社会人共がクトゥルフやった時のリプレイ
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クロノスを喰らうもの
Part.10
戦闘ラウンドに突入しますが、その前に色々と確認しておきましょう。各々やりたいことがあるでしょうからね。まずは2体の空鬼のステータスを決定します。(コロコロ)……はい、決まりました。公開します。
空鬼A/残忍な悪意
STR:23 CON:19 POW:8
DEX:9 SIZ:22 INT:7
耐久力:21 DM :+2D6
空鬼B/残忍な悪意
STR:19 CON:21 POW:11
DEX:9 SIZ:18 INT:6
耐久力:20 DM :+1D6
「こいつらも充分ヤバいステータスだな。あの婆さん、やけに強い空鬼を従えていやがる」
次に理子と智代、それから理人くんの《DEX》を開示します。理子が8、智代が6、理人くんが9です。
「全員ひっくいな」
えー、なお智代は2体の空鬼を従わせる呪文【空鬼の従属】を唱え続けているため一切の身動きが取れません。しかし理子の場合、現在【その者の招来】を唱え続けていますが、《回避》《受け流し》といった技能は使うことができます。攻撃することは出来ませんけどね。
また召喚された空鬼は理子と智代を守る行動……先程の叡史に従っていた子供たち同様《庇う》を持っています。
以上のことを踏まえ、行動してください。この戦闘の結果次第でエンディングが決まりますのでくれぐれも慎重に、よく考えて行動することをお勧めします。
「あたしは空鬼と戦闘するよい」
「俺も空鬼と戦闘するぞ! 俺はどうしても奴の肉が食いたいんだ! 祝福されし短剣を構えて戦闘に参加する!」
「ボクも空鬼と戦うよぉ! 空鬼のステーキかぁ、どんな味なのかなぁ、楽しみだなぁ! 杖をぶんぶんと振り回す!」
「空鬼はあのバカどもに任せるとして」
「あたしも馬鹿どもの中に入れるのはやめてくれないかい?」
「はいはい。まぁ、これで【その者の退散】を使って対抗することはほとんど不可能になったな。この呪文の内容を知っているのは私と遊星くんと京楽警部だけだ」
「あ、本当ですね。私読んでいませんし」
「ダメ元で聞こうか。GM、理子くんの《POW》と《MP》はいくつだ?」
んー……まぁ教えてもいいでしょう。どちらも50です。
「50!?」
「ボクたちが大丈夫だったとしても成功率は低かったねぇ」
「やはり呪文を使って対抗するのはミスリードだったな。そもそも成功したとしても、もう1度【その者の招来】を使われたら元も子もない」
「あ、そういえばそうですね」
「ということでそれ以外の方法で何とかしてこの儀式を失敗させるしかない」
「うーん……とりあえず、ボクたちが空鬼を引き付けて、古美門くんたちが理子ちゃんのもとに駆け付けてなんやらかんやらする。それでいいんじゃないかなぁ?」
「……。……まぁ、それで行くしかないか」
「GM、決まったぞ」
はーい。では戦闘開始です。
「発狂している俺からだ。斬るぞ斬るぞぉ! 空鬼Bに攻撃だ! セブンソードスラッシュ!」
「7本も剣持っていませんけどね」
「短剣は……何の技能で振ればいい?」
《ナイフ》と同じでいいです。あ、遊星くんは発狂していますから狂人の洞察力を適用します。1D100をどうぞ。
「(コロコロ)……15。失敗か」
では普通に判定どうぞ。ダメージは咲夜の持つファイティングナイフと同じ、1D4+2+ダメージボーナスです。
遊星 《ナイフ》25 → 75 失敗
「く、失敗か」
「次はあたしだ。先に行動して咲夜が行動しやすいようにする。45口径のオートマティックで攻撃だ。対象は空鬼B」
勇儀 《拳銃》58 → 10 成功
空鬼B《回避》?? → 47 失敗
1D10+2 → 10
