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邪悪を断ち切るもの

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第三章

「ではな」
「この山にですね」
「科学者がいてだ」
「そして科学者は」
「この娘と何かがある」
「そう考えるのが自然ですね」
「その通りだ、では術も使いつつだ」
 そうしてというのだ。
「科学者の隠れ家を探してな」
「討伐隊は見付けられませんでしたが」
「おそらく下手な術では発見出来ない位に巧妙に隠している」
「ですがそれを、ですね」
「我々の術は違う」
 星の者達のそれはというのだ。
「それで見付けてだ」
「成敗してそのうえで」
「この娘も救うぞ」
 日毬はちとせに少女を強い目で見つつ話した、目の光は強いが赤目族が目から放つ抗戦を防ぐ為サングラスはしたままだ。
 だが確かに目の光は強かった、その光を放ちつつ言うのだ。
「かならずな」
「そうしましょう」
 千歳も頷いて応えた、まだ少女のことは何もわかっていないがそれでもだった。二人で少女を救う為そして世を乱す奸賊を成敗する為にだった。
 二人は少女と共に山に入った、するとだった。
 異形の者達はこれ以上に増して出て来た、日毬と千歳は彼等を少女を護りつつ次々と刀を風水そして術で倒していった、そのうえで探る系統の術を使い科学者が潜んでいると思われる場所を探した。そこはというと。
 大木の付け根だった、一見すると山の一ヶ所に過ぎない、だが。
 二人はその前でも多くの異形の者達を倒しておりしかも術でそこに大きな穴を見付けた、その穴こそがだった。
「間違いないですね」
「この穴がな」
「科学者の隠れ家への通り道」
「左様ですね」
「ではだ」
「これから中に入りましょう」
「是非な、どうせ罠が多くあるが」
 科学者の隠れ家、その中にもというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「我々は行くぞ」
「そうしましょう」
 二人はこの時も意を決してだった、中に入った。
 この時も少女を連れていて三人でだ、隠れ家の中を進んでいったが次第にだった。
 少女は苦しみだしてだ、自分の前にいる日毬達に話した。
「ここは」
「覚えがあるか」
「嫌な場所」 
 こう言うのだった、南方の山の中とは思えない機械や実験装置が多いまさに科学の場所のその中において、
「けれどここで」
「ここでか」
「私が生まれた」
「そう思うか」
「とても嫌な人がいて」
 そしてというのだ。
「私や皆に」
「皆、か」
「その皆は」
「私達が倒してきた者達か」
 日毬はすぐに察しをつけた。
「そういうことか」
「思い出している」
 頭を両手で押さえ呻きつつだ、少女は日毬に話した。
「少しずつ」
「そうか、だが頭が痛むならな」
「それなら」
「思い出さないことだ、無理はするな」
 少女を気遣いこうも言ってだった。
 日毬は少女を連れて千歳と共に隠れ家の中を進んでいった。異形の者達はひっきりなしに出て来るが罠の類はなく。
 一行は遂に最後の部屋まで来た、そこを開けるとだった。
 鬼族の白衣の者がいた、その者が一行に対峙して立って言ってきた。
「私の名はルオト=アオキシークという」
「南洋で最悪の科学者だな」
「最高のだ」 
 日毬に勝ち誇った声で言うのだった。
「最高の天才なのだよ」
「才能はともかくその所業が最悪だ」 
 日毬も負けていない。 
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