| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

渦巻く滄海 紅き空 【下】

作者:日月
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

二十 木ノ葉のスパイ

 
前書き
大変お待たせしました!

今回、ちょっと下品?セクハラ?っぽいところがあります。
また、シカマル・キバ→ナルな内容もございますので、ご注意ください!

新章突入です! 

 
蛇の鱗を思わせる石柱。
ちょろちょろと蛇の舌先のように裂けた炎が宙を舐める。点々と燈った蝋燭が仄暗い闇に橙色の光を落としていた。


殺風景な回廊は、まるで蛇の内部の如く長い。

四方を壁で囲まれた長い長い廊下のその先には広間があり、蛇の頭を象った銅像が鎮座している。空ろな眼窩には、ちょうど眼球のように蝋燭の炎が灯っている。

蛇の銅像は赤い瞳を爛々と輝かせ、まるで生きているかの如く、鎌首をもたげていた。





「十日後…天地橋ねぇ…」

蛇の眼から洩れる淡い光。蝋燭の炎に照らされて陰鬱な室内がほんの微かに明るくなる。
しかしながら、陰気で重苦しい空気が漂う此処では、橙色の光はいっそ不気味に感じられた。


「はい。其処で落ち合う手筈となっております」


風で揺れる蝋燭故に、闇と光を交互にその身に受ける。こうべを垂れていた相手の頭を大蛇丸は見下ろしていた。
頬に手をやり、なにやら思案した後、やがて蛇を思わせる双眸を細める。


「その情報を私に伝えるという事は…」
「大蛇丸様のご意向のままに」


かつて『暁』のサソリのスパイとして自分の許へ潜り込み、今や立派な自分の片腕として役立っている部下。
彼からの進言に、大蛇丸は「お前は本当に、末恐ろしいわねぇ…」と口許に苦笑を湛える。


「自分の元主人も平気で売るのだから」
「今の主人は大蛇丸様ですから」

しれっと答えたカブトは話の内容とは裏腹に、その柔和な表情を浮かべる。人当りの良い穏やかな微笑みは、とても以前の上司を裏切るようには見えない。


「裏切者は何度だって裏切るものよ」


暗に、自分の事もいつかは裏切るのではないか、と冗談雑じりに訊ねた大蛇丸に、カブトは「とんでもない」とゆるゆる首を振って否定を示す。


「僕ほど忠誠心が篤いものはおりませんよ」


「よく言うわ」と苦笑した大蛇丸の後ろに付き従いながら、カブトは言葉を続けた。


「では、十日後の天地橋の真昼にて…」
「ええ…────なんにしても楽しみだわ」


くつり、と喉を振るわせて口角を吊り上げる大蛇丸の背後で、カブトは背中に視線を感じた。流し目で背後を確認したカブトは、視線の持ち主に思い当ると、さりげなく眼鏡を押し上げる。

秘かに口角を吊り上げると、大蛇丸には気づかれぬよう、視線の先を自分の背中で受け止める。




カブトの些細な所作には気づかず、大蛇丸は唇に怪しげな微笑を艶やかに乗せた。

その笑みは、以前自分が座していた組織を懐かしんでいるのか、それともかつての仲間との再会を待ち遠しく思っているのか定かではなかったが、どこか愉快そうな風情でもあった。










「────サソリに会うのは」











陰鬱な空気が漂う隠れ家。その内に潜む各々が抱く意図。
食い違う思惑の中、物言わぬ蛇の銅像だけが変わらずに蝋燭の眼を赤々と輝かせていた。
































「ビックリしたってばよ、カカシせんせー!!」
「木ノ葉の里に帰るなり、ぶっ倒れるんだもんね~」
「だ、大丈夫ですか…?」


三者三様。女三人寄れば姦しいと言うが、三人とも自分を心配してくれているので、カカシは布団で覆い隠した口許に苦笑を湛えた。


風影である我愛羅を無事、砂隠れの里まで送り届けた事で、はたけカカシ・波風ナル・山中いの・日向ヒナタの任務は見事遂行された。

『暁』のメンバーを誰ひとり拘束できなかったのは口惜しいものの、一人の犠牲も出さなかった事は僥倖と言えるだろう。
【写輪眼】、それも新しい瞳術【万華鏡写輪眼】の使い過ぎでダウンしてしまったカカシを除いては。