空鬼Bは被弾しますが、まだ余裕そうに立っています。
「次は私です。理人くんと一緒に理子ちゃんのもとに向かいたいのですが……修正入りますよね?」
咲夜と理人くんの《DEX》を合計して半分に割った数値……この場合は13ですね。それで空鬼2体がかりで《DEX》対抗。成功で突破、失敗で空鬼たちの次の攻撃対象が咲夜と理人くんになります。
「成功率は70パーセントですか。行きます!」
咲夜 《DEX》対抗 70 → 63 成功
「成功です! 理人くん、理子ちゃんの所に行きましょう!」
「あ、ああ!」
咲夜と理子ちゃんは空鬼たちのガードを抜け、理子のいるステージに辿り着きました。
「ボクから行動させてもらうよぉ! 杖で空鬼Bに殴りかかるよぉ! 空鬼の味噌……鬼味噌、興味深いねぇ!」
京楽も狂人の洞察力を適応してください。1D100です。
「(コロコロ)……89! 成功だよぉ! やっほーい! 空鬼の頭をかち割るぞぉ!」
「ヤバいなこの刑事」
えー、では自動成功とします。空鬼Bの《回避》判定。
空鬼B《回避》?? → 91 失敗
1D6 → 2
京楽の杖が空鬼に直撃しますが、まったくダメージを受けた様子ではありませんね。
「2じゃなぁ。装甲で完全ガードされちゃったかなぁ」
「私も理子くんのもとに向かうとする! 《DEX》対抗! 55パーセントだ!」
古美門《DEX》対抗 55 → 47 成功
「よし、私もステージに辿り着いたぞ。運が良い」
本当にですね。理想的な動きが出来ていると思います。ではお次は2体の空鬼の攻撃です。2体とも《鉤爪》で攻撃してきます。対象は理子に一番近いところにいる咲夜と古美門の2人です。Aは咲夜へ、Bは古美門に向ってその鉤爪を振るいます。面倒なので纏めて判定しちゃいますね。
空鬼A《鉤爪》?? → 58 失敗
空鬼B《鉤爪》?? → 64 失敗
はい、両方とも失敗ですねぇ。
続いてNPCたちの行動。といっても理子と智代は呪文を詠唱し続け、理人くんは理子に向かって「どうしちまったんだリコ!」「早く目を覚ませ!」と言っているだけですから次からすっ飛ばしますけどね。
「む? 次から?……GM、その理人くんは理子くんに話しかけているのだろう? 理子くんは反応しているか?」
お、気付きましたか。ええ、反応しています。呪文を詠唱することこそ止めはしませんが、その表情に動揺の色が表れ始めています。
「ふむ……なるほどな」
第2ラウンド……に向かう前にですねぇ。まずは遊星くんと京楽警部、一時的狂気から抜け出してください。1回戦闘を挟んで正気を取り戻したということにします。
「……はっ! 俺は一体!? なんで俺はあんな奴を食いたいなんて思っちまってたんだ!?」
「ボクもだよ……なんか気でも狂っていたのかな……」
「本当に狂っていましたよ」
さてさて皆さん、《目星》判定です。強制チェックとなります。理人くんも判定しますよー。
古美門《目星》25 → 53 失敗
勇儀 《目星》25 → 43 失敗
咲夜 《目星》40 → 70 失敗
遊星 《目星》48 → 60 失敗
京楽 《目星》80 → 23 成功
理人 《目星》50 → 53 失敗
成功者は京楽だけですか。チーム古美門はみんな《目星》が低いので救われましたね。
皆さんはガラス張りになっている天井から差し込む光がどこかおかしいことに気が付きました。元から真っ白な綺麗な月光でしたが、その光は濃さを増し、まるで薄いヴェールのようにゆらゆらと、そして歪に屈折し、何度もあらゆる場所で見た、あの不可能図形を形成していく様を目撃します。そして《目星》に成功してしまった京楽警部。あなたの目に屈折した光の一部が飛び込みます。
