昔取った記念日
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サンタ・クローズド・サークル
「君はなんて光栄なんだぁ」
インドへの偏見に満ちたナマステポーズみたいな感じに手をやりながら歩いてくる人影。
「生徒的天才美少女、三田三が密室で殺された事件に、取り組むことが出来るなんて」
三田三が、三田三そっくりの人形を抱っこして持ってきた。
「よいしょっと」
ドスっと音がして三田三人形がアイーンのポーズで仰向けに倒れる。
「……」
三田三は大きく息を吸って、
「きゃあああああああ!コロシよおおおおおお!コロシよおおおおおお!もろびとトウモロコシよおおおおおお!」
手で顔を覆って叫んだ。
僕はよく分からないけどこの流れに乗る。
「ピーポーピーポー、事件ですか?」
「コロシよーーーー!多分」
警察っぽい感じで話しかけると、三田三は落ち着いたようだ。
「どんな事件ですか」
「ぐす……ぐす……、み、密室よ!ぐすん、密室で究極天才超絶美少女創造破壊神三田三様が、ぐすんぐすんおいおいおい、お亡くなりに泣くなぁ!」
三田三の叫びに僕はハッとなった。
「泣いててもしょうがないだろぉぉ!死んだわアイツでいいんだよぉぉぉ!いいんだよぉぉぉぉ!グリーンだよぉぉぉおお!」
「……そうですね、泣いていても仕方ありません」
僕は乾いたまんまの目元を拭った。
「事件を解決することが、三田三さんへの一番の供養です!……あ」
警察っぽく周囲を見渡してた僕はあることに気づいた。
「三田三ー、扉開けっ放しー。暖房もったいないよ」
「あ、ごめん。閉めといて」
「ふーい」
がちゃり。
「……でも、密室殺人なんて、どうすればいいんでしょう。私、怖い……およよよよよ。およが5つでおよファイブ」
「落ち着いて下さい、えっと、お名前なんでしたっけ?」
「うわぁ!いきなり落ち着くな!もっと慌てろ!三田三ちゃんが死んだんだぞ!」
「どどどぺうわあ、おるるるるる、ぷっひょーてんぱらーてんぱらー」
「なんだこいつビビリかよ。私も三田三です。被害者の三田三ちゃんと同じく神がかった諸々な三田三です。どうか清き一票を」
「それより、密室とはどういうことですか三田三さん」
「あなたネクロマンシーですか」
「あなたに聞いてるんですよ」
「あなたって呼ばないで!出会ったばかりの人をあなたって呼ぶ人私どうかと思う!そんなやつ、合わせ鏡の中心で愛を叫んでればいいのに!1リットン調査団!」
「失礼しました。生きている方の三田三さん、この部屋はどの様に密室だったのですか」
「……え、えっと、なんか……鍵が、かかってて……」
「ほぉ、どこに?」
「なんて質問なの!?国家公務員のいじわる!いじわる……(微笑)。じわる(笑)」
「そうやって僕をいじる?」
「とにかく、密室なんです」
「そうですか、でも大丈夫。かの有名人アリストテレスはこう言いました。『全ての人間は生まれながらにして、汁粉とホルスの黒炎竜』」
「きゃー素敵!警察素敵!国家公務員とか馬鹿にしてごめん!」
「さてさて、えっと、密室殺人でしたっけ」
「なんかもうえげつないぐらい鍵がかかってるんです!こんなのまるで……えっと、鍵の……じゃなくて……」
「TAKE2」
「こんなのまるで密室殺人です!」
「となると可能性はやはり、この部屋に隠れているとかですね」
「ええっ!そんな、私途方に暮れているよーほうにくもうにくぺこるにく。あ、今のは没」
「ともかく、部屋に犯人が隠れていないか探しますよ」
「ミミーーーーーーック!」
突然三田三人形から人が飛び出した。
「うぎゃあああ!」
三田三が驚いてる。
「ヘイ!Siri!現在の居場所は!」
知らないお兄さんはスマホに向かって喋る。
『スマホに向かって喋るとか、ちょっと、あなたやばいですよ』
機械音声がたしなめた。
「そんなんだからYahoo知恵袋は年々披露宴おスピーチに出てこないんだよ!それと俺は正常です。ともかく、三田三達の会話データは取れた。帰るぞ、相棒」
「あたし、帰る、お家」
三田三人形からまた人影が。
2人の見知らぬ人達は帰った。
というわけで2人が去った後には僕らとボロボロの三田三人形が残った。
「三田三ちゃんは密使2人に殺されたも同然……!!」
涙を流す生きている方の三田三。死んでいた方の三田三は実はさっき死んだようです。
これはまさか、
密使2人の殺人
密使が2人で
密室
「トリックお後がよろしーと」
「メリークリスマス!」
僕は強引に締めくくった。
後書き
三田三って名前は、漢字の三と三を足すと田になるので好きです
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