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許されない罪、救われる心

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167部分:第十五話 許される心その八


第十五話 許される心その八

 そしてだ。さらに言うのだった。
「あれはね。もうね」
「何ていったらいいんでしょうか」
「地獄ね」
 皐月はそれだと定義した。
「もうね。地獄ね」
「地獄なんですか」
「糾弾ではなくて。地獄を生み出しているのよ」
「そしてそれをこの娘達に」
「人間のすることじゃないわ。岩清水君だったかしら」
「はい」
 弥生は皐月の出したその名前に対して頷いた。岩清水の名前に他ならない。
「そうです」
「彼はね、この娘達なんて比べ物にならない位」
「比べ物にですよね」
「許されない、いえ人間の行いを超えてるわ」
「人間の・・・・・・」
「邪悪っていうのかしら」
 この言葉をだ。皐月は出した。
「彼はね」
「邪悪ですか」
「私はそうとしか思えないわ」 
 真剣な顔で語る皐月だった。
「あそこまでいくとね」
「そうですか」
「そう思うわ。貴女はどうかしら」
「私は」
 皐月の言葉を受けてだ。弥生は少し俯いて考える顔になった。そうしてそのうえでだ。彼女は顔をあげてそのうえで皐月に答えた。
「岩清水君が邪悪かどうかはまだわかりません」
「まだなのね」
「ただ。彼がやっていることは」
「ええ」
「如月達を、私の友達を傷つけるものです」
 それだというのである。
「それは。絶対に許せないです」
「それが貴女の考えなのね」
「はい」
 今度はだ。しっかりとした声で答える弥生だった。
「それは間違ってるでしょうか」
「いえ、間違いじゃないわ」
 皐月は弥生のその言葉を受け入れてみせた。
「正しいわ。貴女はね」
「そうですか」
「ええ、この娘達に今必要なのは」
 四人を見てだ。また話すのだった。
「友達、そして支えだから」
「それがですか」
「貴女が必要なのよ」
「私が」
「そうよ、必要よ」
 弥生を見てだ。そのうえでの言葉だった。
「絶対にね」
「わかりました。それじゃあ」
「それと。貴女達だけれど」
 今度は如月達を見ての言葉だった。
「いいかしら」
「はい」
「何が」
「私はまだ貴女達を完全に許せないけれど」
 言葉はまだ厳しいものだった。
「あの娘、椎葉さんは許してくれたのよね」
「はい、そうです」
 四人に代わって弥生が答えた。
「椎葉さん、この娘達の謝罪を受け入れてくれました」
「そう。それならいいわ」
 弥生のその言葉を聞いてだ。皐月はこくりと頷いた。それからだった。
「それでね」
「いいんですか」
「部活のこともね。あの娘が許してくれたのなら」
 この前置きからだ。また話すのだった。
 
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