一瞬とはいえ白に包まれた京楽の視界。その白いヴェールの中に映し出された光景は、無数の星々と巨大な銀河。その間に存在する、我々人類には到底知りえない、理解することもできない不気味な深層の一部を垣間見るに留まりましたが、普通に、真っ当な人生を送って来たあなたにはその未知の真実を前に背筋が凍り付きます。
京楽、1/1D3+1の《SAN》チェックです。
京楽 《SAN》36 → 83 失敗
「ま、マズいかな。あと3点で不定の狂気入っちゃうよ(コロコロ)……あ、3だ。不定の狂気だよぉ」
1D10どうぞ。
「(コロコロ)……5」
5番はですねぇ……フェティッシュですね。人でもモノでもなんでもいいです。何かに対して異常な執着をします。
「よし。これも軽い症状だ。しかもネタもある。ボクは今再び、あの空鬼Bの肉を求めて行動しよう。いいや! ボクはやっぱりアレの肉が食べたい! うおおーっ!」
「ダメだこいつ」
ということで第2ラウンド行きますよー。
「勇儀! おまえの拳銃をくれ! 俺はそれで攻撃する! 多分短剣で刺しても大したダメージを与えられないからな! 初期値だがマシだ!」
「……よし、わかった。あたしは遊星に銃を渡す。弾は5発だ」
「俺のラウンドはこれで終わりだ!」
「あたしだねい。徒手格闘に切り替える。申請していたメリケンサックを装備するよい。これであたしも行動終わりだ!」
「次は私です。理子ちゃんに対して《精神分析》です。さっきの理人くんの言葉に反応していたということは、かけられた洗脳を解く手がかりをこれで突き止められるかもしれません」
《精神分析》ですか……でも新校舎で情報与えちゃったばかりなんですよねぇ。どうしましょうか。
「GM、私のラウンドの処理もここでさせてくれ。十六夜さんの《精神分析》を私の《心理学》でフォローする。両方成功で情報を提供してくれ」
うーん……うん、いいでしょう。両方成功で情報を開示します。
咲夜 《精神分析》76 → 13 成功
古美門《心理学》65 → 51 成功
両方成功ですね。では咲夜と古美門は理子が洗脳によって抜け落ちてしまった記憶の内容が、【ぬくもりハウス】で過ごした楽しかった日々であることがわかります。
今の理子は【ぬくもりハウス】に逃げてくる前の両親からの理不尽な虐待と学校でのいじめの記憶を強く想起させられ、悲しみと憎しみに染まり、智代と叡史、そして【クロノス様】を除いたこの世の中の全てに絶望しています。そんな世の中を壊し、【クロノス様】をこの世界に導くことが正しいと信じ切ってしまっています。
しかし一方、自分は本当に何にも恵まれることはなかったのか、本当は何か、大切なものがあったのではないかという小さな疑問を胸に抱いています。
「……なるほどな。次の行動が決まったな、十六夜さん」
「ええ、決まりましたね。多分これが正しい解決方法でしょう。GM、私たちはこれで行動を終わります」
「ボクの行動だ。GM、確かさっき空鬼たちは古美門くんと咲夜ちゃんを攻撃したんだよね? ということは今、ボクたちに背中を晒していると考えていいかい?」
はい、それで結構です。
「よし。じゃあ《杖》で空鬼Bを殴るよ。背中を見せているってことは《回避》できないね?」
出来ませんね。
「よしよし。これしか狂気に入っちゃったボクにできそうなことはなさそうだしね。あとで咲夜ちゃんに《精神分析》をお願いしないと」
殴る前に1D100どうぞ。
「(コロコロ)……56。狂人の洞察力は失敗だねぇ。普通に判定するよ」
京楽 《杖》75 → 16 成功
1D6 → 4
ほんのちょっとですけど、手応えを感じましたね。
次は2体の空鬼の行動です。ターゲットも攻撃方法も変えませんよ。
空鬼A《鉤爪》?? → 09 成功
空鬼B《鉤爪》?? → 40 失敗
咲夜に攻撃した空鬼が成功しましたね。
「《回避》します! 80パーセント! ここで死ぬわけにはいかないんです!」
