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Cloud and Sunlight~雲と太陽と~

作者:てる。
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プロローグ:馬鹿~とある密林にて~

 
前書き
金属質な両作のクロスを、思いついてしまったやつが書いてます。
なので、オリジナル設定とかオリキャラとかバリバリ出てきます。

耐性ある方のみ、お進みください。 

 
~部隊員の記録より~

 AM 8:30 作戦ポイントA、作戦本営設営地に到着。
 本営はすでに設営を終えており、我々の到着と同時に設営作業員たちが撤収。ポイントAより15km地点に存在するポイントB、ホムンクルスコミュニティのアジトに対し、偵察活動終了後、分散して行軍。各方位より同時襲撃をかけ、逃すことなく殲滅。

 コミュニティの名称は自称「人造超生物公司」。日本のコミュニティとの繋がりもある模様。又盟主である「趙 清勿」及び数人の幹部を除けば全てが動物型であると事前調査で明らかになっており、人間型も核鉄の保持記録はなし。













「両断!ブラボチョップ(手加減)!」
「いってぇぇぇ!」
「馬鹿・・・紙面資料の持ち込みは禁止の筈よ。」

 轟音とともに若い戦士の頭に手刀を浴びせるのは、この舞台の責任者である戦士長、「キャプテン・ブラボー」だ。本来の威力であれば海をも割る手刀だが、痛いですむ威力にきちんと抑えているのはやはり上官としてのスキルなのだろうか。
 ちなみに、風圧だけで先ほどの資料はボロボロになって読めなくなっていた。嗚呼、超人恐るべし。

 そうこうしていると、本営の入り口付近が騒がしくなる。
「戦士長、偵察隊が戻ったみたい。」
「よし、各員出撃の準備を怠るな。それから真希士はもう一度綴香にレクチャーを受けておけ。」
「っててて、あいよ。」
「馬鹿の為に何で私が・・・。」

 抗議の声を上げる女性戦士=綴香を聞かなかったことにしてキャプテン・ブラボーは部屋を出た。仕方なく綴香は戦士=真希士に向き直って作戦のレクチャーを始めた。



「まったく、あいつらは・・・。」

 未熟な戦士たちに頭を抱えながらも、ブラボーの頭ではすでに作戦絵図が描かれていた。
 人格こそ未熟ではあるが、養成所をすでに出ている二人について実力上の不安は抱いていない。真希士の攻撃力は亜細亜支部内でも高い評価が上がっているし、冷静な綴香の臨機応変さはブラボー自身救われることも多い。

「戦闘力はまあいいとして、問題は数だな。包囲戦だというのに3人でやれというのは・・・。」

 実際包囲戦の本質は人海戦術だ。極端な話ローラー作戦にも近い。隙間が空く分だけ、敵の脱出の可能性を残してしまうからだ。ホムンクルスのように捕虜や酌量の可能性のない相手ならば、逃げられるというのは最悪だ。

「戦士:斗貴子がいれば数の不利はまだ何とかなったんだろうがなぁ・・・。」

 ここにはいないもう一人の部下を思い浮かべる。防人隊のメンバーとしての日はそれほど長くない上に単独任務が多いため他のメンバーはいざ知らずブラボー自身もあまり交流が持てていないが、言い換えればそれだけ信頼できる戦力だということにもなる。

「まあ仕方がないか、この手のトラブルはよくある方だ。逃がさなければ何も問題はないからな。」



しかし後に、キャプテンとして見通しが甘かったのだと痛感することになること、そしてそれゆえに出会う、一人の異分子との出会いがあることも、今のブラボーはまだ知る由もなかった。



















「錬金の戦士、参っ上!覚悟して念仏でも唱えな、中国妖怪大戦争ども!」
「馬鹿、不意打ちできれば楽だったのに・・・。」

 大見得を切る真希士に綴香が頭を抱える。もしもこの集団が手練れの集まりであるならばそれは大きな隙になる。だがそれにおびえる様子を見せるホムンクルスたちを見、ブラボーはある思考をめぐらせる。

(雑魚の群れか、それが分かっただけでも上出来だ。プラスに考えろ、あれはミスじゃないとして、すぐさま次の手を打つんだ!)

