社会人共がクトゥルフやった時のリプレイ
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クロノスを喰らうもの
Part.11
さてさて……クロノスを食らうもの、神話生物、ティンダロスの猟犬を直視してしまった探索者の皆さん? ダイスの準備は出来ましたか? もちろん1D100。
「GM」
どうかしましたか、市民古美門。
「私たちは神話生物である空鬼に遭遇している」
そうですね。
「それに加えて、私たちは全ての情報をできる限り共有している」
そうですね。
「休憩室にあった絵本のこともみんなに伝えてある。当然、その内容もだ」
そうですね。
「《SAN》チェックを免除してくれたまえ」
はっはっは、ダメダメ。1D3/1D20の《SAN》チェックでございますよ。さらに5パーセントの《クトゥルフ神話》技能をプレゼントします。
古美門《SAN》51 → 16 成功
勇儀 《SAN》45 → 62 失敗
咲夜 《SAN》31 → 31 成功
遊星 《SAN》24 → 26 失敗
京楽 《SAN》21 → 57 失敗
チッ。古美門は本当に《SAN》チェック強いですなぁ。咲夜も後半のダイスの出目が荒ぶっていましたし……。
「はっはっは。私の悪運は尽きんな(コロコロ)……ほら見ろ、1だ」
「その悪運、ちっとでもいいから分けてくれよい(コロコロ)……うっは、あたしは最大値20。半分近く吹っ飛んじゃったねい……」
「え、それってマズいのでは(コロコロ)……3です」
「俺たちも油断できないぞ。信じるんだ、1/5を信じろ(コロコロ)……ダメだったか。9だ」
「頼むよボクの1D20(コロコロ)……やった! 2! やったよ! 狂気回避だよぉ!」
では不定の狂気に陥ってしまった勇儀ちゃんと遊星くん、《幸運》チェックです。
勇儀 《幸運》65 → 41 成功
遊星 《幸運》55 → 27 成功
「良かったのか悪かったのか、一時的狂気との同時発症は防げたねい。1D10っと(コロコロ)……また10かい。不定の狂気の10番はなんだい?」
えっとですね……強迫観念に取りつかれた行動です。例えば手を洗う際に爪の1つ1つの間も洗う、地面の割れ目を跨がない、特定のリズムで歩き続ける、とかですね。
「いまいちよくわからん発狂だな。どうしたものか」
あ、じゃあ振り直します? いいですよ?
「じゃあ振り直すよ(コロコロ)……9」
9番は……お、リアルパラノイアですね。一時的偏執症です。
「お、それならやれそうだ。【クロノスの魔弾】を込めた32口径リボルバーを構える。出てきやがったねい猟犬! あたしがぶっ倒してやる! と言いながら周りの声なんて聞かずに勝手に突っ込む!」
「暴走したか勇儀。俺もヤバいな(コロコロ)……6」
6番はですねぇ……制御不能のチックです。震えが止まらず会話で他人とコミュニケーションが取れなくなります……が、どうでしょう遊星くん。一時的発狂の方を発症しときます?
「え? 一時的発狂の方の6番ってなんだったか?」
自殺癖or殺人癖でございます。
「そっちを選ぶぞ! 俺も32口径リボルバーを構えて猟犬に突撃だ! 野郎! 理人くんと理子ちゃんの幸せを邪魔するやつは許さん! うおおっ! ぶっ殺してやる!」
「お、おい! 星熊くん、遊星くん! 落ち着け! 戻ってきたまえ!」
「私の《精神分析》を受けてください!」
「五月蠅いぞ! あたしはあの猟犬を殺す! 撃って撃って撃ち殺してやるんだ! 邪魔すんじゃないよ!」
「同感だ! 理人くんたちの障害になるやつらは排除すべきだ!」
「ダメだ聞く耳持たないねぇ」
さらに探索者の皆さん、《CON》×5で判定してください。
古美門《CON》18×5 → 63 成功
勇儀 《CON》13×5 → 35 成功
咲夜 《CON》10×5 → 33 成功
遊星 《CON》10×5 → 43 成功
京楽 《CON》13×5 → 22 成功
お、全員成功ですか。では特に何も起こりません。
えー、拳銃持った2人が突っ込んでいったのと入れ替わりに、残ったあなた達のもとに加納がやってきます。
「私たちの利害は一致します。祟道理子が食われてしまっては元も子もありません。ここは私たちに任せて祟道理子を連れて逃げてください」
と言いながら連れてきた天狗衆と共に猟犬に電気銃を放ちます。
「メタ発言だが確か、ティンダロスの猟犬に物理攻撃って効かなかったな?」
「効かないねい。そのための【クロノスの魔弾】と【祝福されし短剣】なんだろう」
「それにここで理子ちゃんを連れて逃げても、肝心の猟犬を完全に撃退させるか封印しないといつかは絶対理子ちゃんは食われる」
「ハッピーエンドにならないねぇ」
「封印ですか。封印させるための【禁縛の宝珠】がないんですよね」
こーらこらこら。その情報はあなた達のクリアランスに開示されていませんよ? そのことを踏まえて行動してくださいね?