咲夜 《回避》80 → 44 成功
「そんな攻撃、私にはかすりもしませんよ」
はーい。というわけで皆さん、2ラウンド目が終了しましたので《目星》の強制チェックです。
古美門《目星》25 → 43 失敗
勇儀 《目星》25 → 56 失敗
咲夜 《目星》40 → 25 成功
遊星 《目星》48 → 08 成功
京楽 《目星》80 → 73 成功
理人 《目星》50 → 39 成功
「初期値組以外は全員成功か」
では成功者の皆さん、1D3/2D3の《SAN》チェックです。
「数値が上がってる!?」
咲夜 《SAN》36 → 25 成功
遊星 《SAN》35 → 73 失敗
京楽 《SAN》33 → 77 失敗
理人 《SAN》54 → 37 成功
「助かりました。(コロコロ)……2点」
「(コロコロ)……ぐあ、5だ」
「(コロコロ)……ボクは4」
理人くんは……3点ですね。それでは5点以上減少した遊星くん、《アイデア》チェック……あ、それ以前に不定の狂気の発症ですね。遊星くん、《幸運》で判定してください。
遊星 《幸運》55 → 33 成功
では一時的狂気との同時発症は回避しました。不定の狂気の種類を決定します。1D10どうぞ。
「(コロコロ)……4」
4番はですね……奇妙な性的嗜好です。これも軽いものですねぇ。
「奇妙な性的嗜好か……智代と理子ちゃんの恰好を見て、魔法使いの恰好をした黒魔術プレイに目覚めよう。だからあんまり意味はないな」
そうですね。シナリオ終了した時に遊星くんの性的興奮を覚えるシチュエーションのジャンルにそれが根強く残るだけですからね。それにもう狂気に陥っていますので、完全発狂以外はどれだけ《SAN》値が減っても全く怖くないですよ。
「よし」
「よしじゃないよド変態」
第3ラウンドに突入します。
「そういえば理人くんは何しているんですか? 理人くんがもっと踏み込んで説得すればすっと行きそうなんですが」
理人くんは口下手ですので、「早く目を覚ませ!」くらいしか言えません。
「使えんなこいつ」
「俺の行動だ! さっさと解決して俺は黒魔術プレイができるお店に行くんだ!」
「そんなの出来るお店ないだろ、多分」
「勇儀から受け取った45口径のオートマティックで攻撃だ。対象は空鬼B」
1D100からどうぞ。……というか不定の狂気を発症させた皆さん、狂人の洞察力を戦闘時に使ってから判定してください。成功で攻撃は自動成功とします。
「よし、これで攻撃が当たるチャンスが増えるな。(コロコロ)……46、失敗か。普通に《拳銃》で判定だ。初期値だ」
遊星 《拳銃》20 → 47 失敗
「失敗か。まぁ仕方ないか」
「メリケンを装備したことだし、《マーシャルアーツ》+《こぶし》で判定だよい。空鬼Bを狙う」
勇儀 《こぶし/パンチ》75 → 08 成功
勇儀 《マーシャルアーツ》78 → 18 成功
「両方成功。空鬼たちは背を向けているから《回避》できない。ダメージロールだねい」
2D3+1+1D4 → 8
えー……勇儀の拳を受けた空鬼Bはまだ立ってこそいますが、弱っているのがその様子からわかります。
「今度は私です。理子ちゃんに対して《説得》します」
どんな風に《説得》するのかを聞かせてください。
「このGMの反応からして当たりだな。やはりこのシナリオを攻略するには《説得》するのが正解だな」
「そうですね。そういえばGM、理子ちゃんとは会話することは出来ますか?」
出来ます。呪文はもうほとんど完了していますので、理子はMPを五芒星に捧げることに集中しています。
「では話しかけます。理子ちゃん、理子ちゃんは自分は酷い目ばかり遭っていると言いましたね。ですが、それは間違いです。確かに理子ちゃんは普通に生活するほかの人間に比べたら酷い目に遭ってきたことでしょう。しかし、あなたはかつて、そんな理不尽から自力で抜け出して、幸せを掴むことができたのですよ? こんなところに来る前、理子ちゃん、あなたは確かに本当の幸せを掴むことができていたのです」