木ノ葉の里に辿り着くまでは気力で歩いていたが、万物の始まりと終わりを示す『あ』と『ん』の文字が連なる重厚な門が近づくにつれ、気が緩んでくる。
深い峡谷の如き門を抜けると、木ノ葉の里へ無事帰還出来たという安堵感が一気に押し寄せると同時に、今まで張り詰めていた緊張の糸がついに切れてしまった。



門を潜るや否や、バッタ────ン!!と勢いよくぶっ倒れたカカシに、ナル達を始め、門番の神月イズモ・はがねコテツが驚いたのは言うまでもなかった。

















「ご苦労、カカシ」

木ノ葉病院の病室。
布団の上で眼を覚ましたカカシは、ナル・いの・ヒナタ以外の女性の声に、大きく眼を瞬かせた。
無理に起き上がろうとするカカシを、病室へ入ってきた五代目火影─綱手は押し止める。


「無理はするな。さっき診させてもらったが一週間はベッドの上だな」

任務復帰には更に数日かかる、と告げながら、綱手はカカシを病院まで運んでくれたイズモとコテツに眼を向けた。


「悪かったな、此処まで運ばせて。もう戻っていいぞ」
「いえ」
「良い息抜きができましたよ」


門でぶっ倒れたカカシを木ノ葉病院まで連れて来たイズモとコテツは、苦笑いを浮かべる。
正直、暇で飽きていたところだったので、良い息抜きが出来たと笑い合いながら、門番の仕事へ戻る二人を見送って、綱手は視線をカカシに戻した。


「当分は無理せず養生することだ。報告書は後日で良い」

前以って砂隠れの里から、風影を無事『暁』から奪還できた旨を聞いている綱手は、急を要する話は特にないと判断した。もっとも、それはカカシに限った話だが。


『暁』のサソリと直接闘って有意義な情報を掴んだらしい山中いのをちらりと見遣る。
師匠である綱手の視線を受けて、いのは微かに頷いた。















「『暁』のメンバーから得た情報です」
「十日後…天地橋、か…」

木ノ葉病院を出て、火影邸の露台で、いのからの報告を受けた綱手は思案顔を浮かべる。


草隠れの里にある天地橋。
そこで、大蛇丸の部下に潜り込ませた己のスパイと、サソリが落ち合う事になっていたという情報。
本来は、サソリというより、突如、いのとサソリの戦いに割って入ってきた謎の人物────つまりはナルトから得た情報だが、どちらにしても『暁』のメンバーからの情報である事は間違いない。


砂隠れの里から木ノ葉の里へ帰還したばかりの山中いのの話。
弟子からの報告に、綱手は顎に人差し指を添わせて考え込んだ。


「この情報を得た日から既に四日経っています。なので、六日後という事になりますが…」
「時間が無いな…カカシは当分あのザマだし」

木ノ葉隠れの里から砂隠れの里まで、急いでも二日半はかかる。よって、我愛羅を無事砂隠れの里まで送り届けて、急速に別れの挨拶をして帰還してきたものの、今や四日過ぎてしまっていた。
いのの言う通り、残り、六日しかない。