「GM、加納たちは電気銃を猟犬に放ったな。私はその光景を見る。《アイデア》で判定だ。成功であの猟犬に物理攻撃が通用しないことを思い付き、絵本の内容を思い出してどこまでもついてくることを思い出す」
それならよろしい。判定どうぞ。
「あ、私も振ります。絵本見ましたから」
「ボクも振ろう。運良く発狂しなかったボクたち3人は全員絵本を読んでいたね」
古美門《アイデア》75 → 51 成功
咲夜 《アイデア》80 → 48 成功
勇儀 《アイデア》70 → 10 成功
「よし、私たちはあの猟犬を封印に動くぞ」
わかりました。では今回出現したティンダロスの猟犬のステータスを決定します。(コロコロ)……はい、決まりました。開示します。
ティンダロスの猟犬/クロノスを食らうもの
STR:16 CON:31 POW:19
DEX:7 SIZ:23 INT:24
耐久力:∞ DM :+1D6
というわけで戦闘ラウンド入ります。PL達からどうぞ。
「待て待て待てぃ! 耐久力が無限ってどういうことだ!?」
この猟犬は特別、強大かつ凶悪な猟犬ですので、完全に殺しきることは不可能です。そういう設定なのです。まぁ時の神の力を得た人間を狩りに来ているのですから、それなりに強い猟犬が現れた、ということにしてください。
「封印以外に対処手段がないな」
「俺からだ! 32口径リボルバーを猟犬に向けて発砲する! ガンキャノンショットだ! まずは狂人の洞察力判定……14。失敗だ」
遊星 《拳銃》20 → 76 失敗
「く、失敗か」
「次はあたしだ! 同じく32口径リボルバーを撃つ! 遊星の下手くそが! あたしの拳銃裁きを見て勉強しやがれ! 洞察力判定……28! 失敗だねい! 普通に判定!」
勇儀 《拳銃》58 → 55 成功
「成功だ! 喰らえ!」
猟犬の《回避》判定。
ティンダロスの猟犬《回避》?? → 59 失敗
3D8 → 16
「どうだ、見たかい遊星! 拳銃はこうやって撃つんだ! で、GM。猟犬はどんな様子だい?」
怯んだ様子ですが、まだ平気そうです。あ、それから今まで猟犬は理子や加納、天狗衆しか眼中になく勇儀の方を見ていませんでしたが、今の攻撃を受けて猟犬の赤い瞳が勇儀を捉えました。
「ターゲットの仲間入りかい。まぁいい。こいつはこのあたしがぶっ殺す!」
「次は私です! 祝福されし短剣で猟犬を斬りつけます! 《ナイフ》で判定していいんですよね?」
いいですよ。
咲夜 《ナイフ》70 → 27 成功
ティンダロスの猟犬《回避》?? → 67 失敗
1D4+2+1D4 → 7
ダメージを負った様子ですが、猟犬は平気そうです。あと咲夜の方にもその眼光を輝かせました。
「次は私の行動だ! GM、私は祟道智代の服の中を探る! 猟犬対策の【禁縛の宝珠】を智代自身が持っている可能性が高い!」
では古美門は死体となった智代の所に向かい、彼女の無残な姿を直視します。古美門、彼女の持ち物を物色する前に0/1D4の《SAN》チェックです。
古美門《SAN》50 → 90 失敗
「失敗か、まったく最期の最期まで迷惑な女だ(コロコロ)……2。で、何を持っている?」
ビンゴです。古美門はアーティファクト【禁縛の宝珠】を入手しました。【禁縛の宝珠】の情報を公開します。
【禁縛の宝珠】はティンダロスの猟犬を封印するアーティファクトです。
猟犬を封印するためには、《こぶし》《組み付き》《投擲》等の手を使った攻撃ロールに成功し、宝珠を猟犬の体に直接触れさせる必要があります。
ですが猟犬は極めて強大な怪物。猟犬が全くダメージを受けていない場合封印術を振りほどいて脱出してしまう可能性があります。
封印の確率を上げるためには、【クロノスの魔弾】や【祝福されし短剣】で攻撃して猟犬を少しでも弱らせる必要があります。猟犬を弱らせれば弱らせる程、封印の成功率は上がっていくことでしょう。これ以上の情報は《クトゥルフ神話》技能で判定してください。ちなみに技能振ってわかる情報は、具体的にどれくらい猟犬にダメージを与えればどのくらい成功率が上がるかです。