「……そんな記憶はないわ」
「思い出してください。あなたは行動したのですよ。今の自分の境遇から脱出するために、前に進むために、あなたは自分からとある施設に向かったのです。そこが【ぬくもりハウス】です。といった感じで《説得》します」
ふむ……では10パーセントの補正をかけて《説得》してください。
咲夜 《説得》52+10 → 58 成功
「……ううっ。……私はずっと虐げられてきた。楽しいことなんて1つもなかった。幸せなことなんて……そんなことはなかった。……私を幸せにしてくれるのはクロノス様だけ……クロノス様だけなんだ……!」
理子は頭を押さえ、苦しげな表情で、まるで自分に言い聞かせるようにそう口走ります。あとほんの少し、あと1つ、決定的なきっかけさえあれば、彼女を呼び戻すことができるでしょう。
「【ぬくもりハウス】だけではダメみたいですね。……やはりここで切り札を切らないといけないようです。次のラウンドが勝負ですね」
「次は私の行動だ。今の十六夜さんの《説得》で効果があるかもしれないからやってみよう。五芒星を取り囲んでいる彫刻らしきものを手に取って破壊する。破壊できなければ遠くに投げる」
おっと、そう動きますか。《アイデア》判定お願いします。
古美門《アイデア》75 → 10 成功
えー、古美門は今自分がやろうとしていたことがとても危険なことであったことに気が付きました。アーティファクトを破壊する、またはどこかに隠したまま理子が儀式を進めていた場合、儀式が正しく作用せずに暴走する可能性が高く、状況が悪化していたことでしょう。
「危ないな。GMからこうして忠告が来ただけでもいい収穫だったな。これで理子くんを《説得》すること以外にハッピーエンドに持ち込むことができないことが証明された。ただ私が《説得》しても逆効果になりそうだな。古美門だし」
古美門だったらどちらかと言えば《言いくるめ》になるのでは? 《説得》だったら効きそうですけど……でも新校舎でのやり取りからしてマイナス補正は掛けますかね。
「だろうな。というわけで行動終わりだ」
「ボクの行動だ。空鬼Bに《杖》で攻撃! 鬼味噌鬼味噌ぉ! まずは洞察力ロールだ(コロコロ)……94、成功! 自動成功だよね?」
はい。自動成功です。ダメージロールどうぞ。
1D6 → 4
まだ空鬼Bは健在です。次は空鬼2体で行動。執拗に咲夜と古美門を狙います。
空鬼A《鉤爪》?? → 13 成功
空鬼B《鉤爪》?? → 79 失敗
「また私の方が成功ですか! 《回避》します!」
咲夜 《回避》80 → 60 成功
「ふぅ。咲夜を意識して技能振って本当によかったです」
それでは3ラウンド目終了です。全員《目星》チェックでございます。
古美門《目星》25 → 01 クリティカル
勇儀 《目星》25 → 06 成功
咲夜 《目星》40 → 10 成功
遊星 《目星》48 → 35 成功
京楽 《目星》80 → 19 成功
理人 《目星》50 → 45 成功
「ぜ、全員成功……」
おっと、クリティカルが出ましたか。……出ちゃいましたかぁ……。
「GMが凄い悪い笑顔をしているぞ」
「これはマズいんじゃ……」
えー、本来でしたら無条件ですっごくヤバいことが起るのですが私は鬼ではありません。《幸運》に成功したら回避させて差し上げましょう。古美門くん、運命の《幸運》チェックです。
「ぐ……頼む成功しろ」
古美門《幸運》65+10 → 12 成功
成功しましたか、良かったですね。
では《目星》に成功してしまった皆さん、1D3/2D6の《SAN》チェックです。
古美門《SAN》52 → 04 クリティカル
