許されない罪、救われる心
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63部分:第六話 暴かれた時その七
第六話 暴かれた時その七
「人達を見つけたら」
「うっ・・・・・・」
「ど、どうするの?」
それこそが他ならぬ自分達のことである。四人は岩清水のその言葉のトーンが低くなってきているのにも反応してしまい怯えてだ。いささか引いて言葉を返したのだった。
「それじゃあ約束って」
「ここでは一体」
「何なの?」
「何すればいいのよ」
「その人にしても人達も絶対に許さない:」
強い言葉だった。
「このことを誓って欲しいんだ」
「そのことをなの」
「そうなの」
「そうだったの」
四人はここでやっと岩清水の今の言葉の意味がわかった。そのうえで応える。
「犯人を見つけてね」
「そのうえで引き出すっていうのね」
「うん、そのつもりだよ」
岩清水はあえてはっきりと言い切ってみせた。
「そうだけれどね」
「う、うん」
「わかったよ」
ここで四人はやや俯いて応えた。
「じゃあ私達もね」
「協力させてもらうから」
「それに」
「頼んだよ」
あくまで善人を装って言う岩清水だった。その裏にあるものは見せない。
「それじゃあまずだけれど」
「何をするの?」
「僕に考えがあるから」
今度は弥生に返した岩清水だった。
「ちょっとやってみるよ」
「じゃあ僕達は何をすればいいのかな」
「今は何もしなくていいよ」
これは葉月への言葉だった。
「僕の方でやるから」
「そうなんだ」
「うん、だからいいよ」
岩清水はまた言ってみせた。
「それじゃあ。ちょっとやってみるよ」
「うん、それじゃあね」
「頼んだよ」
二人は彼に任せることにした。四人は何しろ自分達がやってきたことなのでバツの悪い思いをしていた。しかし今は何もできなかった。
何はともあれこれでだった。四人は神無には表立って何もできなくなった。そしてそれは部活においても同じことになっていたのだ。
皐月がだ。岩清水に言われてそれで言うのだった。
「やっぱりいじめはあったみたいなのよ」
「椎葉さんにですよね」
「そうですよね」
「ええ、そうよ」
こう部員達にも答える皐月だった。部室の中で真剣に話をしている。
「だからね」
「そのいじめっ子が誰かよね」
「見つけ出す」
「そうするのね」
「そうよ」
皐月は二年生の言葉に応えていた。自分達と同じ二年生のだ。
「そうするから。どうもね」
「どうも?」
「何かわかったの?」
「聞いた話だと若しかしたらラクロス部にもいるかもって」
こう不吉な顔で言うのだった。この言葉を聞いて四人も顔を曇らせた。
「ひょっとしたらだけれど」
「ラクロス部に?」
「まさか」
「そんな筈はないけれど」
「私も今まではそう思っていたわよ」
皐月は真剣な顔で話を続ける。
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