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吸血鬼になったエミヤ

作者:炎の剣製
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017話 修学旅行異変《序》 観光パニック!?

 
前書き
更新します。 

 


修学旅行の当日、3-Aの生徒たちのテンションは上がっていた。
もう電車に乗る前からすでにお祭り気分。
先生のはずのネギでさえ旅行ということで任務を忘れているのではないかというくらいのはしゃぎようである。
そんな最中、タマモはシホと同じ班である和泉亜子にあることを頼んでいた。

「亜子さん、これを。もしものことがあったらお願いします」
「わかった。任しとき」

亜子がタマモから預かったのは例の精神安定剤(シホ用)であった。
その証拠にもらった小瓶の表面にはシホ以外絶対に使用禁止と書かれていた。

「絶対他の皆さんは飲んではいけませんよ? シホ様専用ですから飲んだら毒になりかねません」
「なんやそう聞くと責任重大やな。うん、絶対安全な場所に保管しとく」
「亜子さんだから、頼むのです。よろしくお願いしますよ」

なぜタマモがここまで亜子を信用しているかというと、あの大浴場での発作のとき、すぐに反応して急いで薬を取りに行ってくれたのが主に関係している。
のちに亜子から自分の背中の傷のことを話してもらい、それからよくシホの事を気遣ってくれるようになったのが大きいかもしれない。
そんなわけで同じ班ということもあり亜子に託したわけだ。

ところ変わってメンバーが足りないということで刹那は急遽ネギの計らいによって木乃香達五班の班員に入れてもらって電車が発車して少し経ち、刹那は休憩スペースでシホとともに話をしていた。

「よかったじゃない、刹那。これならすぐに助けに入れるわよ」
「そうですね。ですが…やはりもう癖みたいなものでついそっけない態度を取ってしまいました」
「こればっかりはしかたがない。慣れていけばいいと思うよ。どうせ旅行中は同じ班だから色々と行動は一緒にするだろうし」
「善処します」
「うん。それより…仕掛けてくるかね?」
「ええ、おそらく。少しでもちょっかいは出してくると思われます。シホさんはなにか感じましたか?」
「うーん…なにか空気に違和感はあるかな。タマモに聞いてみればすぐにわかると思うけど…」
「アヤメさんは呪術で争ったらおそらく知っている限りでトップの実力を持っていますからね」
「うん。なんせタマモは、っとと、いけない。思わず言葉でいっちゃうところだった」

シホはそこで口を閉じた。
その行動になにか思ったのか刹那はどうしたのか尋ねると、

「あやうくタマモの真名を言っちゃうところだった。ばれたら色々と対策を取られちゃうからね」
「なるほど。ではアヤメさんはそれほど有名なお方と同じような力を使うのですね」
「う、うん…(その本人といっても信じてもらえるか疑問だけどね)」

タハハ…と乾いた笑みを浮かべていたがそこで一同のいる方からいくつもの悲鳴が聞こえてきた。

「ん!? 悲鳴…もうなにか仕掛けてきたのかな」
「おそらく…」
「ちょっと見てくる。刹那はどうする?」
「ここに残って不振人物がいないか確かめます」
「わかった。それじゃ見てくるね」
「はい」

シホはそう言うと3-Aのいる方へ向かっていった。
そしてそこで目にしたのは…たくさんのカエルの団体にごたごたしている一同の姿だった。
中は大混乱としていてしずな先生及び数名の生徒が気絶。
肝心のネギも状況に流されあたふたしているという感じ。

「ふぅ…なんか疲れるなぁ。(でも、こうも一般の目に触れるような行為をして後のことを考えていないバカなのか?)」

そういいながら自然に席につくと龍宮が話しかけてきて、

「(どうした? 加勢しないのか)」
「(うん。最初は騒ぎをかけつけて見に来てお札を消そうと思ったけど調べて見たところ害意はないものだったから放っておいても大丈夫かな、と思って)」
「(違いない。しかしなにやら一匹の式らしきツバメがネギ先生から封筒らしきものを銜えてどこかにいってしまったが大丈夫なのか)」
「(うん、大丈夫。あの先には刹那がいるから)」
「(なら安心だな)」
「(しかしこれで相手もこれから色々とちょっかい出してくると思うよ? ネギ先生は見た感じちょろいから)」
「(確かに…)」