勇儀 《SAN》50 → 97 ファンブル
咲夜 《SAN》34 → 34 成功
遊星 《SAN》29 → 18 成功
京楽 《SAN》29 → 71 失敗
理人 《SAN》51 → 04 クリティカル
おやおや。ではクリティカルを出した古美門、それから理人くんは1点の《SAN》値減少で良しとします。ファンブルを出してしまった勇儀は2D6+1で判定どうぞ。
「(コロコロ)……5」
「(コロコロ)……3点。あ、危ないですね。発狂から逃れました」
「よし、咲夜さえ乗り切れば大丈夫だな(コロコロ)……5」
「(コロコロ)……8。ボクはヤバいよぉ……」
では5点以上減少した勇儀、《アイデア》チェックでございます。
「これ、発狂したほうが得なのかねい……」
勇儀 《アイデア》55 → 38 成功
「あたしもついに一時的発狂かい。とりあえず5パーセントの《クトゥルフ神話》技能獲得。1D10か(コロコロ)……10」
10番は……『昏迷』または『緊張症』の発作です。
「……『緊張症』を発症しておこう。4ラウンド目は行動不可って感じかい?」
ですね。4ラウンド目のみ、一切の行動を封じます。
「《回避》も出来ないか。空鬼があたしを攻撃してきたらロストまであるかねぇ……」
「それは大丈夫だろう。奴らはこっちに意識を向けている。多分勇儀が発狂していることなんて気づいてないぞ」
そうですね。空鬼たちは理子の一番近い場所にいる人間を狙いますので、勇儀は大丈夫です。多分ですがね。
「ほ、それならよかった」
「4ラウンド目だ。空鬼Bに向かって発砲する! 洞察力判定……66。くそ、失敗か。普通に判定」
遊星 《拳銃》20 → 13 成功
「お、おおっ!? 成功だ! しかも空鬼は《回避》できない! ダメージロールだ! 来い!」
1D10+2 → 10
「よっし、ほぼ最大値! どうだ!?」
空鬼Bの頭は吹き飛び、絶命すると同時にその身体を時空の彼方へ溶かしていきました。
「まず1体目だ!」
「あれ? あ、そうか。アレ、死んじゃうと消えちゃうんだった。ど、どうすれば食べられるんだろう……?」
「知るかアホ。あたしの番だ。と言っても緊張症じゃ特にロールプレイはないねい。とりあえず体をガチガチにして突っ立っておこう」
「私の番です。隣に立っている理人くんを前に出しつつ、さらに【ぬくもりハウス】で借りたあの写真を取り出して理子ちゃんに語りかけます。理子ちゃん、この写真を見てください! ほら、この写真に写っている自分の姿をよく見てください!」
「うぅ……あぁ……そ、それが……わた、し……?」
「そうです理子ちゃん。理子ちゃんはこうして、心の底から、みんなで笑い合うことができていたんですよ? この写真で楽しそうに笑うあなたの隣にいるこの少年、覚えていますか? 理人くんですよ」
「ま……さ、と……?」
「そうです。あなたのことをまるでお姉さんのように慕っていた理人くんです。そして、私の隣にいるこの子がその理人くんです。理人くんはあなたのことを数年たった今でも覚えていたんです。そして会いたいと、あなたのことを捜してほしいと、アルバイトで手に入れたなけなしのお金を全部使ってでもあなたとの再会を強く願ったのです。……ここでダメ押ししましょう。理人くんに小声で……いえ、堂々と話しましょう。理人くん、きっと理子ちゃんは私の言葉よりも、あなたの言葉を真に欲しているはずです」
「十六夜さん……」
「話しかけてあげてください。理子ちゃんは最後まで、完全に記憶を操作されてしまう寸前まで、あなたの名前と思い出を頼りに正気を保ち続けていました。理子ちゃんにとって、あなたはそれほどまでに大切で、そして大きな存在だったんですよ。あなたが語りかければ、あなたの言葉をありのままに伝えれば、きっと理子ちゃんに届くはずです。……理子ちゃんではなく、理人くんに《説得》を使います」