 そして次の手をすぐさま打ったのは、真希士だった。

「いっくぜぇ!武装錬金!とう!」

 何も考えていないだけだが、奇しくもそれはブラボーの最善手。

「馬鹿、後先考えずに・・・」
「いや、速攻が最善手だ!いくぞ!」
「戦士長まで・・・、武装錬金!」

すでに武装を身に纏っているブラボーに遅れて、綴香も自身の武装を手にした。



30分後



「殲滅完了!ちょろいぜ!」

 自身の武装錬金を掲げ、高らかと宣言する。真希士の心の中では今頃ファンファーレが鳴っていることだろう。
 だが、その頭を後ろから小突くものが当然いる。

「作戦無視!何も考えてないの!?」
 綴香である。

「いってえなあ、考えてばかりじゃ足が止まっちまうだろ?足が止まったやつから戦場では死ぬんだぞ?」
 これは真希士自身の戦闘哲学というかポリシーでもあり、常に自分に言い聞かせている。

「だからって何も考えなかったら周りを危険にさらすでしょう、馬鹿!」

 すでに戦闘終了しているとはいえ早速けんかを始める二人の部下に、さすがのブラボーも苦言を漏らす。

「バカは両方だ、戦場で何をストロベリってんだ!馬鹿やってないで周囲の警戒!討ち漏らしがないか探索をし終わるまで気を抜くな!」
「りょ、了解!」
「ストロって・・・こんな馬鹿とセットにしないでください!」

 とはいえ、この状況下で生存しているホムンクルスがいることは滅多にない。大して文明的な建物ではないこのアジトで、隠れているということもほぼないであろうためか、事後探索は大概徒労に終わる。


 だが、今の一文で聡明な読者諸兄には理解いただけたと思う。この根性の悪い筆者が、絶対という表現を一度も使っていないと。
 
 そして、そんな時、どんなことが起こるか、ご想像いただけたと思う。


「足跡・・・外に、だよな・・・。」

 見つけたのは、真希士だ。



「何で・・・なんで戦士がくるんだよぉ・・・。」

 自称「社長」、趙は必死でアジトを離れていた。おちのびる、という表現が正しいかもしれない。

「俺はまだ人を食ったこともないし、部下達だって食わせたことなんかないってのによぉ・・・。」

 そう、この趙という男、ホムンクルスとしてはかなり若い部類だ。自身や周囲の戦力を整えることに終始し、戦士がいつ来ても防御できる体制ができるまで、部下にも人食いを硬く禁じていたほどの慎重な男だった。自分の力を過信していないあたり、そこらのホムンクルスよりも狡猾だったといっていい。

 余談だがバレた理由は餓えた部下が趙に隠れて人を食っていたからなのだが、そんなことを趙は知る由もなかった。

「もうこうなりゃヤケだ、食えなくなるまで食ってから死んでやる!」

 この程度でヤケになるあたり器が知れたものだが、腹をくくってしまえば周囲からすれば最悪だ。

「さっきからうるさいんだよ!俺を馬鹿にしているのか!」

 ・・・地の文に噛み付いてくるあたり、切羽詰っているのが伺える。

「食い物、食い物、食い物・・・。」

 どうでもよくなったらしい。それもそうだろう、本能に逆らっていた分、飢餓は極限だ。そしてその押さえを外すと決めてしまったのだ。
 
「いた!」

 趙の目には、一人の人間が映っていた。



「急げ!ホムンクルスの足だ、町に着かれたらお終いだぞ!」
「く、失策・・・。」
「悔やむな、速力が落ちる!とにかく急ぐことだけ考えろ!」
「言われなくても分かってる、馬鹿!」
「余計なけんかをするな馬鹿、消耗する!」

