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戦国異伝供書

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第二十四話 奥羽仕置きその六

 今は伊達家との戦に専念することにした、伊達家の動きも見させてそれも逐一届いていたがその動きを把握してだった。
 信長は諸将に対して言った。
「摺上原での戦になるな」
「奥羽のあの地で、ですか」
「かつて伊達家が芦名家を破った」
「あの地での戦になりますか」
「うむ、我等が芦名家の立場になってじゃ」
 その位置に着いてというのだ。
「戦うことになるが」
「我等は勝ちますな」
「芦名家と違って」
「そうなりますな」
「うむ」
 その通りだというのだ。
「そして伊達家は今度はな」
「敗れる」
「そうなりますな」
「この度は」
「左様じゃ、しかし伊達には精兵がおる」
 このことにもだ、信長は言及した。
「気をつけねばな」
「鉄砲騎馬隊ですな」
 滝川が言ってきた。
「馬に乗りつつ鉄砲を放ってくる」
「それじゃ」
 その通りだとだ、信長も答えた。
「武家の次男三男の中から命知らずばかりで編成したな」
「伊達家の精兵ですな」
「馬に乗ってそのうえで鉄砲を撃つなぞ」
 まさにとだ、信長は言うのだった。
「普通は考えられぬわ」
「それをあえてするなぞ」
「普通ではない」
 まさにというのだ。
「しかし馬で駆けつつ鉄砲を放つと」
「確かに強いですな」
「相当にな」
 馬の足と鉄砲の火、その二つが合わさってというのだ。
「だからあの者達にはな」
「用心をして」
「そして戦う」
 そのうえで勝つというのだ。
「あの家にもな」
「そうされますか」
「そしてじゃ」
 信長はさらに話した。
「東北も手に入れるが」
「伊達の鉄砲騎馬隊を破り」
「さて、伊達の独眼龍は実はどうした者か」
 その政宗の話もするのだった。
「会うのが楽しみじゃ」
「野心はありますが」
「それでもですな」
「面白き者とのことで」
「殿もお会いしたいですな」
「そうなのですな」
「そうじゃ」
 その通りだというのだ。
「だから楽しみじゃ、ではな」
「まずは摺上原ですな」
「そこまで行きますな」
「そうしますな」
「そうするとしよう」
 こう言ってだ、そのうえで。
 信長は家臣達と精兵を率いて一路奥羽の摺上原まで行ってそのうえで伊達家の軍勢と戦った、ここで信長は政宗も降し。
 伊達家も家臣の中に入れた、そして奥羽の他の大名達も織田家の中に加わり奥羽の全てが織田家のものになった。
 信長はこのうえで岐阜に戻ることにした、だが。
 戻る途中でだ、彼は家臣達の顔を見て笑って言った。
「皆疲れきっているな」
「そう言われますと」
「その」
「ははは、隠さずともよい」
 信信長はその彼等に笑って話した。
「顔に出ておるな、皆な」
「左様ですか」
「顔に出ていますか」
「最早」
「岐阜に帰ればな」 
 その時はというのだ。 
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