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戦国異伝供書

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第二十八話 天下の政その一

                第二十八話  天下の政 
 信長は領地にした多くの国々全体の政を見ていた、各地に大名に任じた者達にかなりのことを委ねていたが全体として行っていた。
 その中でだ、彼は奥羽のことを考えていた。
「やはりあの地は貧しいのう」
「ですな、寒い為に」
「人が少なく田畑も少ないです」
「そして土地もまだまだ開けておらず」
「貧しいですな」
「甲斐も山に囲まれて貧しいが」
 この国のこともだ、信長は主な家臣達に話した。
「やはりな」
「奥羽ですな」
「あの地の貧しさをどうするか」
「それが問題ですな」
「まず治水と灌漑を行い」
 信長は具体的な政を示した。
「それから新田を作っていくぞ」
「そうしますか」
「米を作っていきますか」
「そうしますか」
「そして果物を植えさせるし麦や蕎麦もじゃ」
 そうしたものもというのだ。
「大いに作らせてじゃ」
「飢饉の時はそうしたものを食わせますか」
「麦や蕎麦を」
「そうしますか」
「うむ、そうしてじゃ」
 その様にしてというのだ。
「あの地の民達を貧しさから救おうぞ、海の幸もじゃ」
「そちらもですか」
「獲ってですか」
「そのうえで」
「どんどん食わせるか、そういえば南蛮の者達は肉を食うのう」
 信長はこのことにも言及した。
「そうしたものを食わせるのはよいか」
「猪等ならいいのでは」
 こう答えたのは村井だった。
「ああしたものなら」
「猪か」
「はい、あと鹿等は」
「そうじゃな、山の獣達もな」
「食わせ。そして何よりも」
「米等じゃな」
「それかと」
 村井もこちらこそがと言うのだった。
「天下全体に言えますが田はよりです」
「作ってな」
「民達に食わせましょう」
「そうすべきじゃな」
「そして米だけでなく」
「やはり麦や蕎麦もな」
「大いに作るべきです」
 信長の言う通りだというのだ。
「そうして他の畑のもの、果物も実るものは」
「どんどん植えてじゃな」
「食わせましょう」
「それがよいな」
「とかく奥羽は貧しいです」
 やはり寒さが問題だった。
「ですから」
「それではな」
「検地も進んでいますし」
「ならばな」
「田はより広げ」
「民達を食わせようぞ」
「是非共」
「そうしていく、あと讃岐じゃが」
 今度は四国の話だった。
「これまで通りな」
「麦ですな」
「あれを植えさせて」
「それで食わせますな」
「そうする」
「米がなくともですな」
「食わねば生きられぬ」
 このことは絶対だからだというのだ。 
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