「しかし、この機会を逃す手は無いな。新しいチームを編成するしかあるまい」
「それならば、ナルちゃんは外すべきです!」


いのと綱手の会話を黙して聞いていたシズネが身を乗り出す。

九尾の狐の人柱力である波風ナルは、『暁』のメンバーから狙われている。
極力里外の任務は避けるべきだと意見するシズネを、しかしながら綱手は一蹴した。


「いいや。ナルは行かせる。百歩譲って、いのを任務から外したとしても、この任務にはナルを向かわせる」
「何故ですか!!??別の小隊を向かわせるべきです!」


猶も反論するシズネを一瞥した後、綱手は天を仰いだ。


「放っておいても、アイツは勝手に天地橋へ向かうだろうさ」


それなら最初から任務として行動させたほうが良い、と苦笑する綱手の言葉が終わるや否や、彼女が背にしていた手摺に、誰かが飛び乗った。


「流石、ばぁちゃん!オレのこと、よくわかってるってばよ!!」


とんっと軽やかな音を立てる。天地橋の話を聞いていたナルは、火影邸の屋上から飛び降りると、綱手の傍らの手摺の上で、にっと笑った。



「早速、メンバー探しするってばよ!サンキュー、綱手のばぁちゃん!!」





言うや否や、手摺を蹴る。
メンバー探しをする為に飛び出したナルの気配を背中で感じながら、綱手は「ったく、あのせっかちが…」と苦笑した。
ナルの飛び出した勢いで、巻き起こった風に髪を靡かせる。


「まだ、『暁』の罠の可能性もあるってのに…」












天地橋へ向かう気満々のナルを任務から外せば、逆に躍起となって単独で行動するのが容易に思い浮かぶ。
ナルの性格からして、その際、ひとりでいるところを『暁』に狙われる危険性もある。故に、最初からナルを天地橋へ向かわせるメンバーに組み込んでおいたほうが良い。

しかしながら、本当に草隠れの里にある天地橋へ、大蛇丸の部下に潜り込ませたサソリのスパイが来るかどうか、確証は無い。サソリからの話とならば、サソリ本人は橋に来ないだろうが、『暁』がこの情報をわざと流した可能性もある。

つまり、大蛇丸を餌とし、『暁』が天地橋で待ち伏せしている場合もあるわけだ。
そうなれば、九尾の人柱力であるナルが向かえば、『暁』の思う壺。





思案げに眼を伏せた綱手は、意気揚々と飛び出したナルの軌跡を視線で追いながら、軽く髪を撫でつけた。


(真偽を確かめねばならんな…)















































「そりゃ協力してやりてーのは山々なんだけどよ…」


期待に満ちた瞳でじっと見つめてくるナルの視線から顔を逸らす。
気まずげに視線を泳がせながら、奈良シカマルは眉間に深い皺を寄せた。


「めんどくせーけど、中忍試験の係員、任されちまってな」




ナルが風影の我愛羅を奪還して無事に戻ってきた。
更には新しいチームメンバーとして自分を頼りにしてくれたのはすこぶる嬉しいが、如何せん、綱手から中忍試験の係員に任命されたばかり。


一緒に任務に参加したいのは山々だが、タイミングが悪いな、と溜息をついたシカマルは、恨めしげに自分をじ~…と見つめる青い瞳に、思わず「んぐ」と喉を詰まらせた。



そわそわと視線を彷徨わせるシカマルをよそに、彼をじっと見つめながら、ナルはむすっと唇を尖らせる。

綱手といのの会話である天地橋の話を聞いて、ナルは早速メンバー探しに繰り出していた。
風影奪還の任務に共についていたヒナタといのも、今度の任務にも続けて参加すると希望してくれたが、疲労が溜まっている様子だったので、彼女達には休息をとってもらうようナルは頼んだ。

自分は元々体力バカで、その上、チャクラも多い。
既に体力もチャクラも回復しているし、里抜けして大蛇丸の許へ行ってしまったサスケとサクラに再会できるチャンスを逃す気も更々無い。

よって、新たなチームメンバーを探そうとして、真っ先に彼女が向かった先が幼馴染で何かと頼りになる奈良シカマルの許だったのだ。
しかしながら、期待を裏切って、遠回しに断りの言葉を連ねるシカマルを、ナルはじと~っと恨みがましく見つめた。



「そ…っ、そんな捨て犬みてーな眼したってな…っ」

澄んだ青空を思わせる瞳が不安げに揺れている。上目遣いで自分の顔を覗き込んでくるナルから、シカマルは火照った顔を隠すようにサッと眼を逸らした。


頼りにしてたのに、とか、シカマルならと思ったのに、などと呟くナルを前にして、動揺する。
内心、想い人である彼女に頼りにされている事実を喜びつつも、断りの言葉をシカマルは口ごもった。


