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戦国異伝供書

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第二十八話 天下の政その六

「交易をしてな」
「利を得ますな」
「かつての幕府の様にな」
「幕府ですか」
「室町のな、あれはよかった」
 足利義満が行っていたそれはというのだ。
「幕府もかなり利を得ておったな」
「大内家も」
「それを当家も行ってじゃ」
 そうしてというのだ。
「利を得るぞ」
「わかり申した、その為にも」
「鉄甲船を多く造りな」
「砲もですな」
「造るのじゃ」
「船の行き来を守る為にも」
「そうするのじゃ」
 こう言ってだ、実際にだった。
 信長は鉄砲だけでなく大砲や船も造らせはじめた、そのうえで切支丹への警戒も強めていった。だが。
 フロイスはその信長に必死に話した。彼は信長が都に入った時に彼がいる二条城に参上してそのうえで話した。
「そうした者がいるのは事実ですが」
「お主は違うな」
「断じてです」
 こう信長に言うのだった。
「この国の民を海の外に売るなぞ」
「そうじゃな、お主はそうした者ではない」
 信長も確かな声でそのことを認めた。
「断じてな、しかしな」
「その様にする者達がですか」
「わしは警戒しておるのじゃ」
「それで、ですか」
「そうした者達は許さぬ、だからな」
「それ故に」
「お主達のいる場所はじゃ」
 そこはというと。
「これから定めようと思う」
「自由に行き来するのではなく」
「堺、あと幾つか港を開いてな」
 そのうえでというのだ。
「そこにいてもらう、そこの限った場所でな」
「そうして日の本の民達とは」
「あまりじゃ」
 交易自体は広く大きく行ってもというのだ。
「そうしたい」
「左様ですか」
「何度も言うが追い出しはせぬ」 
 このことは断る信長だった。
「伴天連でもお主達の様な真面目な者達はな」
「そう言って頂き何よりです」
「うむ、だがわかったな」
「はい、我等は」
「そうした場所にいてもらう」
「この国の自由は行き来は」
「次第にじゃがな」
 認めぬ様にするというのだ。
「教会も限られた場所だけとしてじゃ」
「布教についても」
「させぬ、だがお主達の経典位はな」
 聖書等はというのだ。
「よいであろう」
「我等の教理については」
「神仏の教えとどう違うか」
 信長も聖書を読んでみたのだ、そうして言うのだ。ただしその聖書はフロイス達が訳したものである。
「そう思うからな」
「だからですか」
「それ位は出してもよいわ」
「外に」
「しかし教えを広めることはな」
 肝心の布教はというのだ。
「これからはさせぬ」
「若し守れぬなら」
「この国から出てもらう」
 追放、それを行うというのだ。
「それも言っておくぞ」
「左様ですか」
「その様にな」
「わかりました」
 強い声でだ、フロイスも信長に答えた。 
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