 賑やかな面々が密林中を急いで走っている。養成所卒の戦士の足は最低でもオリンピック級程度はある。一般人が見ていたら騒ぎになる程度には速い。

「居たか?」
「左はなし、真希士?」
「右も後ろもなしだ!ブラボー?」
「正面、見える範囲には・・・いた!」

 見ると正面やや右に、趙が何かに襲い掛かっている様子が見えた。対象は人間の様で、金髪の外国人のようだ。

「綴香は保護に、真希士は俺と一緒に殲滅に当たるぞ、急げ!」
「「了解!」」



「大丈夫ですか?Are you OK?」
 保護対象は足腰もしっかり立っていて、鉄パイプのようなものを持っている。察するに戦って追い払おうとしていたのだろうが、無茶にも程がある。ホムンクルスは錬金術の力以外では傷1つ追わないからだ。こくりとうなずいたのを見てから趙のほうへ目をやると、もう殲滅は終わっていた。

「綴香!彼は無事か?」
「はい、オールグリーン!」
「危なかったぜ、あと5分遅れてたらと思うと、ぞっとしねえな。」

 一息つく。足跡は一人分だったため、これで正真正銘任務完了ということになる。

「それにしても君、運がいいのか悪いのか・・・、何分ほど前に遭遇したか分かるか?」
「30分だ。」




 絶句。




「チョイ待て、冗談抜き!何分前だ?」
「30分だと言っている。理解できなかったのか?」
「馬鹿言え!ホムンクルス相手に30分持つ人間がどこに居るんだよ!」
「ホムンクルスというのが何かは知らないが、あの程度の技量ならどうということでもないだろう。」

 平然と言い放つ金髪の青年に、真希士が振り回されている。綴香から見ればある意味滑稽だが、今ここで必要なのは事実確認だ。

「すみません、この馬鹿は無視してください。」
「おいコラ。」
「(無視)30分間、貴方はあれと戦っていたのですか?」
「ああ。」
「その鉄パイプでですか?」
「ああ、落ちていたからな。」
「武術の心得か何かが?」
「剣ならな。どれだけ致命傷を与えても死なないのが不思議だったが。」

 手早く情報を聞き出していく綴香の脇でふてくされている真希士はこの際無視しても、必要なのは安全な場所への帰投だろう。ブラボーも話に加わる。

「すまないが、安全な場所に案内する。説明はするから、其処で事情を聞かせてはもらえないか?」
「ああ、いいだろう。だが、先に聞かせてほしい。」
「なにをだ?」
「あんたたちの名前。」

 ブラボーは一瞬きょとんとしたが、すぐに忘れていたばつの悪さを笑顔で噛み潰して答えた。

「そ、そうだな。まずこっちが綴香。」
「よろしく。」
「で、こっちの不貞腐れてるのは真希士だ。」
「べ、別に不貞腐れてるわけじゃ・・・。」
「テイカにマキシか。」
「無視すんなぁ!」

 部下たちと、どうやら相性がよさそうだと安心しつつ、ブラボーも名乗りを上げた。

「で、俺が「キャプテン・ブラボー!」」
「何の冗談だ?」
「本名は名乗ってないそのほうがかっこいいだろう?」
「いや、感性を疑う。」

 ばっさりやられたことに落ち込む風を見せるが、一瞬のかげりを見逃すほどその青年も鈍いほうではないようだ。追及しない青年に内心でブラボーも安堵する。
 何しろ、それを語れば少々自身のトラウマをえぐる。

「で、あんたは?」

 横槍の形で真希士が尋ねる。答えられた名前はやはりなじみの薄い横文字だった。








「クラウド・ストライフだ。」 
 

 
後書き
あらすじしか出来ていないのに書き始めた暴走作品ですので、文章の練りは相当甘いと思います。ご意見ありましたらぜひお願いします。

とりあえずオリジナル設定1

綴香:オリキャラ。ブラボーの部下で冷静な頭脳派。クラウド視点での代行ヒロイン。 
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