二人してため息をついていた。
そしてしばらくすると目的地に到着して写真撮影をしてから自由行動になった。




◆◇―――――――――◇◆




Side ネギ・スプリングフィールド


さっき、桜咲さんが親書を取り返してくれたんだけど、ど、どうしよう~……カモ君が「あいつは怪しいぜ!」といって警戒している。
確かに刹那さんの足元にはシキガミっていうものが落ちてたし。
エヴァンジェリンさんに続いて桜咲さんまで敵かもしれないなんて。
と、とりあえず警戒しなくちゃ。
それで京都に着いたはいいんだけど電車から出る前にまた桜咲さんがこちらを見ていた。やっぱり敵なんだろうか……?
でもそれはそれとして京都に着いた。それから清水寺っていうでかい神社に着いて集合写真を撮影して自由行動になったので色々と見学していたけど、

「これが噂の飛び降りる奴!?」
「だれか飛び降りれ!」
「では拙者が……」
「やめなさい!」

楓さんがなぜか本当に飛び込みそうになっていたのでひやひやしました。
ここってそういった話もあるんですね。
それに清水寺って高いから京の都を一望できてすごいです。
お父さんもこの町のどこかに家を持って暮らしていた時期があった…。
この一望を拝めるだけあってお父さんがここに家を持ったのも少しわかる気がします。
僕がそう感動に浸っていたらなにやら皆さんが占い…特に恋占いについて回りたいみたいです。
占いといえばアーニャは占い師としてがんばっているかな。
幼なじみについて考えているとカモ君が話しかけてきた。

「どうしたんでい、兄貴? なにか考え事か」
「え? ううん、ちょっと少し今会えない人のことをいろいろ考えていたところ。それより皆さんに置いていかれないようにいこうか」
「そうっすね」
「―――先生、誰と話しているんですか?」

と、そこへシホさんが話しかけてきた。
危ない。カモ君と話しているところがばれるところだった。

「なんでもないですよ」
「そうですか。まぁ気を付けてくださいよ。この先、色々(・・)と大変でしょうから…怪我はなさらずに」
「は、はい。でもどうして怪我とか…」
「いえ、ただの言葉のあやですよ。だから気にしないでください」

シホさんは笑顔を浮かべると僕から離れていきました。
なぜかシホさんの言葉が僕の中で残ったのを感じた。
エヴァンジェリンさんの時のように不吉な気配とかそんなじゃないし…、うーん。

「あのシホって生徒、やっぱりただものじゃないかもっすね」
「そうかな? 魔力もそんなに感じないし多分普通の生徒だと思うんだけど…」
「そうっすかね~?」



Side Out



シホはネギから離れると一息ついていた。

「ふぅ…これでよし、かな」
「どうされたのですか、シホ様?」
「あ、うん。なんでもないよ、タマモ。ちょっとネギ先生が目的を忘れかけていたから忠告みたいなことをしてみただけ」
「そうでしたか」

タマモに心配かけたみたいだとシホは思ってすぐに理由をいった。
そして、これからネギはどう行動をしていくのかを眺めていた。





◆◇―――――――――◇◆




Side 桜咲刹那


ふぅ、今のところはこれといって妨害工作は見当たりませんね。
とりあえず、今はネギ先生とその周辺を見張っていよう。
シホさんもまだ傍観に徹するということだから頼りはネギ先生だけだ。
しかし、あの先生についている使い魔(?)の視線が気になるな? シホさんの話では頭は回るが同時に空回りが多いと聞くし。不安だ……。
しばらくしていいんちょさん達が恋占いの石の場でチャレンジするみたいだ。
そこでシホさんからの視線が伝わってきて、

『委員長達を止めたほうがいいかな? 途中に落とし穴があるけど……』
『え、本当ですか?』
『ええ。それにまたカエルの符が敷かれているみたい。相当なめられているみたいだね。さて、ネギ先生はどうでるかな……だけど、今はなぜか注意が刹那に向けられているから気づくのはまず無理だと思う』
『はぁ、私ですか?』
『大方あのおこじょがネギ先生にいらん事を吹き込んでいるんじゃないかな? 私はとりあえずタマモと周りを警戒しておくから後は頼むね』
『はい、わかりました』

