うちはオビト逆行物語 改 〜逆行?何それ美味しいの?〜
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幼少編
うちはオビト逆行物語『家族とは』
前書き
副題【オビトに義弟ができる話】
ご注意願います。
この作品は二次創作品となっており、本誌への多大なるネタバレを含みます。
更に辻褄や都合を合わせる為に作られた出しゃばるオリジナルキャラクターや、本誌に合わせた恋愛、過剰なるグロテスク等の表現をしております。
以上の事を踏まえた上での閲覧をお勧め致します。
第九話です。シスイくん登場回です。一応イタチとの年齢差を考え、4歳か5歳辺りの設定でございます。イタチくんってこの頃2歳位で合ってます…よね?
シスイ「よろしくね!兄さん!」
オビト「おう!」
ドロリ、ドロリと何かが流れる。
またこれか、と慣れたように目の前の景色をボーッと眺める。どうせ動けやしないのだ。慌てふためいてもいい事は無い。
この女性は、俺の母親だと思われる人だ。顔がしっかりと見えていないくせに、うちはの特徴である赤い瞳はハッキリとわかってしまうのだから、可笑しなものだ。だがそれでも、なぜ髪の色は明るい赤茶色のような色をしているのか、そこは不思議でならない。
近くに転がっている人。よく見れば男性ということがわかった。恐らくこの人が俺の父だ。顔元が奥の方にあって顔は見えないが、何となくその面影を見た事がある。
最近は慣れてきたからなのか冷静に見ることが出来るようになってしまった。
ふと、視界がぐるりと天井に移る。何時もならここで目覚める筈なのに、目覚めない事に違和感を感じる。なんだ、これは。
「…、……。」
視界の隅に映る母親らしき女性が何かを呟いているも視界がぼやけていて何もわからない。読唇術を用いようにもこんなのじゃ分かったものじゃない。
だが母はそれでも語り続けている。そして何かを堪えたかと思いきや、突然血を吐いて視界の隅からその姿は消えていったのだ。
…何を伝えたかったのか、教えてもくれずに。
「お前、ガチの寝坊だったのね。」
「…バカカシ。」
朝からお前の顔見るなんて、最悪だ。そう思いながらもダルい体を無理やり起こし、背筋に伝わる冷や汗を知らんぷりする。
…今日はなんかあったけか、よく覚えてないが、カカシがいるということはなにか約束事をしたという事だ。
そう思っていることを読み取ったのか、カカシはため息をついてこちらをジド目で見る。
「今日俺と修行するってこと忘れてたデショ。」
「あ〜、そうだったっけか…わりぃ、先行っててくれよ。後で行くから。」
はぁ、仕方ない。と言ってカカシは俺の部屋(の窓)から出ていった。
…少しはあの夢が、進展したと言っていいだろう。何がきっかけで俺の記憶が進んでいるのか分からないが、兎に角進展した事を喜ぶべきだ。
とりあえずこれ以上遅れるとまたカカシがうるさいんだろうな、ったく。
考えるのはいつでも出来る。だがこの時間は、仲間と共にいることが出来る時間は有限なのだ。
「わりぃ、お待たせ。」
「…いつもより早くない?あと数十分はかかるかと思ってたんだけど。」
今日はそんなに見掛けなかったからな、と口にしながらカカシに歩み寄る。
あの日を境に俺とカカシの関係は良くなった。
今ではこんなふうに一緒に修行したり、息を合わせたりしてツーマンセル時に備えてたりしてる。
そしてリンとカカシの関係も良好、なはず。
最近会話していたりするのが増えたからまぁよしだろう。
中忍試験まではまだ遠いし、今のところは大丈夫…だよな。
「んじゃあ、早速やるか。」
「…だな。」
「ふぅ、今日はこの辺にしておくか。」
「あぁ、俺の父さんも今日は帰りが早いし、もう帰るから。」
「おー、じゃあな。」
カカシの背に手を振れば、こちらを見ずとも手を振り返してくれる程度には、仲良くなれた。何だか気味が悪いが、元からそれ程悪い奴ではなかったのだ。俺がドベだっただけだ。
