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永遠の謎

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551部分:第三十二話 遥かな昔からその十二


第三十二話 遥かな昔からその十二

「私に知らせてくれ」
「そしてお助けすると」
「バイエルン王を」
「ミュンヘンにいないのがもどかしい」
 こうまで言う。
「あの方を完全にお助けできるのだが」
「さらに孤独に向かわれているあの方を」
「閣下が」
「ある程度の孤独はいい」
 ビスマルクはそれはよしとした。
「あの方の御心を癒せるのならな」
「しかし過度の孤独はですか」
「それはいけませんか」
「あの方にとって」
「それはかえってあの方を傷つかせてしまうのだ」
 だからよくないというのだ。
「そうした時にこそあの騎士は現われるのだろうが」
「そのローエングリンが」
「あの方の前に」
「だが。それはあの方を現実に引き戻すものではなく」
 何かというのだ。それは。
「あの方を本来の世界に誘うものだ」
「本来の?」
「あの方の」
「そうだ。それはまだ早い」
 時の話だった。今度は。
「もう少し待っていてもらいたい」
「どうしてでしょうか」
 今の言葉の意味は周囲にはわからなかった。それでだ。
 彼等のうちの一人がだ。ビスマルクに尋ねた。
「待って欲しいとは」
「あの方が果たされるべきことを果たされるまでだ」
 だからだというのだ。
「それまでは待って欲しいが」
「だからですか」
「今は」
「そうだ。待って欲しいのだ」
 こう言うのである。
「もっとも果たされるのは何時なのか。私にはわからないが」
「閣下にもですか」
「それはおわかりになられない」
「そうなのですか?」
「私とて万能ではない」
 人間だからだ。そうではないというのだ。ビスマルクは自信があったが過信はしていなかった。そして自らに自惚れてもいなかった。自身も冷静に見ているのである。
 だからだ。こう言ったのである。
「全てがわかる訳でも全てを知る訳でもないのだ」
「人ではわからない」
「左様ですか」
「そうだ。しかし私は最後の最後まであの方をお助けする」
 この決意は変わらなかった。どうしても。
「そのことを言おう」
「では我々はです」
「その閣下の御考えに賛同します」
「ドイツの為になるというのなら」
「間違いなくドイツの為になる」
 国益を越えて。そうだというのだ。
「ではな」
「はい、バイエルンからの話は逐一です」
「閣下にお話させてもらいます」
 こうしてだった。ビスマルクはバイエルンに情報網を築きそのうえで王のことを知りだ。王を救おうとした。そしてこのことはだ。
 王もだ。こう漏らしたのだった。
「多少お節介だが」
 ノイシュヴァンシュタインの青い寝室の中でだ。王はホルニヒに漏らした。
「だが有り難い」
「何がでしょうか」
 王の傍らにいるそのホルニヒが尋ね返す。王はその彼に述べる。
 
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