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永遠の謎

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647部分:第三十六話 大きな薪を積み上げその二十四


第三十六話 大きな薪を積み上げその二十四

「私は自分の行動に後悔はしない。全ては私の心に従っただけだ」
「大佐ご自身のですか」
「それに」
「それだけだからな。君達は君達の仕事に戻るのだ」
 彼等の罪も背負うというのだ。大佐にある者として。それは言外に込めていたがそれでもだ。民衆達にも兵達にもだ。そのことは痛くなるまでわかった。
 そのうえでだった。彼は馬に乗り彼等に別れを告げミュンヘンに戻った。そのうえで毅然とした態度で逮捕、拘束されたのだ。
 ホルニヒは馬で城に向かう。しかしだ。
 その動きはあまりにも遅い様にだ。彼には思えた。
 気が、心だけがはやる。心は城に光より速く向かう。だが身体は。
 前に進まない。それはあまりにも遅かった。彼はそのことに焦りを覚えた。
「いけない、早く陛下の御前に」
 馬を懸命に走らせる。しかしそれでも。
 馬は彼の望み通りに進まない。王への道はあまりにも長かった。
 その頃だ。王は玉座にいた。そこでだ。
 騎士とだ。二人だけで話をしていた。
 王の前に控える騎士は微笑みだ。王に話してきた。
「彼が来ます」
「ホルニヒがか」
「はい、ただひたすら」
「こうなることはわかっていた」
 騎士に応えてだ。王は悲しい目で述べた。
 そうしてだ。こう騎士に話したのである。
「だが。それでもだ」
「彼を巻き込まない為に」
「私は彼を遠ざけたのだがな」
「しかしそれは無駄に終わりましたか」
「そう言うべきか。彼は私のところに来ているのだからな」
 それでだというのだ。
「そうなるのか。だが」
「だが、ですか」
「私の旅はもうはじまっていてだ」
「そうです。その辿り着く先もです」
「既に決まっているのだ」
 こう騎士に話すのだった。
「ホルニヒはそこには連れては行かない」
「彼の為にも」
「彼はこの世界に留まるべき者なのだ」
「そして陛下は」
「あの世界に行くのだ」
 その旅にだ。彼を巻き込みたくない故にだ。彼を遠ざけてだった。
 王は今旅をしていた。その中でだった。
 同行している騎士にだ。玉座から話したのである。
「私は間も無くこの玉座から去る」
「はい、彼等が来るのもあと少しです」
「そうか」
 そのことについてはだ。王は。
 素っ気無い感じになりだ。応えるだけだった。
 そうしてだ。こう騎士に返したのである。
「来るのか」
「そうです。しかしですか」
「何も思うことはない」
 こう言う。実際にだ。
「彼等では私をどうすることもできない」
「幽閉されようとしていますが」
「幽閉か」
 多くの者が深刻に思うこともだ。今の王は。
 何も思うことなくだ。騎士に答えるだけだった。
「しかしそれはだな」
「はい、ただの旅です」
「では何も気にすることはない」
 今の王にとってはだ。まさにその程度のものだった。
 だからだ。今はこう言うだけだったのだ。
 
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