「GMが判定を要求してきたか……さすがにこれはロールプレイじゃ解決できんな。大人しく《クトゥルフ神話》で判定だ」
古美門《クトゥルフ神話》16 → 19 失敗
「く、惜しいな。だけどまぁ、なんとかなるか。私の行動はこれで終わりだ」
「次はボクだ。古美門くんから【禁縛の宝珠】を受け取って咲夜ちゃんに渡すよ。ボクや古美門先生は手を使った攻撃技能を取ってないからねぇ。咲夜ちゃんは《投擲》あるし、適任でしょ?」
「ですね。勇儀さんは発狂していますし、私がやります。任せてください」
「今回は十六夜さんが主役だな。取った技能が全部機能しているんじゃないのかね?」
「ですね。まさかここまで役に立てるとは思っていませんでした。咲夜をイメージして作ったネタキャラクターなのに」
「ボクはその後に理人くんと理子ちゃんの壁になるように陣取るよ」
はい、というわけですね。今度は猟犬の攻撃です。(コロコロ)……対象は星熊勇儀さん、あなたです。《前脚》で蹴りつけてきます。
ティンダロスの猟犬《前脚》?? → 97 ファンブル
え、えええぇぇぇぇ――っ!? マジですか!? またファンブルですか!? 90パーセントもあるのに!?
「今回GMのダイスの出目が腐ってるな」
「シリアスな戦闘シーンなんだけどねい、全部ファンブルで潰されているねい」
ぐ、ぐぬぬ……。はぁ、当然猟犬の攻撃は失敗。さらに次のラウンドは《回避》不可とします。
「俺のターン! 32口径リボルバーで攻撃だ! まずは狂人の洞察力判定! (コロコロ)……22、失敗だ! 普通に《拳銃》で判定だ!」
遊星 《拳銃》20 → 20 成功
「よし、ギリギリ成功だな! 理子ちゃんたちを傷つけるやつは許さないぞ! ダメージロールだ。来い!」
3D8 → 23
「ほとんど最大値だ! これは効いているだろう!」
めちゃくちゃ効いていますね。猟犬は怯んでいます。
「あたしも続くぜえ! 負けないよい! まずは洞察力判定だねい! (コロコロ)……63! 成功! 自動成功だ! ダメージロールだねい!」
3D8 → 11
猟犬の動きが鈍くなっているのがわかりますが、それでもその生命活動が止まる気配はありません。
「次は私です! 【禁縛の宝珠】を猟犬に向かって《投擲》します! 70パーセントです!」
咲夜 《投擲》70 → 27 成功
咲夜によって投げられた【禁縛の宝珠】は放物線を描いて宙を飛ぶ。そして、やがてそれは理子を襲う怪物のもとに向かっていき……怪物の身体に当たったその時。宝珠の中から光が溢れ、それはまるで鎖のように怪物を雁字搦めに縛り付けていきます。
怪物はなんとかして逃れようと苦しそうにもがいている様子ですが、それは叶うことはありません。一際強くその光が輝くと、次の瞬間には猟犬の姿はなく、時計の針のような赤いものが刻まれた宝珠だけが転がっていました。戦闘を終了します。発狂している皆さん、全員正気を取り戻してください。
「……猟犬は封印したのか。これで理子ちゃんを助けることは出来たな。ふぅ」
「はぁ……はぁ……、す、すまないねい、なんかひとりで突っ走ってた気がするよい……」
「落ち着きましたかおふたりとも」
「うかうかしていられないぞ。理人くんと理子くんも連れてとっとと逃げるぞ!」
「そうだねぇ。早くここから逃げるとしよう」
どっこい、そうはいきません。猟犬が封印されたのを見るや否や、加納と天狗衆があなたたちの周りを包囲してしまいました。
「くそ、囲まれたか」
「逃げ道がないねぇ……。ここまで、かなぁ……?」
「猟犬を封印してくださったこと、本当に感謝します。さて、祟道理子をこちらに渡してもらいましょうか? 一時とはいえ共闘したよしみです。……あなたたちとその少年の命は保証します。これは本当です。ですからおとなしく、祟道理子を渡しなさい」