……いえ、そこまでロールプレイをしていただいてサイコロで判定なんて無粋でしょう。自動成功です。理人くんは咲夜の言葉を受け、変わり果ててしまった理子に向かって叫ぶように語りかけます。
「リコッ!!」
「……ま、まさ……と? マサト……なの?」
「ああ、そうだよリコ! 俺だ! 理人だ!……ずっと。ずっとおまえに会いたくて、捜していたんだ」
「うう……」
「でも1人じゃどうしても見つからなくて……それでも、ここにいる探偵さんたちや刑事さんのおかげでこうしてまたおまえと会えた!」
「うううっ……」
「遅くなっちまってゴメンな……何があったのかはわかんないけど、でも! おまえは1人じゃない! 俺がいる! クロノス様が何だ! そんな胡散臭い神様なんかよりも俺の方がおまえを、何倍も、何十倍も、何百倍だって幸せにできる! 幸せにしてみせる! だから……いい加減目を覚ませッ!」
「……っ!」
……その理人の説得により、理子の、濁り切った真っ黒な瞳に光が戻りました。ハッとした様子で改めて理人を視界に入れた理子の瞳から、1つ、また1つと大粒の涙が溢れていきます。《精神分析》や《心理学》を振るまでもありません。……理子は正気を取り戻したのです。
「……思い、出した……! 私は……私は不幸なんかじゃ、ない……神様なんかに縋らなくたって、私は幸せだった……!!」
そういうと、理子は再び瞼を閉じ……ぶつぶつと呪文を唱え始めます。するとどうでしょう。浮かび上がる不可能図形がどんどん消え失せていくではありませんか。
「これは……この呪文は《その者の退散》か!」
そうです。やがて天井から差し込む月光は元の美しいものに戻り、大講堂に召喚された空鬼の姿も見る見るうちに消え失せていきます。その光景を見た智代は声を荒げます。
「理子! 何をやっているの!? 今すぐやめなさい! あなたはクロノスの巫女! クロノス様をこの世界に導くことこそあなたの使命なのです!」
「五月蠅い! 私は理人さえ……理人さえいれば、後は何もいらない!――神様なんて、私に必要ない!!」
張り裂けそうな、それでいて魂が籠っているその声が大講堂に響き渡る。するとそんな彼女の言葉が届いたのか、魔方陣は一気に消え、空鬼もそれに呼応するかのごとく時空の彼方へと消えていきました。
マインドコントロールから完全に解き放たれ、数多くの呪文を唱えて力を使いすぎた理子は崩れるように倒れ込みますが、理人がそんな理子の体を抱くように支えます。戦闘終了です。
発狂している皆さん、全員正気を取り戻してください。不定の狂気も解除します。
「……はっ! お、終わった……のかい?」
「ああ、終わった。……朝ドラみたいな三文芝居は嫌いだがまぁ、たまに見るのも悪くないものだ」
「……ボクは本当に何をしていたんだろう?」
「ぶっちゃけ俺も何をしていたか覚えていない。なにか、変なこと言っていたか?」
「ええ、言っていましたね。ドン引きです」
そんな感想を各々抱く中、1人、心穏やかでない人物がいました。……儀式に失敗し、怒り狂っている智代です。
「この出来損ないが! 私の計画をめちゃくちゃにしてくれやがって! 殺してやる!」
と、理人くんに抱かれている理子のもとに向かって駆けだします。
「このキチ○イ女、理子くんを殺す気か!」
「理子ちゃんを守ります! ナイフを構えます!」
「《DEX》的に間に合うかい!? 追い付いたら《組みつく》ぞ!」
「俺も手伝う!」
「ボクも向かおう!」
と、あなたたちが智代を止めようと動こうとした瞬間……どこからともなく飛来した青い電撃が智代の体を包みます。それを受けた智代は青い炎に包まれ、上半身と下半身を真っ二つに割かれて死にました。
「……は?」
「何が起きた? 攻撃元はわかるか? わかるならそこを見る」