…父さん、か。
俺にはばぁちゃんがいてくれるから、別に何とも思ってないけどな。それにあいつの父さん、サクモさんは色々と問題を抱える事になるし…カカシに辛い思いさせる前にそれも解決させなくちゃな。
俺も早めに帰らなくては、ばぁちゃんを心配させる訳にはいかない。
「あら、オビトくん?」
「あ、どうも。」
帰路に着いてすぐにうちは領であったのはうちはの端くれである俺でも最近少しだけ交流してくれるうちはの若い女性が声を掛けてきた。
「丁度良かったわ、ちょっと、頼みにくいお願いがあるのだけれど…。」
「はい…?」
頼みにくいお願いなんて…何だそれ、そう思いながらその女性の後ろに隠れている小さな影をチラリと見た。
「…と言うわけで、連れてきちゃったんだけど、勝手にごめんな。」
「まぁ、いいのよいいのよ、可愛い孫が2人になったみたいなものだからね。」
帰ってからなにがあったか単刀直入に言うと、さっきあった人の後ろにいたその人の子供をしばらく預かって欲しいと頼まれ、それを了承し、家に帰った所だ。
その子が。
「ど、どうも…シスイ、です。」
そう、シスイだ。
うちはの滅亡に関わったあの事件で失われた命の子供だ。年は少し離れている程度で、あどけない表情があの事件のために奮闘する事になると誰が予想つくだろうか。
うちはのあの事件は、言わば戦力を減らす為にダンゾウのしてた事をスルーしていた事からなってしまったわけだから、多少なりとも関与せねばならない事件だ。だから下忍になってからはなるべくシスイのお母さんに接触するようにしていたのだ。だが、
「…お母さん病気だったのか?」
「はい、もともと身体が弱かったらしいので、多分その影響で。」
自室に案内しながらもそう問うと肯定するように頷いた。問題という程でもないが、おばさんが病気だったという点だけは知らなかったな。
正直、余りうちは領にいることも無かったから、さほど気にせずうちはの崩壊を見ていたけど確かにそんな姿は無かった、それはつまり、そういう事なのかも知れない。
「あの、オビトさん?」
「ん、わりぃぼーっとしてた。」
一先ずこの件は置いておこう。
帰り道に何となく見ていたがシスイは真面目であまり素がでてないのか分からないがとにかくこの年の割にはしっかりしたやつだ。
掴みどころがない、ってのもある。
でも凄い才能を持っていて、それなりの努力をしているからなのかこの年でもうちょっとしたチャクラを操れる。
流石は天才と呼ばれたやつだ。
「俺の部屋で敷布団をひいて一緒に寝る感じだけど、それでいいか?」
シスイは俺の部屋を見渡してコクリと頷いた。
俺は不安にさせないように笑顔でシスイの頭を撫でてやる。ちょっとだけ緊張気味だが、嬉しそうにして笑ってくれたので良しとしよう。
「オビトさん、あの。」
「シスイ、敬語なんて使わなくていいぜ?」
初めてあった時から思ったが硬っ苦し過ぎる。
呼び名でさえさん付けを使い、人の顔色を伺っている。よく出来た子ではあるが、これじゃあ寝泊まりするのにもさすがに窮屈だろう。それにおばさんが病弱ならばまた頼まれることもあるかもしれない。
せめてさん付けが無くなれば少しは良くなるだろう。
「…でも、オビトさんは年上だし。」
「分かったよ、じゃあ俺に敬語使うの禁止…母ちゃんみたいな感じで喋ってくれよ!」
「え?」
首を傾げているシスイに笑顔を返す。少し強制ではあるが致し方ない。
コイツと仲良くなる。横暴であるがそう決めた。決めてしまった。
「…俺をお前の兄貴にさせてくれないか?」
「兄貴、ですか?」
その手っ取り早い方法が兄弟である。
そうだ、と頷いて部屋の写真を見た。
家族、両親が居らず一人っ子の俺にとっては知らないモノで、それがあったと証明してくれるのはあの机の上に置いてある家族写真だけ。