「無理なもんは、む…」
「んじゃ、俺が一緒に行ってやんよ!!」

感情を押し殺して断ろうとするシカマルの言葉を遮って、空から声が降ってきた。



ドスン!、と地鳴りと土煙が湧き上がる。さりげなくナルを背中で庇いながら、シカマルは面倒くさそうな表情を浮かべた。
シカマルの後ろから、ひょこっと顔を覗かせたナルは、大きな犬の背中に乗っている人物をぽかんと見上げた。見覚えのある顔に、驚愕の声をあげる。


「き…キバ…か!?」
「よぉ!!」

ナルを見るなり、喜色満面の笑みを浮かべた犬塚キバは、相棒の赤丸からすぐさま降りた。
ナルに駆け寄るや否や、鼻をうごめかす。くんくん、と匂いを嗅いで「やっぱ、ナルだな!この良い匂いはよ!」とニカッと犬歯を覗かせてキバは笑った。


「んえ?いや、任務を終えて里に戻ってきたばかりだから汗臭いってばよ?」

シカマルとは我愛羅を奪還する任務に就く前に会っていたものの、キバには会ってなかった。
だから久しぶりの再会に喜びつつ、匂いを嗅がれたナルはくんくんと自らも自分の匂いを嗅ぐ。
嗅覚が鋭いキバならともかく、汗の匂いしかしないな、と首を傾げるナルの匂いを、キバは再びくんくんと嗅いだ。


「いや、この匂いは間違いなく昔から俺がす」
「おい、いつまで嗅いでんだ、メンドクセー」


ナルの傍から勢いよく引き離す。いくらナルかどうか確かめる為とは言え、何度も匂いを嗅ぐキバを、シカマルはじとっと睨み据えた。


「大体、おめーは紅先生との任務があるだろーが。勝手なこと言うんじゃねぇよ、めんどくせー」
「ナルが困ってんのに、黙ってられねぇだろ!」


邪魔されたキバがシカマルを睨み返す。
同じ想い人のナルを挟んで、バチバチ火花を散らしているキバとシカマルをよそに、ナルはすっかり大きくなった赤丸に夢中だった。



「すげぇってばよ、赤丸~!キバ乗せて走れるくらい大きくなったなぁ~!」と赤丸のもふもふの毛を堪能するナルと、ナルの顔をペロペロ舐める赤丸というほのぼのな光景を前にして、シカマルとキバが脱力する。







瞬間、二人の顔色が変わった。



「「ナル…ッ!!」」



シカマルとキバが一斉にナルに飛びつく。
押し倒されて、驚いたナルが眼を瞬かせると、視界の端で、赤丸が奇妙な猛獣に噛みついていた。黒い墨が飛び散る。


「な、なんだってばよ!!??」

墨へと変わった猛獣。
狛犬のようなソレに驚愕の表情を浮かべるナルに反して、キバとシカマルは彼女を守るように身構えた。


「あそこか…」

嗅覚が鋭いキバが逸早く、敵の居場所を突き止める。
いきなり襲い掛かってきた相手。正面の屋根の上に座っている人物の顔を認めて、シカマルは眉を顰めた。


(アイツ…何処かで…?)