そこでシホさん同班の佐々木さん達と日常会話をしだしていた。器用ですね…。
だが、やはりシホさんの言ったとおり、

「わっ!?」
「な、なんですの!?」
「キャーーー!! またカエル!?」
「大丈夫ですか! いいちょさんにまき絵さん!?」

妨害工作に引っかかっていて後手に回ってしまっている。本当に大丈夫だろうか?
それからしばらくして音羽の滝についた一行は何名かが真っ先に縁結びの水を飲んでいたが突然次々と酔って倒れていった。
お酒の樽が上に仕掛けられているのは知っていたがそれも気づかないなんて、

「まぁ仕方ないか……色々重なっていて注意が霧散しているだろうから。後でシホさん達と対策を練らないと……」




Side Out




刹那がネギの行動に呆れている最中で、シホはお酒を空の魔法瓶に入れてエヴァにお土産として持ち帰るかなと考えていた。
そしてお酒を入れ終わっていそいそとしまうとちょうどよく、

「シホさん、龍宮さん、私たち以外の三名がこの有様だから運ぶのを手伝ってもらっていい?」

アキラの言葉でシホはまき絵達を運びながら、

「(うーん、どうも調子に乗っているようだね)」
「(予想どおりと言ってもいいんだぞ?)」
「(うん、まぁ…。だから私も身の振り方をどうするか考えてみるよ)」
「(なにかあったらよろしく。条件次第で力になるよ)」
「(うん。その時は無償でオーバーホールか、あるいは龍宮の好きだけどあまり食べる機会がない甘味ものを帰ったら作るよ?)」
「(どちらもいい条件だ。それじゃその時は頼むとしよう)」
「(了解。ま、頼むまでに事が発展しないことを祈るけど)」

それから旅館・嵐山に到着してシホは刹那とともに温泉に向かいながら話をしていた。

「で、どう? ネギ先生は」
「正直言ってしまえばまだまだですね」
「やっぱりそう答えるよね。私もそう感じたから。それにいい感じに勘違いしているからどこかで修正しなきゃ」
「はい」
「ま、今はゆっくりとお風呂に浸かって考えましょう」
「そうですね」

シホ達はお風呂へ入っていった。
そこにネギ達がいるとも知らずに。

「(あ、あれ!? シホさんに刹那さん!? 入り口は男女別だったのにどうして!)」
「(混浴って言うんだよ、兄貴。しかしシホの姉さんははじめて裸は見るが結構いいっすね)」
「(あわわ! どうしよう! あっ…)」

二人?が色々と騒いでいる中で、ネギの目にまたシホの背中の傷が映される。

「(うわ、ひでー傷っすねぇ。…兄貴?)」
「(………………、すぐにでよう、カモ君。いつまでも見ていちゃいけないから)」
「(兄貴…)」

ネギの泣きそうな表情に察したカモは賛成した。
だが、

「魔法先生のネギ先生ならどうにかしてくれると思ったのですが」
「ふふっ、まぁまだこれからよ、刹那」
「「!?」」

シホと刹那の会話にネギは背筋が凍る気分になった。
まさか刹那さんだけじゃなくシホさんまで敵!?
その思いが増してしまい予備で持っていた杖を握り締めてしまった。
それに刹那は即座に反応してかかってくる。

「誰だっ!?」
「あ、刹那待って!」

シホの静止の声も聞こえていないらしく大声を上げて刹那は夕凪を抜こうとする。
そしてネギが隠れていた岩を斬岩剣で見事に叩ききった。
ネギはとっさに武装解除の魔法で刀を弾いたが得物は選ばずの神鳴流である刹那には効かず見事に捕まってしまった。
だがそこで刹那は相手がネギだと分かるがネギは少し男の子の事情で完全におびえてしまっていた。