「く……」
理子を渡さなければ間違いなく自分たちは殺され、理子を渡したとしても助かる見込みは薄い。そして何よりあなたたちは理子を加納たちに渡すつもりはなく、もはや万事休す、絶体絶命。前に進もうが後ろに引こうが待っているのは地獄。
ここまでなのか、いやなにか手はないか、様々なことを考えるあなた達。そんなあなたたちの前にある人物が進み出ます。それは、あなた達が助け出した理子です。彼女は何か、意を決したような顔つきで加納の前に出てきました。
「ふむ、自分から来ていただけましたか。どうやらあなたは聡明な人間みたいですね。さぁ、我々と共に行きましょう」
「り、リコッ! ダメだ、行くな!」
「……大丈夫マサト。大丈夫だから」
と優しく微笑むと、理子は懐からキラリと光るものを取り出しました。……それは、探索者の皆さんが持っている【祝福されし短剣】と同じ剣でした。おそらく猟犬対策に持たされていたのでしょう。……《アイデア》チェックをお願いします。
古美門《アイデア》75 → 75 成功
勇儀 《アイデア》55 → 14 成功
咲夜 《アイデア》80 → 34 成功
遊星 《アイデア》70 → 19 成功
京楽 《アイデア》70 → 09 成功
《アイデア》に成功した皆さんは彼女が今からやろうとしていることに気が付きます。そしてその予想は的中し、理子は短剣の切っ先を自らの目のあるところまで持っていきました。
「ま、まさか! 理子ちゃん! それはダメだ!」
「お、おい! まさか自分の目を……!?」
「これはいかんな! 理子ちゃんに《組みつく》よい!」
「待て! 止めるな! 様子を見るぞ!」
「そんな悠長なことを言っている場合ですか!?」
「落ち着きたまえ、加納の動きを見てから行動しても遅くない! GM、加納は今どんな様子だ!?」
あなた達と同じように理子の真意に勘付いた様子で、狼狽えています。そして叫びます。
「馬鹿な真似はやめなさい! あなたは自らの脳が如何なる価値を持つか分かっていません! あなたはクロノスの神から授かったその脳がどれだけ素晴らしいものなのか、まったくわかっていません! 我々ならそれを有効活用できます! あなたの力を十二分に発揮できる環境を用意することもできます! 不自由のない生活も送らせてあげられるのです! だからやめなさい!」
「奴のあの言いよう……奴の目的は理子くんの脳みたいだな。メタ発言だが、やはり奴の正体は神話生物ミ=ゴだったか。……ここは見守ろう」
「……そうだねぇ。目を背けないで、しっかり見届けてあげようじゃないか」
「ああ、そういう……。わかった。俺も彼女の覚悟を無駄にしない。見守ろう」
「そんな! 止めないんですか!?」
「よくよく考えてみたまえ。ここで理子くんの目を潰さずに済んだとして、そしてこの場を一時しのぎで逃げ切ったとして、加納の背後にある組織が理子くんをこのまま逃がすと思うか?」
「……そういうことかい。あの目がある限り、理子ちゃんはミ=ゴから狙われ続けるということかい」
「それに別個体の猟犬がまた来る可能性がある。あの目のせいで、いやでも理子ちゃんは過去と未来を見ることができるんだからね。先のリスクを考えるなら、彼女の選択は正しい。見守ってあげよう」
「……それもそうですか。わかりました……」
「え? え? な、なんだ……リコは何をしようと……ま、まさかそんな!」
「理人くん、ここは彼女を信じて……目を逸らさず、見届けましょう。と言いながら理人くんの肩を掴んで動けないようにします」
「そ、そんな! 放せ! 放してください! リコ! リコォ!」
理人くんは必死の形相で理子を呼びますが、理子は動揺の色一つ見せず、希望を顕わに決然と答えます。