見覚えのある顔に、顔を顰める。
色白の青年の姿に、ナルも不思議そうに首を傾げた。



「どっかで会った気がするけど、誰だってばよ?」
「知り合いにしてもいきなり襲い掛かってくる奴があるかよ!」


警戒体勢を取ったキバが、色白の青年向かって飛び出す。
途端、青年の術らしい数匹の狛犬がナル目掛けて襲い掛かった。


「チッ」と舌打ちしたキバが狛犬を赤丸と共に蹴散らしながら、「行け、ナル!!」と促す。
【影真似の術】の印を結んで青年を拘束する準備をするシカマルを横目で確認し、ナルもキバに続いて地を蹴った。


たくさんの狛犬がナルを邪魔するように襲い掛かってくるが、それらは何れもキバと赤丸が蹴散らしていく。
その合間を縫って、青年の許へ辿り着いたナルはクナイを即座に手に取った。




カキンと、短刀とクナイが搗ち合う音が響く。




刃物と刃物が軋む音を奏でる中、ナルは対峙している色白の青年を見据えた。
やはり、何処かで見た事がある。
過去の記憶を遡っていた彼女は、しかしながら、相手の下品な物言いで一気に引き戻された。




「野蛮だなぁ…君、それでもおっぱいついているんですか?」


朗らかな笑顔に反して下品な物言い。
女性に対する明らかなセクハラ発言に、ナルよりも、シカマルとキバのほうが青筋を立てる。
露骨に顔を顰めるシカマルとキバに反して、ナルは「しつれーなっ」と頬を膨らませた。






「エロ仙人のお墨付きの立派なのが二つ、ついてるってばよ!!待ってろ、今、見せて…」
「「やめろバカ!!!!!!!!!」」





怒りに任せて、その場で脱ごうとするナルに向かって、シカマルとキバが一斉に叫ぶ。
慌てて【影真似の術】を咄嗟に、色白の青年ではなくナルに仕掛けて動けなくしたシカマルに非はない。
代わりに、キバが勢いよく色白の青年へ襲い掛かった。


キバの猛攻をひらりとかわすと、色白の青年は胡散臭い笑顔を浮かべて、ナルを見つめる。
シカマルの術で身動ぎできないものの、強い眼光で自分を睨む彼女を、色白の青年────サイは愉快げに眺めた。

そうして軽く屋根を蹴る。
キバとシカマルには眼もくれず、ナルを一心に見据えながら、サイは印を結んだ。


「いずれ、またお会いしましょう」






刹那、墨がサイの全身を覆いつくす。
墨が消えた頃には、サイの姿は何処にも無かった。


「何者だ、アイツ?」と犬歯を覗かせて唸るキバの横で、「な~んか、見た事あるんだけどな~」とナルは不思議そうな表情を浮かべる。

過去の記憶を辿いながら【影真似の術】を解いたシカマルは、ハッ、とようやく思い当った。




(そうか。アイツ、サスケと────)































(───さて、)

執務室で手を組みながら、綱手は自分の部下を下がらせる。



いのやシズネを始めとした部下達が部屋から遠ざかったのを見計らって、彼女はやにわに【口寄せの術】を発動させた。
己が契約している口寄せ動物の大蛞蝓。
今はさほど大きくもなく、肩に乗せられる程度の大きさの蛞蝓は、綱手の視線を受け止めると恭しく首を垂れる。
暫しの沈黙の後、ようやく手元のカツユが相手からの言葉を綱手に伝えてきた。


≪なんだ?≫
「ご挨拶だねぇ」


蛞蝓【カツユ】が分裂した個体はみな意識を共有している為、どれだけ離れていても情報の伝達が可能である。
よって定期的に五代目火影である自分へ情報伝達するようにカツユの分身を相手に前以って渡していたのだ。


本来は、綱手の口寄せ動物であるカツユが分裂した個体が受け答えする為、丁寧な口調が返ってくるはずだが、どうやったのか、相手本人の声が直接聞こえてくる。








かつて、木ノ葉隠れの里を抜けた────。



















「元気かい、サスケ?」
≪何の用だ?≫







表向きは抜け忍であり、実際はスパイとして大蛇丸の許へ潜り込んだ────うちはサスケ。




昔と変わらぬ相変わらずのぶっきらぼうな物言いに、綱手は口許に苦笑を湛えた。
 
 

 
後書き
ちなみに、サイにはシカマルとナルは一瞬会ったことあります。詳しくは【上】の七十九話をよかったらご覧ください!

これからもどうぞ「渦巻く滄海 紅き空」をよろしくお願いいたします~! 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