おぢばにおかえり
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第四十八話 合格してその二十一
「陰湿で残忍で執念深くて」
「そのどれもがかなりで、っていうのね」
「はい、そんな人間ですから」
「そんなことしていいの」
「そうします」
していいとは言いませんでしたけれどこう言いました。
「そうした相手には躊躇なく」
「じゃあ阿波野君が長池先輩にそういうことされたら?」
「忘れずに機会を見て徹底的にやり返しますよ」
「そんなの絶対に許さないからね」
先輩にもすると聞いて私は阿波野君に厳しい目を向けました。
「先輩にそんなことしたら」
「わかってますよ、あの人とてもいい人ですよね」
「あんないい人いないわよ」
私は一年ずっと先輩と同じお部屋でした、それでよくわかっているつもりです。あの人がどんな人なのか。それで阿波野君にもこう言いました。
「優しくて穏やかで公平で」
「けれどそうした人でもですよ」
「でもって?」
「間違えたりしますからね」
「それで間違えたらなの」
「僕がそうしたことされたら忘れないですよ」
「それで機会見てやり返すの」
阿波野君にまた尋ねました。
「そうするっていうのね」
「はい、僕だったら」
「阿波野君がそう言うなんてね」
「ですからそうした人間ですから」
自分はというのです。
「悪い癖性分なのはわかってますよ」
「そうした癖性分は絶対になおさないと駄目よ」
心から言いました。
「周りにも阿波野君にもよくないから」
「やっぱりそうですよね」
「悪いんねんも積んでいくし」
このことも考えられました。
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