戦国異伝供書
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第二十六話 検地と刀狩りその二
「東西を治めていく」
「そして天下を定める要が安土城ですな」
「そうじゃ、それでじゃが」
信長は丹羽にさらに話した。
「この安土に諸大名の屋敷を築かせる」
「天下の、ですな」
「うむ、そして大名は一年は領地にいてな」
「もう一年は、ですか」
「その屋敷に住ませる、それを繰り返させてな」
「大名達を行き来させて」
「その旅銭で銭を使わさせてじゃ」
信長は丹羽に話していった。
「余計な力は蓄えさせぬ、しかもな」
「しかも、ですか」
「大名は銭を旅で使うのじゃ」
領地と安土を行き来するそれでというのだ。
「ならば銭は道中の民達に落ちるな」
「民達も潤い」
「商いも栄えるな」
「確かに。その様にもですか」
「させていく、そしてじゃ」
大名の力を使わせてというのだ。
「商いを栄えさせるのじゃ」
「道からもですか」
「そうする、宿場も出来てそこにも街が出来る」
大名達が行き来をしてというのだ。
「よいことであろう」
「そこまでお考えとは」
大名を弱らせ謀反の力を削いで商いを盛んにさせてというのだ。
「素晴らしいですな」
「そう言うか、ではな」
「このことはですか」
「安土の城を築けばじゃ」
それでというのだ。
「天下が統一されてな」
「そのうえで、ですな」
「この政をはじめる」
「わかり申した、それでは」
「そうしたこともしていく、それと堺じゃが」
信長はこの地のことも話した。
「このままな」
「明や南蛮とですか」
「商いをする場にするが他にもじゃ」
「港を開かれますか」
「神戸、あと東国の相模の横浜か」
「ああした場にですか」
「明や南蛮との商いの港を開きたい」
そうした場にもというのだ。
「そしてじゃ」
「そのうえで、ですか」
「銭を得たい、天下が統一されれば九州の長崎や平戸にもじゃ」
「他の国との商いの港を開かれますか」
「そうする、全て織田家がそれを扱うが」
ここで信長はこうも言った。
「どうも耶蘇教には気をつけた方がよいな」
「それは、ですか」
「妙な話を聞いた」
ここでだ、信長は眉を曇らせて丹羽にこうも言った。
「本朝の民達が外に売られて奴婢にされておるとな」
「奴婢ですか」
信長のその言葉にだ、丹羽は驚いて問い返した。
「まさか」
「そう思いたいがな、それでもな」
「捨て置けませぬな」
「若しそれがまことの話だとな」
「だからじゃ」
それでというのだ。
「ここはな」
「調べたうえで」
「噂ではそれに耶蘇教の伴天連達が深く関わっておるからな」
「それ故に耶蘇教はですか」
「布教させてはならぬかも知れぬ」
「だから教会は、ですな」
「作らさせずな」
「商いもですな」
「気をつけてじゃ」
そうしてというのだ。
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