戦国異伝供書
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第二十四話 奥羽仕置きその一
第二十四話 奥羽仕置き
信長は主な家臣達と精兵達を連れてそのうえで伊達家の本拠地である会津に向かっていた、その途中にだった。
主な家臣達に進軍を続ける中で言った。
「さて、伊達家以外の家はじゃ」
「奥羽のですな」
「他のあちらの家々は、ですな」
「当家に従う様ですな」
「最上家等はな」
伊達家とは佐竹家と並ぶ宿敵と言っていいこの家を代表としてというのだ。
「南部家もじゃが」
「当家に従うとですな」
「恭順の意を示していますな」
「ならば伊達家さえ降せば」
「それで、ですな」
「奥羽も収まる」
織田家の下にというのだ。
「そうして治められる」
「左様ですな」
「ではこれよりですな」
「北に向かい」
「会津に入りますか」
「会津に入るまでに決めたい」
戦自体をというのだ。
「そうしたいところじゃ」
「では途中戦になれば」
「そこで、ですか」
「伊達家を破り」
「そうして戦自体を決めまするか」
「そうじゃ、そして会津じゃが」
この地のことをまた話す信長だった。
「奥羽の要地、あそこを抑えればな」
「はい、まさにです」
蒲生が言ってきた。
「奥羽の守りの要となります」
「しかもよい土地というな」
「寒いですが土地柄自体はよく」
「治めれば豊かになる」
「そうした地ですな」
「だからじゃ、あの地は手に入れる」
織田家がというのだ。
「伊達家は北にやる」
「仙台の方に」
「そしてその地を治めさせるが」
「殿、伊達殿は天下を狙っているとか」
ここで黒田が言ってきた。
「それを広言しておるとか」
「自らがのう」
「武田殿も天下を見ていたと言われていますが」
「信玄は少し違う」
彼の言う天下はというと。
「幕府を建て直してな」
「そうしてですな」
「自身は執権にでもなってじゃ」
幕府のそれにだ。
「そのうえで天下を治めるつもりじゃった」
「天下を治めるにしても」
「幕府という枠組み自体は壊せぬ」
「そうした御仁ですな」
「うむ、しかしじゃ」
「伊達殿は」
「違う、わしと同じじゃ」
信長は黒田に話した。
「自らな」
「天下人となって」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「自ら治めるつもりじゃ」
「武田殿はもう天下は望まれませぬが」
敗れた、それでももう完全に終わったと信玄は思ったのだ。そして信長の器を認め自分以上に転嫁人に相応しいと確信し甲斐一国の主に戻ったのだ。
「しかし」
「あ奴はどうか」
伊達政宗、彼はというのだ。
「果たしてな」
「それがしの見立てですが」
羽柴が言ってきた。
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