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奇妙な僧正

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第三章

「これは」
「徐々に怪しいのを入れていって」
「そうかもな、ここも檀家の人多いだろ」
「しかも観光名所でもあるしね」
 この世界の下関のだ。
「だったらお金も入るよ」
「そうだよな、しかも禅宗の権威だよな」
 幸田はこのことについても考えを及ばせた。
「ってことはな」
「仏教の教えにも影響を与えられるし」
「この寺牛耳ったら色々美味しいな」
「ええ、それじゃあだね」
「まずは聡明さんと会うか」
「そうしようね」
 二人で寺の中を巡りつつこうした話をしてだった。
 実際に二人は次は聡明との接触を考えた、それで彼を探してまずはまともそうな僧侶に対して声をかけた。
「聡明ってお坊さんに会いたいけれどな」
「はい、あの人でしたら」
 聞かれた僧侶はすぐに聡明を呼びに行った、そうして聡明が連れて来られるとだった。幸田は彼と三人だけになって笑って話した。
「おいら達がな」
「ことの解決にですか」
「ああ、実はな」
 ここで幸田は聡明に自分達が何者かをそっと打ち明けた。そのうえで言った。
「こうした訳でな」
「この寺のことを」
「絶対に解決するからな」
 こう言うのだった。
「任せてくれよ」
「はい、それでは」
「それでな、この変装どうだい?」
「お二人とはです」
 実際にとだ、聡明は二人に微笑んで答えた。
「わかりません」
「それは何よりだよ、じゃあな」
「これからですね」
「ちょっと寺のお坊さんしか入られない様なな」
「場所に入ってですね」
「調べたいけれどいいかい?」
「はい、それでは」
 聡明も頷いてだった、幸田には僧侶の麻友には尼僧の僧衣をそれぞれ渡した。二人はそれに着替えてだった。
 聡明に案内されて寺の裏側を見て回ったが。
 ここでだ、幸田は寺の僧侶達を見て言った。
「なあ、どうもな」
「怪しい僧侶達がですね」
「妙に多いな」
「役所でお話した通りです」
「近頃急に増えたんだな」
「何かならず者か泥棒の様な」
「ああ、本当にそんな感じのな」 
 まさにとだ、幸田はそうした僧侶達を見て話した。
「連中が多いな」
「おわかりですね」
「ああ、これあれだろ」
 幸田は聡明に自分の考えを話した。
「寺の乗っ取りとかな」
「そうしたことをですか」
「考えてるだろ」
「その可能性は」
「あるよな」
「僧正が本当に急にです」
「怪しい坊さん大勢入れてだよな」
「はい、その結果です」
「今みたいになってるな」
「はい」
 実際にというのだ。
「怪しい僧侶達が増えて」
「そうか、じゃあな」
「ここはもっと中に入って調べてみようね」
 麻友は幸田に横から囁いた。
「僧正さんご自身もね」
「調べていくか」
「そうするか」
 二人で話してだ、それで二人は聡明に頼んで僧正を見ることもした。一見するとごく普通の虎模様の猫人の高位の僧衣を着た僧正だったが。 
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