電撃の起動から、それは大講堂の入り口から放たれたことがわかります。
大講堂の入り口には幾何学的な、まるでハリウッド映画か何かに出てくるような電気銃を握る加納三吾と、その部下の黒服の男たちが立っていました。
「こいつら……ここでお出ましかい!」
「このタイミングって出てきたってことは……こいつら、面倒なことを我々に任せて美味しいところだけを取りにきたのか。やはり信用しなくて成功だったな」
「捨て駒ご苦労。君たちは実に役に立ってくれました。心から礼を言いいます。さて、祟道理子をこちらに渡しなさい。そうすれば君たちの身の安全は保障しましょう」
「ははは、君はどうやらあまり物事を覚えるのが得意でないようだぁ。昨日の言葉をもう一度言おうか。――目的が分からん奴らのどこのどう信用しろというのだ」
「理子ちゃんを渡した時点でボクたちはもう用済み。約束を破る可能性もあるし、それを差し置いても理子ちゃんを渡すつもりはないよ。警察官として、まだ若い子供たちの未来を潰そうとする輩は見逃せないねぇ」
「そうです。理子ちゃんはこれから理人くんと一緒に幸せな人生を送るんです。これ以上、彼女の人生を狂わすことは許しません」
「あたしはねい、悪いけどねい、おまえさんみたいな聞いただけで上っ面だけな言葉を吐く奴は大嫌いなんだよねい。――早く視界から消えろ。ぶち殺すぞ」
「俺は黙って銃を加納に向ける」
では加納三吾と彼が率いる黒服――天狗衆との戦闘に入りましょう……と思いますよね? 皆さん、忘れていませんか?
「え?」
「なにを?」
さぁ、なにをですかねぇ。すぐに答えがわかりますよ。
理子を守るべく動く探索者たち、理子を奪うために未知の武器を使う加納率いる天狗衆。まさに一触即発。いつ暴力が暴力を生み出す大乱闘が起っても不思議じゃないそんな雰囲気が流れ始めた……その時! この大講堂内に異変が起こります。
月の光が差し込む大講堂。しかし、月の光ではない、青い何かが煙のように漂う。まるで何かが腐ったような、明らかに不浄なものだとわかるほどの強い刺激臭を帯びた煙のような何かは、やがて霧となってこの大講堂を包み込んでいきます。
「……あ、そういえば」
「忘れてた……こいつがいたな」
この霧の発生源は大講堂の隅の隅。おおよそ90度直角のその空間に亀裂が走り、そこから何かが飛び出してきました。その飛び出した何かは……倒れる理子のもとへ一直線。しかし、それは理子にあたることはありませんでした。とっさに理人くんが理子を庇ったために襲撃に失敗したのです。
突如として現れた襲撃者。理子たちがいるところから少し離れたところにソレはいました。
ソレは四足歩行の生物であることくらいしか、余すことなく正確に形容することのできないシルエットを有していた。人間のみならず、全ての生物に共通してあるはずのものがその生物にはない。それは曲線。
原則としてすべての生物はそのフォルムに曲線を描いているものであるが、この生物にはそれがない。120度以下の角度を歪に、まるで子供が無作為に積み上げて出来上がった積み木のような、そんな鋭角の集合体のような姿をしていた。
口にあたるであろう部分から伸びる長い注射器のような舌からは涎だろうか、青く発光させた液状の何かがドロドロと滴り落ちている。そこから少し上に視線をずらせば、そこには赤みのかかった2つの目。ギラリと光るその瞳に籠められていたモノ。
それは、まるで狙いを定めていた獲物を見つけ、捕らえ、喰らいつくすまで、執拗に、しつこく、どこまでも追い続ける餓えた猟犬の如き執念に塗れた鋭い殺意でした……。
――To be continued…
後書き
次回、最終回。
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