大まかなことは知らずとも、その関係が一番親しいと知っている。突然変な事を言っていることは重々承知だが、それでも今度はコイツには幸せになってもらいたいんだ。
その為ならその時が来るまで、全力を尽くすから。
「…だめ、か?」
きっとシスイは困惑してるんじゃないのか。今日会ったばかりの得体の知れないうちはの端くれを、信頼するほどこの子は精神的に出来てしまっているのかもしれない。
やはり無理か、という意味で再び戻した視線に写ったシスイは俺の予想と反していた。
困っているどころか、むしろ目を輝かせていた。
「じゃあ、僕のお兄ちゃんになってくれるんですか!?」
「え、あぁ…まぁそうだな?」
たじろいでしまったが、なんとか返す。意外と食い付きが良くて驚いている。…そうか、コイツも一人っ子か。
兄や弟というのは確かに一人の家の子供として憧れがあった時期があったのも確かだ。そうか、シスイは兄弟が欲しかったのかもしれない。
そうかも知れないな。母親も病弱で、頼れるような身内が周りに居なかったのだろう。現に俺みたいな他人に息子を任せてしまっている訳だから。
「じゃあこれから俺はお前の兄さんだ!例え血が繋がって無くても、俺らは兄弟、そして家族だ。」
そして、と更に続ける。
「俺は何があってもお前の味方でいる。」
そうやって真っ直ぐシスイを見てやった。
シスイは目の輝きをより一層増し、うん!約束ね!と力よく頷き、右手の小指をこちらに向けた。
「指切りげんまんでやくそくしましょ!」
「…あぁ。」
…イタチの気持ちはこんなのだったろうか、そりゃ弟が愛しい訳だ。右手の小指をシスイの小指に絡めれば、嬉しそうに指切りげんまんを歌い始める。
本当に分かったのだろうか不安だ。まぁ、後々しっかりとしてくれれば良いか…いや、甘やかすのは良くない。どっかのマダラやイタチの二の舞になりかねない。
ゆーびきった!と嬉しそうに歌い終わったシスイは右手を解き嬉しそうに笑う。
「僕、これからオビトさんのこと兄さんって呼んでもいいんでしょ?」
「あぁ、もちろん。」
「じゃあ兄さんって呼ぶー!」
アカデミーに入る直前の子だからなのか、まだあどけなさと幼さが垣間見得る。やはり瞬身のシスイと呼ばれるこいつも、人間の子だ。その本人の心もそれなりに開けたようだ、よかった。
「よし、それじゃあ今日はもう寝ようぜ。」
嬉しそうにはしゃいでいたこの子も初めての環境で疲れているだろから、そのはしゃぎたい気持ちを抑えるのも含め寝かせることにした。
「うん!おやすみなさい、兄さん!」
すやすやと規則正しい寝息を立てるシスイの頭をそっと撫で、自分のベッドへ潜る。
悪い言い方をするが、シスイの信頼を得られれば多少はあのうちはクーデターに介入出来るだろう。自分は裏手から、他のやつは真っ向から行けば、前回よりはマシになるだろう。
だが、まだまだ問題は多い。それに時代を変えていくのだから、このまま上手くいくとは思ってはいない。警戒や他のプランを考えておくべきだろう。
…そう言えば明日は任務の日だ。こんな風に考えるのもいいが、どうせいつも通り遅刻せぬように早い時間から出て行くのだから、そろそろ寝なければ。柱間細胞があると言えど、寝てなければ、不思議とばぁちゃんにバレてしまうし。
「…おやすみ、シスイ。」
もう既に寝ているシスイに優しく微笑み、布団をかける。明日、リンたちに弟が出来たと自慢するのが楽しみだ。しかも眉目秀麗に育つ、自慢の弟だと。
…なんだかんだ言って俺が一番嬉しいんじゃねーか?
まぁ、あまり度が過ぎないようにしとけば、多分大丈夫だろう。色々考えていたけど、ウトウトと睡魔に襲われ俺はそのまま眠りについた。
ずっとこんな日が続くようになんて、叶わない願いを願いながら。
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