食べる理由
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第三章
「それでだよ」
「そんな理由があったんですか」
「そうだよ、とにかくな」
「食べないと駄目ですか」
「お医者さんにも言われたよ、バランスよくたっぷり食った方がいいってな」
「そういうことだったんですね」
「今は牛丼だけれどな」
それと味噌汁に卵だ、澱粉と蛋白質が主だ。
「弁当は野菜とかがメインだよ」
「そっちでビタミンとか摂って」
「うちのもわかっていてな」
「そんな理由があったんですね」
「そうだよ、食って食ってな」
そしてというのだ。
「夜も大丈夫な様にしているさ」
「結婚したらそんなことになるなんて」
「俺も思わなかったよ、けれど食ってな」
「そうしてですか」
「今晩も頑張るぞ」
「そこで若しもですね」
「わかるよな、夜に何もしないと」
一樹は紀洋に今度は彼から尋ねた、紀洋はもう結婚していてこのことからの問いだ。
「奥さんはな」
「よく言われますね」
「だからだよ」
「夜のそうしたおことは止めたら駄目ですね」
「そうだよ、俺もそうしたことは嫌いじゃないしやっぱり愛情もあるしな」
自分の若い妻へのそうした感情も話した。
「だからだよ」
「チーフも止めないですか」
「止めないさ、子供も欲しいしな」
「じゃあ頑張って下さい」
「ああ、沢山食ってな」
そうするとだ、一樹は言ってだった。
牛丼と味噌汁を楽しんだ後で工場に帰って弁当も食べた、彼はそうしてだった。
暫くはその食事量のままだった、だが。
ある日だ、彼は紀洋に朝仕事に来た時に笑顔で言った。
「うちの奴出来たよ」
「おめでとうございます」
「それで安定するまで、産まれる直前の間だけだけれどな」
「休めますね」
「有り難いことにな。それ以上に子供が出来るんだ」
「よかったですね」
「頑張った介があったよ、じゃあ今日も食うか」
一樹は紀洋に笑顔のまま言った、そうしてだった。
彼はこの日も食べた、夜の方も頑張る為にも。その食欲はかなりのもので食べる顔も晴れやかなものだった。
食べる理由 完
2018・9・3
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