カルディア侯爵の挑戦状
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コーテリアの頑張り
〔変わって心も閉ざした。〕
今更話すこともないと言う感じの雰囲気を出す。
『貴方を公表することになりそうなんだけど、傷口はどう?』
心配そうな声音で言う母様は、魔法を解いて欲しそうにする。仕方なく魔法をとき、傷口を見せた。
『傷増えてるね。どうしたの?』
心配そうに傷口を見る。しかし、自分が直せたら良いのにと言うかのような少し悔しそうでもある顔をしていた。
〔手にある擦り傷はルーティアがすぐに治るのを不思議がってつけた傷が多い。擦り傷とか、足とかはルーシェ…〕
他にも色々あるが黙っていることにした。しかし、母様は鋭くそこをついてきた。
『他にもあるでしょう?隠さないで。』
優しい声音で言ってくれる母様に押されながら背中に傷があることを言った。母様に傷を見せたら、驚愕して立っていた。その光景にまたびっくりした。
『どうしてこんなことになったの。』
少し怒っているような声音に背中を向け続けながらも畏怖をも感じさせる。
〔ルーシェが熊に襲われてる兎をとっさに庇ったときかな。2人にはいたさも行かないようにしてるから痛すぎてこの時は心伏せたけどね。〕
バレてないのすごいでしょ。と言うふうに言ってみた。ただ、褒められたかったわけではない。母様は自分を追い詰める傾向にあるため、母様の罪悪感を少しでも和らげようと思ったのだ。
『馬鹿ね…。定期的に送ってた塗り薬の量も少し多めに入れるようにしておくわ。早く治して。』
その女王の悲痛な思いも受け止め、今にも溢れそうな感情を押し込めるコーテリア。
普通からしたら気絶をする方が当たり前なくらい大きな傷。2人には血が流れていないように見せているし、傷を負うのも私だけだ。とうに体の節々が悲鳴を上げているし、毎日激痛が走ってくる。
『痛いのも魔法使ってしんどくても我慢して新女王として顔を公表してくれる?』
〔わかった。やってみる。〕
母様の負担を減らすようににこやかに笑うコーテリアの心は、闘志と不安で一杯だった。
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