「大丈夫だよマサト。これで私は自由になれる。私の脳の価値? そんなの、興味ないわ。叡智なんていらない。神様なんていなくてもいい。たとえもう、二度とこの目が光を見ることができなくなったとしても構わない。だって……私が欲しかったものは、ずっと……ずっと、この手の中にあったんだから」
ふわりと笑みを浮かべ、目を瞑った瞬間……理子は短剣を思い切り自らの眼球を貫かせ、切り裂いた。……目の前で1人の少女が自らの眼球を貫いた光景を目撃した皆さん、最後の《SAN》チェックです。0/1D6です。
古美門《SAN》48 → 16 成功
勇儀 《SAN》25 → 19 成功
咲夜 《SAN》28 → 51 失敗
遊星 《SAN》15 → 35 失敗
京楽 《SAN》19 → 19 成功
「(コロコロ)……4。何とか発狂は回避しました。涙を流しながら両手で顔を覆います」
「(コロコロ)……俺も大丈夫だ。1」
「くそっ! くそぉっ!」
「リコォ!」
無念の咆哮を上げる加納、咲夜の手から解放された理人は泣きながら理子の所へ向かいます。泣き叫ぶ理人の頭を撫でながら、自らの両目を切り裂いた理子は地面に膝を着きながらも心からの笑顔を浮かべました。
「これからはずっと一緒だね……マサト」
……と。
「……ボクは慟哭している加納の所に行くよ。そして話しかける。キミが目的にしていた彼女の目は……死んだ。もう彼女に固執する理由はないだろう?……お願いだからさ、諦めてくれないかい。ボクも古美門先生も、キミやキミの後ろに控えている組織と敵対するつもりはないよ。だからどうか、これ以上あの子たちを傷つけないでほしい。彼らには何の罪もないんだから」
「……くそが。まぁ、いいでしょう。無益な殺生は好みませんし、私たちの負けのようです。せっかく上質な脳を持ち帰ることができると思ったのですが……残念です」
そう言って加納は、部下の天狗衆たちを引き攣れて大講堂から去っていきました。
……それではエンディングにいきます。
――――・――――・――――・――――
はい、では探索者の皆様、全員無事生還おめでとうございます。終盤の猛烈な《SAN》チェックの嵐に一部メンバーが発狂しまくりましたがうまい感じに立ち回っていただけたため、シナリオをスムーズに進めることができました。さて、後日談と行きましょう。
加納たちが立ち去って少しして、あなたたちは理子ちゃんと理人くんを連れて無事に帰ることができました。祟道叡史は逮捕され、邪悪なカルト組織が行っていた数々の犯罪が公の場に晒されました。
この事件を解決したあなたたちの名声は一躍世に知れ渡り、今や古美門の探偵事務所は収入が倍になり、京楽も出世して階級が警部から警視になりました。
そしてそれから数週間後、階級が上がったことで忙しくなった京楽は久々に古美門探偵事務所に訪れます。
あの事件以降、碌に会うことがなかったチーム古美門と京楽は大通りを歩きながらとある場所に向かっていました。約30分ほど歩いたでしょうか、目的地にあなたたちは辿り着きます。
そこはとある住宅街にある一軒家。表札には『秋口』の二文字が刻まれており、家の門には2人の人影。
ぶっきらぼうだが心優しい三白眼とツンツン頭が特徴的な少年と、両目を包帯で覆った顔の左半分に火傷痕のある少女が手を繋いであなたたちを出迎えていたのです。
少年と少女は余りに多くのものを喪いました。
しかし、あらゆるものを喪ったその後に、確かに残ったものがあったのです。
これからも2人は、あらゆる困難に立ち向かい、そして幸福を手にする、そんな人として当たり前な人生を歩んでいくことでしょう。
……以上で、COCシナリオ【クロノスを食らうもの】を終了します。
お疲れ様でした。
「「「「「お疲れ様でした」」」」」
――Good end!!
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