な、そうした組か」
「ああ、それでそうした組はね」
「別の稼ぎを出せばか」
「そっちに行く可能性が高いよ」
良心的な組はというのだ、例えヤクザでも。
「まだね」
「悪質なヤクザよりはか」
「カタギの方がいいなら」
そうした暮らしが出来るならだ。
「切った張ったよりね」
「楽だからな」
「そっちにいくしね」
「だからか」
「こうした組はね」
「カタギにしていくべきか」
「あたしはそう思うよ、たださっき言ったみたいなタチの悪いのは」
ヤクザの中でもだ。
「存在だけで人様、街の迷惑になるよ」
「だからだな」
「もう取り上げるものを全部取り上げて」
シマと呼ばれる稼ぎの場所を全てというのだ。
「組の奴も全員ね」
「捕まえてか」
「処罰すべきだよ」
それがいいというのだ。
「さもないとね」
「人に害を与え続けるな」
「まさに賊だからね」
言うならば街の中にいる山賊や海賊だというのだ、そうしたヤクザ者達は。
「だからね」
「成敗すべきだな」
「片っ端からね、試しに組一個潰すかい?」
そうしたヤクザ者の組をというのだ。
「そうするかい?」
「今からか」
「ああ、どうするんだい?」
「そうだな」
少し考えてからだ、英雄は桜子に答えた。
「あればな」
「よし、じゃあね」
「心当たりがあったか」
「大坂でもね」
「そうした連中はか」
「今からでもね」
「潰していくべきか、そして潰して」
英雄は自分から言った。
「そうしてだな」
「その連中のシマをカタギの世界に出してね」
「そのうえで俺達の財政基盤にするか」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
「悪漢を成敗したとしてね」
「俺達の名声を上げるか」
「そうしたこともいいだろ?」
「そうだな、ではな」
「ああ、そうした組を潰すこともね」
「していくか」
こうした話をしてだ、そのうえで。
英雄は実際に自分も含めて大坂のならず者達を手が空いている仲間達で成敗することもはじめた。そうしてだった。
彼等のシマを自分達のものにしてそこから収入も得る様になった。そのうえ彼等の名声も上がった。英雄はこのことについて屋敷の中で言った。
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