「あー。もうだから待ってっていったのに…」

そこにはおびえているネギ、あっけに取られているカモ、顔を赤くしている刹那、呆れているシホの四者の顔があった。
カモはすぐに状況から復帰して、

「や、やい桜咲刹那にシホ・E・シュバインオーグ! やっぱりてめぇら関西呪術協会のスパイだったんだな!?」
「ご、誤解だ! 違うんですネギ先生。私達は敵じゃない。出席番号15番桜咲刹那一応先生の味方です」
「そうよ、ネギ先生、それに使い魔のオコジョ君。私たちは先生の味方です。だから落ち着いてください」
『へ?』

まだ分かっていないようでネギはポカンとした表情で二人を見つめる。

「えっと、それはどういった…」
「私はお嬢様の…「ひゃわーーーー!!」…!?」

そこに木乃香らしき人物の悲鳴が聞こえてきた。

「この悲鳴は!?」
「お嬢様!?」
「ッ! いけないわ。先手をとられたか。刹那、先行して!」
「わかりました、シホさん!」
「え? え?」

シホが刹那に指示して状況が流れていく中、ネギもとっさに悲鳴の方へと向かう。
するとそこには数匹のサルがアスナと木乃香の下着を引っ張ったり脱がしたりしている光景が目に入った。

「いやーーーん!」
「ちょ! ネギ、こいつらなんとかしなさいよ!」

その光景にネギはズッとこけるが刹那は見た瞬間、激昂して「斬る!」と言って斬りかかろうとしたがネギに「おサルさんを切っちゃ駄目ですよ!」と止められてしまった。

「ネギ先生、離してください! こいつらは式神で切っても紙に戻るだけですからって、わぁ!」

そのままひっくり返ってネギと揉めている姿がありその合間にも木乃香が攫われようとしていた。

「刹那! なにしているの! もう仕方がない! トレース…」
「お嬢様! 神鳴流奥義! 百烈桜華斬!!」

シホが手を下す前に刹那がものすごい速さで奥義を出し幾重にも及ぶ剣戟ですべてを切り払った。
それにシホは安心しているが、ふと視線を感じ、

「そこ!!」

その場にあった桶を視線の方角へと放り投げた。
だが桶は空を切るだけでその場に転がった。

「ちっ! 逃がしたか!」

手を握り締めてシホは逃がしたことをふがいなく思った。
だがすぐに気持ちを切り替えて一同のほうへ向くが、刹那はとっさの事であったが木乃香を抱きかかえてしまっていてそれに気づいたのか顔を赤くして走り去ってしまった。
当然シホも追いかけようとしたが、

「ね、ねぇシホ…いったい」

アスナの声がかかるが今は刹那を追わなければと思い「今は説明できないから落ち着いたらロビーに集合ね!」とだけいってシホも追ってお風呂から出て行った。
流れるような時間だったために事情を知らないネギ達はポカンとしているだけだった。




◆◇―――――――――◇◆




Side シホ・E・シュバインオーグ


あれからやっと刹那を捕まえることができたけどまだ息が上がっているのか落ち着かせるのに苦労した。
だがこのままではどうしようもないと思ったのでまだ詳しく聞いていなかった刹那と木乃香の関係を聞いてみた。

「…私は昔にお嬢様の屋敷に招いてもらいまして、そこでお嬢様と会ったのです。ずっと剣ばかりだったので初めて友達といえる存在にめぐり合えたとも言いますか…」

それから色々聞いて、強くなるために木乃香と再会したときには影から守っていこうと誓っていたらしくそっけない態度を取り続けていたという。
だが、その一方で木乃香に害を及ぼす輩には成敗をしていたという。
刹那が言うにはお嬢様を守れればそれでいいということらしい。
それで私は徹底しているが心を守っていないな、とつい思ってしまったが今は言わないことにした。

「そんなことがあったんだ…」
「はい」
「そんな事情があるなら私は口出ししないよ。でもいつか誤解は解かなきゃね。きっと嫌われていると思われているよ」
「そう、ですね」

それで一瞬刹那は顔を引きつらせて泣きそうになったがそこは耐えたようだ。
それからもう辛気臭い話はつらいようなのでこれからについて話すことにした。
場所は指定したロビー。
刹那は先に式神返しの結界を張っているので私も見学していることにした。
そういえばタマモも呼ばなきゃとラインで呼びかけておいた。


 
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